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第四間氷期【作:安部公房】


その未来、受け入れられるか!?


安部公房氏の作品、 『第四間氷期』を読了。
本の感想を述べていきたいと思います。

大まかな内容としては機械によって予言された未来をめぐり、その予言を受け入れる人と拒否する人の対立ですかね。
(とはいえ物語の中では拒否派は主人公のみ、他は皆が肯定派ですけど…)
海底火山の噴火などによって海面が大幅に上昇されている時代を舞台にしており、機械はいずれ日本列島をはじめ殆どの大陸を海に呑まれると予言しております。
それに備えて政府と繋がってる技術研究所は秘密裏で予言された未来に備えて、海底でも生活出来る水棲生物を産み出しており既に飼育している。
その水棲生物の種類は豚や犬といった動物は勿論、人間まで存在しています。
しかし予言否定派の主人公はその予言は勿論、水棲生物の存在自体が受け入れられません。

もし私がこの作品においてどちらの意見に同意するかというと、やはり否定派の主人公の方かな。将来的に地球の大陸の殆どが海に沈むと予言されても急には受け入れられないですよ…。しかも予言しているのが機械だとしたら、「その機械に何らかの工作が仕組まれてる、又はバグでも起こしてるんじゃねぇの!?」って思いたくなるのが人情だし。

現在と未来における”正しさ”の違い

作品においては無情な事に予言通りの世界が展開しており、その世界においては僅かながらに存在している大陸で生きる人。そして世界の大半を占める海の底にて生活する人をはじめとした生物が存在しています。
ある時、水棲生物として生まれた”人間”の少年が「風を感じたい」という旨の理由にて僅かながらに浮かぶ大陸へと這い上がるのですが、既に体は海底での生活に適応しており、地上では生きられない体であった。それ故に僅かな大陸に上がれたものの、息絶えてしまいます。

機械が予言した時代では『人が海底で生きるなんて…』と否定的に捉えられていても、予言が現実化した時代において水棲生物として生まれた”人間”にとっては寧ろ『地上で生きるなんてもう無理』という状態になっているんですよね。

時代の状況において価値観も生活様式も変わるもの。
そういや今年は『新しい生活様式』なんてものがメディアでよく叫ばれてましたね…

仮に昔に戻ろうとしても…

今ではコロナ禍によって『新しい生活様式』の適用が進んでいるのが現実である。街に出ようものなら既に一億総マスク社会となっており、飲食店等の屋内ではスペースが空けられております。
いわば”ソーシャルディスタンス”というヤツでして、「人との間隔は2m程度空ける」のがルール。あと密集・密閉・密接の”3密”を回避せなイカンですし…。

もし仮にだけど数年後にコロナがようやく終息して、ノーマスクでも街を出歩いても大丈夫な状況になったとしても、「マスク無しじゃ外歩けない!!」って人が多数出てくるのかもな。
予防以外にも「他人と直接顔を見合わせて話すのがどうも苦手」「マスクはコロナに限らず、強い日差しや乾燥も予防出来る」等の理由も考えられますし。
それとテレワークに関しては「ウザい満員列車から解放される!!」「業種によっては勤務開始時間を自由に決められる」、
3密回避に関しては「人混み自体が大嫌い」「狭いトコが嫌い」、
…などコロナ以外でも適用する理由は上げられるもんなぁ。


私的には満員列車&長い通勤時間の回避、人混みが解消される…そういう点は現実化していってほしいと思う。
とはいえソーシャル~&3密回避によって、本当に好きな人と触れ合う事が不可能となり、ライブハウスはNG…
てか”ソーシャル~”や”3密”は勿論、【新しい生活様式】などコロナ関連の専門用語を耳(目)にした途端、虫酸が走るのが正直な心情です💢

せめて一日でも早くノーマスクで屋外を堂々と歩ける世の中になってほしいと心から強く思います!!
日本どころか世界中、外歩く人々が皆マスクしている社会は見ているだけで息苦しいです。そんな社会がこの先、数年…いや何十年と続く世界はやっぱ嫌だからね。

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