思い出が色褪せていくのが切ない
私はよく、"あの日から何年" だの、"◯年前の今頃は◯◯をしていたなぁ" なんて想いにふけたりする。
あるとき気付いた。
私は幸せなあの時間が、どんどん遠い過去になってしまうのが怖いだけだった。
好きな人にフラれた。彼女ができた事を伝えられた。
その連絡が来たのがまだ今日だからと、その日は寂しくない。次の日からは時間が悪魔に化けていく。
もう昨日か、1週間前か、1ヶ月前か。
どんどん取り返しがつかなくなっていく恐怖。
今更と、どうしようもないが暴れる脳内。
いつまでも楽しかったあの時に縋るのはほどほどにしなくてはいけない。私はそれが苦手だ。
友達と遊んだ帰り際ですら、惜しむくらいだ。
そりゃあもう特別に恋愛感情を抱いた異性なんか、到底忘れるのはレベルが高くなる。思い出の量が、多ければ、多いほど。
いずれは時間と共に忘れる。
思い出して辛くなる美化された楽しい思い出なら忘れるべきではあるけれど、忘れるものは平等に、学生の頃の修学旅行のあのワクワクが止まらなかった夜の記憶も、必死に努力を重ねて試合に勝った時のあの瞬間の仲間とのささいな会話も、忘れる可能性が高い。
良くも悪くも、忘れるし、記憶の残り方は難しい。
縋れば縋るほど、その記憶は消えない。
こびりついてしまう。
私は早く失恋から立ち直りたい。
好きだったんだよな。