見出し画像

読書メモ 『チームビルディングの教科書: ”奇跡の成長”を起こす会社の作り方』石見幸三著

文字によるコミュニケーションの難しさ

コロナ禍でテレワークが広がり、課題になったのはチームの結束でしょう。オフィス出社の良い点は、チームメンバーが一つの場所に居ることで気持ちの上で結束できることです。雑談ができることが有効だと私は思います。

私が管理職をしていた時に、部下のオフィスが複数に分かれていました。私は機会を見つけてはそれぞれのオフィスで仕事をするようにしていました。オフィスの空いている席やフリーアドレスの席で自分の仕事をするのです。会議や面談もしますが、オフィスの雰囲気を観察することで知れることがけっこうありました。そばに居れば気軽に相談にも来てくれました。これはオフィスの利点です。

一方テレワークは通勤のストレスが無く、仕事の効率も上がるし、家族との時間も増えてとても良い制度だと思います。しかしながらコミュニケーションの難しさは実感します。メールやチャットの書き文字によるコミュニケーションは誤解を生じやすいです。

アメリカの心理学者アルバート・メラビアンによる「メラビアンの法則」では、 人がコミュニケーションで重視する割合は、視覚情報が55% 、聴覚情報が38%、言語情報が7%なのだそうです。

言葉によるコミュニケーションがわずか7%しかないのは驚きです。やはり見た目・表情・しぐさ・視線などの視覚情報、声のトーン・速さ・大きさ・口調などの聴覚情報がコミュニケーションには重要なんですね。つまりテレワークのコミュニケーションには工夫が必要です。

https://motivation-up.com/motivation/merabian.html

文字によるコミュニケーションがスムーズに行われるためには、明解な文章が必要です。

例えばアメリカは、

さまざまな国から人が集まってできている国ですから、異なる文化背景を持つ人に納得してもらうには精神論では通じません。科学的かつ数値でもって人を説得しようという文化があります。
『C3チームビルディング-結果をもたらす「コーチング」と「リーダーの思考改革」-』小島圭市著

アメリカ人と仕事をした時に、英単語はそれぞれ意味がはっきりしているから、正しい言葉を使わないと正しく伝わらないとアドバイスをもらったことがあります。

日本人は、同じ文化背景が多く、阿吽の呼吸で物事が進むので、あいまいな言葉でも割と通じます。もともと主語をはっきり言いませんし、意味がさまざまに取れる言葉が多い日本語は、論理的な表現は苦手だと言えましょう。それがテレワークで文字が中心のコミュニケーションになると弊害になっているのだと思います。

チームビルディングの必要性

異なる文化背景を持つ人が集まって仕事をしているアメリカの会社では「チームビルディング」という考え方があります。

チームビルディングとは次のとおりです。

チームにいるメンバーが達成すべき目標達成に向かって活動をしていくために個人の連携を創ること。
『チームビルディングの教科書: ”奇跡の成長”を起こす会社の作り方』石見幸三著

チームビルディングのための研修が今、日本でも注目されています。

ウチはチームワークが良いから、チームビルディング研修なんていらないよと言う人がいますが、この本ではチームワークとは次のように説明しています。

チームで既に行っている仕事や活動がうまくいくため、メンバーの団結や連携もしくはそのような協力体制のこと。
『チームビルディングの教科書: ”奇跡の成長”を起こす会社の作り方』石見幸三著

チームワークはチームビルディングとは異なります。日本の会社はこの仲間意識には注目してきました。しかし仲間意識では仕事は進みません。逆に気を遣ったり、忖度したりして、非効率なところもあります。

日本の人事研修は、今までは個人の能力を高めていくことが注視されてきました。社員全員が経営者意識を持って、現場で判断し自律的に行動することを目標に掲げていました。

しかしながら、個人にはそれぞれ強み弱みがあり、全員に経営者意識を求めることは無理があります。

今は個人の能力だけでなく、チームで仕事を進められる能力が求められています。

個人が尊重され、能力が活かされながらも失敗をカバーし合う、ハイレベルな経営課題に対して知恵を出し合い解決し、経営目標を達成していける。
『チームビルディングの教科書: ”奇跡の成長”を起こす会社の作り方』石見幸三著

それが理想のチームです。

各個人の強みと弱みがお互い理解し合い、補おうとする力が働くと各自が自分の役割やが明確になり、自律的に動き出すようになってきます。
『チームビルディングの教科書: ”奇跡の成長”を起こす会社の作り方』石見幸三著

そのためにはまず、

組織の「理念・ビジョン」と個人の「ミッション」を結び、組織の目的・目標達成に向けて一丸となって動けるチーム作り
『チームビルディングの教科書: ”奇跡の成長”を起こす会社の作り方』石見幸三著

つまり、目指す姿をチームメンバーが正しく共通に理解することがまず必要です。ミッション・ビジョンを具体的にわかりやすく文書化して、ブレることなく示していくことはリーダーには必須です。

次にメンバー各個人の強みと弱みが明確になっていることが必要です。リーダーは意識してメンバーと接して、強み弱みを発見し、強みを活かすような業務割り当て、目標設定が求められます。

そうしたメンバーの強み弱みを、ワークショップやゲームなどを通して見つけ出していく、お互いに気づいていく、チームビルディング研修が注目されているわけです。

一見遊びのように見え、座学の研修に比べると効果がわかりにくいけれども、チームビルディング研修のアクティビティにより、

チームに一体感が生まれ、モチベーションが上がります
『チームビルディングの教科書: ”奇跡の成長”を起こす会社の作り方』石見幸三著

チームビルディング研修について少し調べてみようと思います。

この記事が参加している募集

「スキ」ボタンを押していただいたり、SNSでシェアしていただけると、とてもうれしいです。