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クニちゃん

『クニちゃん』...

自分で書くとなぜか小っ恥ずかしい..

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六十数年の人生...
はっきりとした記憶を辿ると、4、5歳の頃から自分の自意識は根本的には何も変わっていないような気がする。
では、全く変化がないのかと言うと、そうでもない。


結構大きな価値観の変化も経験している。



私は次男坊で末っ子、まあまあ周囲から可愛がられて育った..と、思う...
ペンネーム・演出家名の『川崎クニハル』は本名で、下の名前をカタカナに変えただけだ。
子供の頃は家族からも友人からも『クニちゃん』と呼ばれていた。

人からどう呼ばれるかは、自分の印象や体(てい)をあらわしているし、その時の自分の鏡のようなものである。
結果、それが自分の自意識にも少なからず影響を与える。
まあ、言ってみれば、呼び名は『どう見えるか』と『どうありたいか』の狭間(はざま)にあると言える。



例えば...私の場合は...


子供の頃は友人からも家族からも『クニちゃん』だった。

中学に上がった頃から、『川崎』とか『川崎くん』が名前だった。

その後、高校から大学へ...
ある時期には『くにはる』と下の名前で呼ばれた時期もあった。



20歳前後から都内あちらこちらのナイトクラブで歌を歌って稼いでいたが、
そこでは、なぜか『ケッサク』と呼ばれていた。
黒鉄ヒロシ氏のギャグ漫画の主人公『ケッサク』に似ていたからだそうだ..
そういえば、いつもヘラヘラとおどけていたような気がする...


その後、25歳頃から映像業界に飛び込み、
アシスタント時代には『カワちゃん』..
その後、『インテリ』..
アシスタントのくせに言うことが知的で生意気だからだと言われた。


それから業界に慣れてくると、『ウッドストック』..と呼ばれた。
ウッドストックとはチャーリーブラウンに出てくる黄色い小さな鳥のこと。
いつもオフィスに泊まり込んで、寝癖のボサボサ頭で、飄々と何を考えてるのかよく分からない存在だからだと命名者から伺ったことがある。



いよいよ演出家として一本立ちすると、
周囲はいきなり『川崎さん』に変わった。
同世代の演出や制作からは『川崎ちゃん』とも呼ばれ、上司からも『川崎さん』と呼ばれるようになった...

執筆の仕事も始めると...
『脇坂晴海』『岸康』というペンネームも持ったが、まあ、これはそう呼ばれたわけではないので番外だろう...

で、結婚後...
この間、両親や親族はずっと『クニちゃん』だったので、
最初の結婚相手も、二番目の奥さんも、今の家内も、『クニちゃん』と呼ぶ..


子供からは『パパ』から『お父さん』へ...


結局両親は死ぬまで私を『クニちゃん』と呼び続け、時折(特に40、50代)は違和感も感じたが、それは家族の間だけのこと、さして気にならなくなった。

その後、家内からの助言で執筆名を『川崎邦治』から『川崎クニハル』に変更した。これは自分的にはかなりしっくりきたので、演出家名も『川崎クニハル』に統一した。

60を過ぎると、周囲はほぼ年下となってしまい、さすがにもう呼ばれ方は変わらないのだろう...と、思っていたら、
いきなり『カワクニさん』とか『カワクニパイセン』と呼ばれるようになった。


時には『カワクニ!』とか『カワクニちゃ〜ん』とかも呼ばれたりする。

自分的にはこれが妙にしっくりくる。
私は周囲にはそんなふうに写っていて、自分でもそんなふうにありたいんだ...
と、思えるのだ。

『クニちゃん』『川崎くん』『くにはる』『ケッサク』『カワちゃん』『インテリ』『ウッドストック』『川崎さん』『カワクニ』...

自分の微妙な自意識の変遷は『呼び名』によって体現されているように思えるが、どうだろうか?



あなたの『呼び名』にも変遷がありましたか?

[ タイトルの写真は私のクニちゃん時代...父が撮ったものです ]

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