お花屋地政学(その5)
最後に、イスラムの世界とお花について触れてみたい。
まずは、モロッコ・アガディール。大西洋に面した美しい街。フランスを中心に欧州からのリゾート客も多いエリア。
そんなアガディールのお花屋さんから。
このデザイン、イスラムの世界を旅したことのある人ならきっと見たことがあるだろう。
主に婚礼用である。
イスラムの花文化の中心には婚礼がある。
実際、僕の知り合いでドバイで装花事業を営んでいる人がいるが、(国名は書けないが)某発展途上国の政府幹部の結婚式がドバイで執り行われ、ここには某先進国の元首相なども駆け付けたそうだが、装花代だけで1億円したそうだ。(笑)
そのお金は一体どこから?、とツッコミどころ満載なのだが、それはさておき、飲酒の文化のないイスラムでは、特に婚礼行事において花を多用する傾向がある。
データは取っていないが、おそらく、イベントにおけるお花の費用の割合が最も高いのがイスラムの世界だろう。
そして、冒頭のアガディールのお花屋さんもそう。
これはスーク(市場)の中のお花屋さんなのだが、並んで売っている商品と比べ、お花だけは割高。
でも、皆さん、婚礼のためなら躊躇せず買い求めていく。
前日に仏教と花の祈りについて触れたが、”婚礼”と”祈り”は、決して対極なわけではないが、やはり、お花の世界観がまるっきり異なり、僕は強い興味を覚えるのである。
だから、コロナが明けまた世界を旅できるようになったとき、僕はまたお花屋さんを廻るだろう。
以上
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