65歳にして人生を大きく変えた選択は4つだった
もう65年も生きてきました。あれこれ悩んだり、迷ったり、不安になっていたことは、今考えると何だったのだろうかと思い出せないのです。
心配事は最悪の事態にはならずに去って行きましたし、悩みも「まあいいか」と片付けられるようになりました。
夢は叶ったのかというと、ある程度は叶ったのではないでしょうか。高望みはきりがありません。でもまだ叶えたい夢は残っています。
65年を振り返ってみると、人生を大きく変えた選択は4つでした。
就職
1つ目は「就職」です。就職するまで何がやりたいのか解りませんでした。
大学までは敷かれたレールの上を進んできたからでしょう。レールから外れたいと妄想しても、外れる勇気はありませんでした。大学も研究室も第一志望には入れませんでしたが、第二志望は心地よく自分には最適でした。後悔はまるでありません。ただこの選択はレールの選択なので自らの選択のようには思えません。
就職は迷いました。敷かれたレールから大きく外れる選択肢も候補にはありました。22年の人生を振り返り、ノートに書き出して悩みました。悩んだ末にソフトウェアエンジニアとしてメーカーに入社し、東京を離れることになりました。淡い夢は封印されました。
結婚
人生を大きく変えた選択の2つ目は「結婚」です。結婚したのは27歳です。
入社3年目に営業応援のプロジェクトメンバーに選ばれました。職場にプロジェクトメンバー枠が割り振られましたが誰も手を挙げません。人事の自己申告書に「営業経験もしたい」と書いた私に白羽の矢が立ちました。
妻はその時の応援先の営業所に勤めていました。
口下手のエンジニアの私には営業は厳しく、契約はなかなか取れませんでした。外回りと称してサボってばかりいました。それでも妻がいたので楽しい毎日になりました。
赤の他人が偶然のきっかけで惹かれて伴侶になる結婚は、選択というよりも運命でしょうか。
転職
3つ目の選択は「転職」です。42歳の夏でした。転職といっても会社を変わったわけではなく、新設となった新規事業部門の社内公募に悩んだ末に自ら応募して異動したのです。仕事の内容が変わり、東京に転勤になり、私にとっては、いわば自ら選択した「転職」でした。
当時スランプに陥っていました。仕事はうまくいかず、やる気になれず、業務進捗会議は苦行で、逃げ出すことを考えていました。そんな時の公募は願ってもない機会でした。
選択にあたっては先輩や友人には相談しましたが、上司には相談しませんでした。上司に秘密にして応募できる公募でした。でも上司に黙って応募したことを悔いていて、定年退職する時に上司に詫びました。しかし上司は覚えていませんでした。
この選択は大きく人生を変えました。新しい仕事は刺激的で学びも多く、スランプから脱出できました。社外のネットワークも拡がりました。公募に応募しなければまったく違う人生を歩んでいたように思います。
起業
4つ目の選択は「起業」です。60歳です。定年退職して継続雇用を選ばす、再就職も選ばず、引退して悠々自適も選ばず、起業を選びました。
定年後は起業したいと50歳のころから準備をしていました。人脈を広げるためにいろいろなコミュニティに参加したり、ファイナンシャルプランナーに相談してライフプランを作ったら、起業した先輩にヒアリングしたり、起業スクールに通ったりしました。
それでも決断したのは定年退職の半年前でした。
サラリーマンは安定した収入があり、ひとりではできないサポートがあり、仕事の大きさもそれなりで、それはそれでとても良いのです。
一人起業では、何でも自分でやらなければならないし、不安定な収入は不安要素です。もちろん嫌なこともあるし、めんどくさいこともあります。それでも起業して良かったと思います。学びは多いし、モチベーションは高いのです。
あの選択をしたから、
・雇われない立場になりました。
・時間が自由に使えるようになりました。通勤のストレスがなくなりました。
・会議の数が減り、本業以外の雑用の仕事も少なくなりました。
・家族との時間が増えました。
・会計や簿記を実践で学べました。
・いろいろな人に会いやすくなりました。
その代わり、
・仕事は自分で作らないといけません。
・時間管理を意識して行わないとダラダラ仕事を続けてしまいます。
・一人だと仕事が煮詰まったときに雑談をする相手が欲しくなります。
・健康管理はしっかりやらないといけません。
コロナ禍では仕事が減りましたが、助成金をいただいて、新しいことを始められたり、オンラインミーティングが一般化して打ち合わせがやりやすくなったり、良いこともありました。
あのとき継続雇用を選んでいたら、65歳の今、どうしていたでしょうか。友人は悠々自適だと言っていますが、私には退屈です。
あの選択をしたから、まだまだ現役でマイペースで楽しく働いています。まだまだやりたい事もあります。お金は、まぁ、なんとかなるでしょう。