愛するとは時間をムダにすること『ナマケモノ教授のムダのてつがく』感想
今日のジャンルは哲学書です。「よりよい人生を歩むため、自分の考えを深めたい」という思いで読書をしています。以下、感想を書いていきます。
軽く自己紹介すると、30代男性、教員です。メンタルダウンを経験し3年間休職しました。その後復職し、「5年後も笑って働いている」を目標に生きています。よろしくお願いします。
今回読んだ本は何か?
コロナ禍では「不要不急」がひとつのキーワードとなった。また「コスパ」「タイパ」、そんな考え方が日常を侵食している。しかし、要不要とはいったい何だろう。身のまわりのすべてのことを、「役に立つかどうか」「効率がいいかどうか」「払った対価に見合っているかどうか」、そんなモノサシで測ってよいものだろうか。
その価値観で捨てた「ムダ」なもの、それは本当に「ムダ」なのか?誰にとって?何にとって?そもそも「ムダ」で何が悪いのか?「ハチドリのひとしずく」を日本に紹介した著者が「ムダ」を切り口に、暮らし、労働、経済、テクノロジー、人間関係などについて思索する。
何が印象に残ったか?
『星の王子さま』の有名なセリフについての解釈が興味深かった。
キツネが王子さまに「きみのバラが、きみにとってかけがえのないものになったのは、きみがバラのために費やした時間のためなんだ」という場面がある
著者はこの「費やした」は「無駄にした」と捉えてもよいのではないかという意見だった。
原文がwasteなので直訳すると「無駄にした」だけど、愛するバラのために時間を無駄にしたとなると、なんとなくネガティブな表現に感じる。
でも、著者は無駄にすることをむしろ積極的に肯定している。だから、「愛するということは、相手のために時間を無駄にすること」でいいんじゃないのか。むしろそれが、愛の本質なのではということだった。
これからにどう生かすか?
無駄を悪いものと捉えず、無駄になるかもしれないけど何かをやってみる、その姿勢は大事にしていきたい。
個人的な経験を話すと、メンタルダウンしてから釣りに行くことができなくなった。せっかく行ったのに釣れないかもしれない(見返りが得られないかもしれない)と思うと、やる気が起きないのだ。これはコスパやタイパの話につながる。
コスパやタイパが叫ばれる時代。小さなコストで大きなリターンを得たい人が多くなった。その代表例が本要約サイトや、本の要約動画だと思う。時間は貴重だから。
でも、コスパやタイパを気にせず「面白くないかもしれないけど読んでみる」という姿勢が、そうやって可能性に飛び込んでみることが、人生の充実に繋がるのかもしれない。
時間をかけたけど無駄に終わることを恐れない。むしろそれは豊かな経験かもしれないと思い飛び込んでみる。そういう姿勢を大事にしたい。
今度ちょっと釣りに行ってみようかな。
以上、『ナマケモノ教授のムダのてつがく』の感想でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。