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屋久島でスローダウン。マインドフルネスやエコツーリズム【元外交官のグローバルキャリア】

屋久島に6泊7日間滞在した。聞きしに勝る屋久島。この緑豊かで水資源が豊富な島が、禿山となりかかっていたとは。自然環境とは、意図的に守り、育むものなのか!森、山、海、川に、生きとし生けるものと存分に触れあった旅だった。

今回の屋久島旅行をプロデュースしてくれたのは、リジェネラティブ(再生型)ツーリズムを専門にしている高井雅彦さんだ。自然環境と観光産業、地元の経済活性を意識した旅行プランとなった。

言葉としては、エコツーリズムの方が馴染みがあるが、土地への還元を意識しているから再生型だそうな。

尾之間集落

滞在先は尾之間集落の一棟貸し。近くには銭湯の様な尾之間温泉や、海で魚と泳いだ後にそのまま入れる湯泊温泉がある便利な立地だ。夜はこぼれんばかりの満天の星空が見えた。

Siesta

島の滞在にはレンタカーは欠かせないというのに、出遅れてネット予約がかなわず。宿が地元のNaviレンタカーで手配してくれた。

森林セラピー

到着翌日の午後は、Kaleido Forest代表 の森林セラピストの杉下真絹子さんの案内で、まずは滝之側の一枚岩の沢でつま先から頭のてっぺんまでせせらぎに身を任せた。文字通り、地に足を付かせるアージング効果があるそうだ。そこからヤクスギランド方面の原生林に向かった。苔や木と触れ合い、マインドフルネス瞑想などを通じて、自然界の中にある自分と向き合った。自然にある波動に身体をチューニングするとのこと。

earthing in the stream

白谷雲水峡ツアー

二日目は山岳太郎社の社長で熟練ガイドの渡邉太郎さんのリードで、白谷雲水峡は苔むす森を目指した。ペースもバラバラな4人の登山初心者をスムーズに誘導してもらって、太鼓岩の絶景を眺めた。水分を多く含むヒメシャラに抱きついて火照った体を冷ました。途中、私の靴底が剥がれるというハプニングにも渡邉さんが雪山用スパイクを取り出し、靴に装着し、歩きながら何度も調整してくれた。

moss covered trail

「良いトレイルですね」と何気なく触れた登山道は、屋久島のガイド協会の方々が「近自然工法」と呼ばれる方法で木や石が自然界に溶け込むように整備したものだった。
渡邉さんは、屋久島観光協会理事も務められている。歩きながら各国の観光地の話、観光政策などの公共政策についての意見を交わした。今後屋久島空港にジェット機が着陸できる滑走路が出来ても、島の自然が守られていてほしい。

tree on tree

一湊と横川渓谷

島で暮らす人は、海水浴をしてから、沢で海水を流すと聞いたが、一湊の海水浴場にはライフガードの人もいて、シャワー室も利用可能だった。海も渓谷も私たちで独り占めだった。ところどころ平たい岩を足がにエメラルドに澄んだ沢で泳ぐというのは初めての経験だった。

a private pool in the woods

永田ウミガメ観察会

5月から7月はウミガメの産卵期で、高井さんや杉下さんの強いお勧めに従って永田いなか浜のウミガメ観察会に申し込んだ。永田は島の反対側で観察会が終了するのは夜23時。夜道を鹿を避けながら運転するのは不安で一湊の「民宿湊楽」に泊めてもらうことにした。

dinner at rhe B&B

それまで接したガイドの方々は東京や大阪の移住組なのに対して、民宿のご夫婦は地元の方だ。美味しいお食事をいただき、その後ご主人が観光スポットの周り方を紙に記してくれた。

numbers indicate minutes

永田ウミガメ観察会のレクチャーも東京出身の人だった。参加者50人を誘導して、浜でレッドライトを照らしながらウミガメの産卵に立ち会わせてもらった。卵は孵化中の温度で性別が決まり、29.5℃を境に、高いとメス、低いとオスとして生まれる。海亀は地磁気で生まれた場所に戻って産卵するという。穴を掘って、卵を産んで、穴をよく埋めて、目眩しの別な穴を作って海に帰っていく。翌日、いなか浜で亀が海から上がった長い道のりの足跡を確認した。

no photos allowed of honus

西部林道

世界自然遺産の西部林道ではヤクシカと猿がドライブ中の私たちに気を払うこともなく登場する。緑が生い茂った林道を車の窓を下げて風を感じながら降下した。

monkey do

途中、台湾遠征の際に活躍したという明治時代からある屋久島灯台を通り、湯泊温泉のある海で水中眼鏡でシュノーケリングもどきをした。ハワイで地元の友人から、魚が温水のそばに集まると教わったことを思い出した。

yakushima light house

猿川のガジャマル付近の沢登り

救命ベストを付けて、ヘルメットを被り、磯足袋を履き、ベテランガイドの岩川朝美さんの案内で沢の岩場を登り歩いて行った。水の中で、傾斜したロッククライミングをしているようで、体幹を使って進んでは、沢に飛び込む。無心に歩かないと滑るし、転べば石だから痛い。途中、小雨が降ってきたが、すでに濡れている状態では気にならないどころか、久しぶりの雨を受け止めて青々と生き返るかのようだった。

tea break

千尋(せんびろ)の滝

最終日、空港に向かう前に千尋の滝に立ち寄った。ぽんたん館という道の駅で「永田の塩」や「塩飴」、手拭い、ガーゼタオルなどを購入。東京で食べるためのハスイモやライチなどの農産物も買って預け入れ荷物に詰めた。
無理して寄った千尋の滝は、その甲斐があった。地下深くでマグマが固まった、花崗岩がよく見える稀有な滝だ。

車を返す時にはガソリンタンクが空のマークが出て、「このマークが出たのは初めて見た」とレンタカー会社の人に驚かれた。

こんなに森羅万象と一体になって満喫することができたのは、エコツアーで再生型ツーリズムを心がけているガイドの皆さんのおかげだ。そして、無償プロデューサーの高井さんの熱い想い。私も皆さんのその想いに応えられる機会があればぜひ恩返しがしたい。本当にありがとうございました。

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