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コーヒーの油を拭き取る

営業終了後に欠かさない掃除は油とり。

裏メニューで唐揚げを出している、ということではない。


コーヒーは油だ。

コーヒーには油分が含まれている、と書いた方が正確かもしれない。

サラダ油やオリーブオイル、バターの代わりにフライパンに投入しても代わりにならない点だけは注意してほしい。


コーヒー豆は焙煎(火を入れること)によって油分が出てくる。

焙煎が深いものは、豆の状態からすでにテカテカしているのでわかりやすい。

そうでないものでも、焙煎後の時間経過によって少しずつ油分が滲み出てくる。


「コーヒー豆の、あのテカテカしたやつのない深煎りをください」

過去に2、3回ぐらいこういうリクエストを受けたことがある。

とくに深煎りにおいては、それは難問だ。

できることといえば、低温保管するぐらいだ。


油分が浮き出てくることは、コーヒー豆にとっての一種の生理現象。

真夏にジョギングをしている人に、「汗をかかないでください」とお願いすることに等しい。


深煎りであろうと何煎りであろうと、コーヒー豆には油分がある。

だから、豆が触れる部分には少しずつ油が蓄積していく。

コーヒーミルのホッパー(ミル上部の豆を一度溜める場所)、メジャースプーン、粉受けなど。


放置された油分は酸化していくので、不快な臭いの原因になるとか、固形化してしまうとかいった問題が起きる。

お店においては家庭以上の頻度で油が溜まっていくので、気がついたときではなく、毎日やることにしている。

家庭であれば、毎日やらずとも十分だが、気づいたときにアルコールを染み込ませたペーパーでさっと拭いてあげてほしい。

年末の換気扇の大掃除に比べれば楽なものなので、ぜひ。



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