漢方の考え方・捉え方

漢方とは?――日本の風土に根ざした伝統医学

漢方というと「中国の古い医学」と思う方も多いかもしれません。しかし、漢方は日本の伝統医学であり、中国医学が日本に伝わり、それを日本人が独自に発展・進化させてきたものです。中国医学が伝わった正確な時期は不明ですが、奈良時代頃から始まったとされ、その後日本の風土に適した形で成長してきました。

そのため、漢方は日本人の気質や体質に寄り添いやすいのが大きな特徴です。近年では、漢方が海外で再評価され、認知症の不穏症状に使われる「抑肝散」のように、日本でも再び注目されるようになりました。便秘やむくみ、胃腸の不調、痛みのある炎症など、さまざまな症状に漢方薬が活用されています。


目次

  1. 漢方の考え方

  2. 漢方における人体の見方

  3. 漢方で心の不調を捉える方法

  4. 漢方まとめ


1. 漢方の考え方

漢方は、人間の体を「自然の一部」として捉え、体全体のバランスを整えることを目指します。西洋医学が対症療法に重きを置く一方で、漢方は根本治療を目的とします。症状を「体からのサイン」として捉え、その背後にある原因を見極めて治療を行うのが特徴です。


2. 漢方における人体の見方

漢方では人体を「五臓六腑」と「気血水」の観点から理解します。

「気・血・水(き・けつ・すい)」

  • :栄養や活動の源となる体液全般

  • :リンパ液のように免疫を支える体液

  • :目には見えないエネルギーで、神経や代謝機能に関与

この三つのバランスが整っている状態を「正気(せいき)」と呼び、健康の鍵とされています。

「五臓六腑」

  • 五臓:肝・心・脾・肺・腎が栄養やエネルギーを蓄える

  • 六腑:胆・小腸・大腸・胃・膀胱・三焦が消化や排泄を担当

たとえば、西洋医学での「肺」は呼吸器官ですが、漢方では呼吸だけでなく、免疫系や水分代謝、肌の状態なども管理する役割を持っています。


3. 漢方で心の不調を捉える方法

漢方は「心身一如(しんしんいちにょ)」の考え方に基づき、心と体の不調が互いに影響し合うと考えます。例えば、怒りや不安、悲しみといった感情は、以下のように五臓に影響を与えます。

  • :イライラ、神経過敏

  • :焦燥感、不眠

  • :考えすぎ、抑うつ

  • :憂い、悲しみ

  • :恐れ、判断力の低下

日本人は特に負の感情を溜め込みがちで、未消化の感情が蓄積されることでストレスや体調不良が現れることがあります。五臓の働きをセルフチェックすることで、自分の心身の状態を見つめ直すきっかけになるかもしれません。


4. 漢方まとめ

「漢方は効き目が遅くて弱い」と思われがちですが、実は日本人の体質に合った形で進化してきたため、根本からの改善を得意としています。ホルモンバランスや感情の変化が大きい女性にとっても、漢方は有効です。

体調の変化をきっかけに、漢方を取り入れてみてはいかがでしょうか。西洋医学とは異なるアプローチで、自分の体と心の声に耳を傾けながらトータルケアを目指すことができます。


このように、漢方には心身を整え、根本から症状を改善するための知恵が詰まっています。時間をかけて自分の状態を理解しながら、「自己調整」の力を高めるお手伝いとして活用してみてください。

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