【党員として】自民党は重く受け止めよ~2024/04衆院補選 島根1区の敗戦~
2024/04/28 20:00、衆議院補欠選挙の投票が〆切られ、3選挙区のすべてにおいて、立憲民主党候補のゼロ打ち当選確実が報道された。
このなかで、自民党が候補者を立てたのは島根1区のみ。
島根県は「保守王国」「自民王国」と呼ばれ、長らく自民党が議席を維持してきた選挙区である。
そして細田前議長の死去に伴い実施された今回の補選において、自民党は島根1区を落としてしまったのだ。
今回、自民党から立候補したのは「にしこりのりまさ」という新人候補。
にしこり氏は「財務省中国財務局長」という安定した地位を捨て、『逆風ということは、社会が乱れているということ。そういう中でこそ頑張りたい』と立ち上がり、自らアンケートをまとめて党本部に政治資金規正法の改正を迫るような、これ以上ない候補だった。
そんな候補が、ゼロ打ちで負けたのだ。
これほどの候補者が、自民王国において、候補者が「自民党の信者」と有権者を罵り、区議が「金太郎飴みたいなおじさん」と他党候補(にしこり氏)を罵るような立憲民主党に、ゼロ打ちで負けたのである。
今回は自民の立候補が島根1区しかなかったので敗因分析が難しい選挙と言えるかもしれないが、考えられる可能性は、以下の2つではないだろうか。
①岸田政権への誤解
「【決定版】岸田首相の正体|政治初心者へ贈る岸田政権の教科書(2024/04 日米・日米比首脳会談追記)」において詳細に、ファクトベースで解説している通り、事実を見れば岸田政権の功績は恐ろしい程のものだ。
外交や安全保障では戦後初を続々と叩き出し、経済政策においても、国民負担率を減少させ(1年で2%は14年ぶり)、時間あたり実質賃金は上昇傾向、33年ぶり水準の賃上げ、所得税等を減税。
エネルギー政策についても、東日本大震災以降、安倍政権ですら踏み切れなかった原発の再稼働により電力供給を安定化、トリガー条項の圧力にも負けず、カバー範囲の広い補助金により、ロシア起因の物価上昇を可能な限り回避(他国では電気代3倍なども発生していた)。
いくら立民が世襲候補で自民が新人候補であろうとも、岸田政権がこれだけの実績をあげており、にしこり氏ほどの候補を立てたのであれば、自民王国の島根で議席を落とすなど、本来であれば有り得ない話である。
それをなぜ落としてしまったのか。
「岸田政権の実績に関する広報の不足」が大きいのではないだろうか。
どうしたって物価が上がってしまう現在(ロシア起因)、どれだけ岸田政権が物価上昇を抑え込もうと、どうしても国民の不満をいうのは発生してしまうものだ。
ここに対して、自民党が政権与党として、自党の総裁があげている功績、また物価上昇の原因、それがどれほど抑え込まれているかなど、徹底的に広報すべきではないのか。
それをメディアやインフルエンサー、商売言論人など、国民の不満に同調して煽り、金を稼げればよいと考えている不埒な輩に完全敗北しているのが現在の自民党だ。
②不記載問題
第二に考えられる敗因としては、「政治資金収支報告書の不記載問題」が挙げられるだろう。
「政治資金収支報告書に記載さえしていれば問題なかった」だけのことを怠けたばかりに、問題のないキックバックまでやり玉にあげられ、"裏金" と呼称して報道される事態を招いてしまった。
これは党ではなく派閥の問題であり、議員を含めて行っていた清和会(安倍派)に最も大きな責任があることは、清和会支持者の私から見ても明らかである(志帥会(二階派)は議員側ではなく派閥側の問題、宏池会(岸田派)は会計責任者の問題)。
しかし、清和会は自民党内最大の派閥であって、また一般有権者にとっては派閥も自民党も同じこと。
それを、岸田総裁は自ら指揮を執って派閥を解散させたり議員の処分を行ったりしているにもかかわらず、清和会は誰も責任の所在を明らかにせず、どうにも有耶無耶にしようとしている印象を国民に与えてしまった。
話を聞く限り、たしかに明確な責任の所在は特定できないのだろう(だから検察も匙を投げた)。
しかし、誰かが泥を被らねば、国民感情は簡単に納得しない。
そして挙句の果てに処分に文句を言う者が現れるなど、清和会支持者としてこんな言葉は言いたくなかったが、『言語道断』としか言いようがないだろう。
この件は明らかに、政権ではなく党の問題である。
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そしてこれら2つの敗因は、どちらも「党」に責任が帰属する。
岸田文雄・自民党総裁は、総理大臣として戦後最高レベルの実績をあげており、党総裁として、不記載問題に真摯に向き合っているではないか。
実際、自民党消極的支持のなかには、「今の自民党は支持できないが、岸田政権は支持できる」という声が生まれつつある。
自民党におかれては、責任を総裁に押しつけ「岸田では戦えない論」を展開するのではなく、今回の結果を重く受け止め、襟を正して広報に努め、党として信用・信頼の回復に努めてもらいたい。
これが、自民党の党員として、自民党に対して願うことである。
これを岸田総裁に責任に押しつけてふざけた態度をとるのであれば、自民党の終焉、そして日本の悪夢は嬉々として近づいてくることだろう。
今回の結果はまだに自民党の悪因悪果であり、「困知勉行」が正しい表現とは言えないが、まさに苦しいなかで学び、ひたむきに努力し、捲土重来を起こせる政党であると、私は信じている。
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