見出し画像

母の認知症に、気付いた日のこと

今から11年前のことです。

わたしが仕事から帰ってすぐ、父が言いました。
「母さん、なんかおかしいぞ。
おんなじことばっかり聞いてくる。認知症と違うか。」

その頃父は、定年退職して母と2人で過ごす時間が長かったので、母の異変に一番に気付いていました。

わたしは仕事で忙しく、ほとんど家にいなかったので、その事に気付かず父の言葉を冗談のように聞き流していました。

その後のある日、母とテレビを見ていたら、認知症テストをしていました。

それは手を使って、きつねと、はとの形を真似するという内容でした。

きつねの場合、親指と中指と薬指をくっつけたらOKなのですが、母にはこれができませんでした。

はとは、両手をパーにして、両手の親指を重ねて、クロスさせたらOKなのですが、これも母には難しく、模倣出来なかったのです。

この事をきっかけに母は病院で見てもらうことを決心し、脳のMRIを受け、アルツハイマー型認知症だとわかりました。

その後母は1年間だけ通院し、認知症の薬を飲んでいました。
しかし、認知症の本を読んで薬の副作用を知り、飲まなくなりました。

認知症の貼り薬も試しましたが、肌がかぶれてやめました。

今はデイサービスに、週2回だけ通っています。

アルツハイマーが分かった時は母と共にわたしも絶望的な気持ちになり、落ち込みました。

しかしそれから11年母と過ごして来て、急に何もかもが、わからなくなってしまうわけではないと知りました。

母にわからないことは、その都度サポートしながら寄り添い、先のことを考えすぎず、今日1日のことだけを考えるよう日々過ごしています。


(追記)

この記事を入力した後に、母にきつねと、はとの形の手の模倣ができるか確認したら、なぜか11年過ぎた今、できるようになっていました。

認知症になったら、脳の機能が下がる一方だと思っていましたが、この事で少し希望が持てました。


いいなと思ったら応援しよう!