包まれたい
私は小さい頃包まれることに喜びを感じていた。
これはどう表現したら良いのか分からないが、とにかく包まれたかった。
上着を着たり、フードをついたものを着たり、背中にタオルをかけたり、リュックを背負ったり、リュックにキーホルダーをつけたり、何かを羽織ったり、後ろに誰かいて欲しかったり、そういう包まれ方をしたかった。特にそれらは "後ろ" である事に意味があった。
あの時の感覚を私は忘れていない。
だけどどうしてそうしたかったのかまでは、思い出せない。
大人になった今考えたら、改めて分かることがありそうなのに、分からない。
あれは、なんだったんだろうか。
守られたかったのだろうか。
私は今も、守られたいのに、あの頃の包まれたい衝動には駆られない。