飛騨・諏訪ぶらり旅...
抗がん治療は毎週1回およそ2時間弱の点滴を受けている。
それを3週続けて1週休みとなる。
で、今週は休みの週。
連休最終日からは何も予定がなかったし体調も良かったので、家内に「どっか行きたい所はないの?」と尋ねたところ、飛騨高山で彼女の好きな落合陽一氏のインスタレーション展示と彼が進める神道のイベントがあるとのこと…
「でも、ちょっと遠いわよねえ…本当は行きたかったんだけど…」と、遠慮がちに言う。
「いいよ。体調もいいし、天気も良さそうだし、ドライブもしたいし、行ってみようか」
と、急遽ネットで飛騨のホテルを探して、1泊予定で車で飛騨を目指した。
11月4日連休最終日の朝出発…
まずは中央高速で松本を経由し、山渓沿いの国道を抜けバイパスのトンネルを抜けて高山市を目指す…
途中手打ちの信州そばを堪能し、紅葉の始まった山々を愛でながら秋晴れのドライブを楽しんだ。
で、午後早い時間に高山市内の旧市街地『日下部民芸館』に到着。
ここは高山の旧豪商・日下部家を今に残す民家をそのままに展示館としている。
江戸時代からの数々の由来品の展示の随所に現代のデジタル世界と有機的なアナログ感覚(文化)との融合を『計算機自然』と称してモチーフ化した落合氏のアートオブジェが散りばめられ、なかなか面白い見応えのある空間だった。
ここにはテクノロジーと環境と空気とオブジェと音が落合氏のアーチストとしてのアイデンティティーというフィルターを通して散文的に配置されている。
まあ、言ってみると難しそうだが、私の世代的には単純にワクワク感があるのだ。
1巡り展示を楽しんだ後、ゆっくりと高山の旧市街を散策した。
この街(特に旧市街)はいつも訪れる倉敷の美観地区に似ている。
高山は北アルプスの山々に囲まれ水に恵まれ、古くから商業が栄えた広大な街。
『小京都』と呼ばれている歴史深い街だ。
のんびり歩くにはもってこいの風情…
途中、喫煙可の喫茶店を発見!
スモーカーの我々はゆっくり煙草を吸い、甘くて熱々のぜんざいで一息入れる。
そして夕刻、再び日下部民芸館で落合氏主催で地元の神主さんが主事する神事(に参加…
落合氏の『信仰』という重要なデジタルとアナログの共有性を確認するための儀式なのであろうか?…
こう言っていいのか…分からないが、新鮮で楽しかった…
で、予約したホテルへ…
マリオット系のホテルだったので高山市の中心部付近にあるのかと思ったら、これが大間違い!
ナビに住所を読み込ませると…何と市中心から40、50kmも離れた飛騨の山を突き抜ける高速道路のI.C.付近に連れて行かれてしまった。
そう…うっかりしていたが、 高山市は恐ろしく広いのだ!
日本で一番広いらしい。
このホテルの利用者はほぼ外人客で、いずれもレンタカーで日本各地を巡っている逞しい観光客ばかり。
ただし、ホテルは建築されたばかりで真新しく、客室も伸び伸びと広い。
ホテル内に飲食店は一切無く、広いロビー脇に自炊用の共用キッチンとダイニング、有料のインスタント食品や飲み物が用意されている。
料金もリーズナブルで確かに外国人ファミリー層には新しいタイプの非常に利用し易い宿泊施設だった。
ただし、相当な田舎なので、夕食の外食店を付近で探すのに結構苦労してしまった。
それでも、親切なフロントスタッフの助言もあって、美味しい居酒屋を発見、ビールにお刺身…さらにシメに美味しい飛騨そば(店主曰くうちはなんちゃって飛騨そばなのだそうです)を頂き、快適に一泊。
翌日は帰りがてら諏訪の『諏訪大社』を生まれて初めて訪問し、私の健康回復と家族と世の中の安寧を願ってお参りを果たした。
で、ここでも諏訪名物の新蕎麦を頂く。
よく考えたら今回は『そば』三昧の美味しい旅だった。
思いがけずとても楽しいぶらり旅の2日間であった。
最近すっかり忘れていることもあるが、考えてみたら私は末期癌の身。
こうやって思い掛けず与えられた人生の時間を大切にしていかなければ、天の神様に申し訳ない。
またどこか思いつきでぶらりと気の趣くまま出掛けてみようと思う…
さて、次の機会はどこに行こうか…