一晩寝かせたアイスコーヒーの話
寝かせると美味しくなるもの。
カレー、ワイン、ラムレーズン。
アイスコーヒーもそうかも知れない。
とくにドリップコーヒーを急冷して作るアイスコーヒーの場合には。
「なんとなく、一晩寝かせた方が味が落ち着くような気がする」
コーヒー屋に勤め始めてから10年以上、これまでこう答える人が多いように思っている。
アイスコーヒーのメリットの一つとして、低温保管によって賞味期限を延ばせる点がある。
あたりまえだけど、開封後のボトル飲料を冷蔵庫で保管するのと同様。
たくさんのコーヒー豆(粉)を使って大量に抽出したドリップコーヒーを急冷し、低温保管しておくお店は多い。
このとき仕込んでおいたアイスコーヒーと、作りたてのアイスコーヒーを飲み比べると、同じ豆を使っているにも関わらず、その味わいが微妙に異なると感じる人が多いというのが上述の話。
結論から書くと、作りたては苦味が強調され、作り置きは苦味が和らぐ。
といっても微妙な差なのだけど、味覚と温度の関係、作り置きによる時間経過を考えるとそういう結論に行き着く。
これには、2つの影響がある。
(1)味と温度との関係
(2)コーヒーの酸性化
(1)味と温度の関係
コーヒーに関する味わいは、ざっくりと酸味、苦味、甘味で、温度との関係はこう。(旨味、塩味もあるけどここでは省略)
コーヒーに関する味わいは、ざっくりと酸味、苦味、甘味で、温度との関係はこう。(旨味、塩味もあるけどここでは省略)
酸味▶︎温度に関わらず一定
苦味▶︎温度が低いほど知覚しやすい
甘味▶︎体温に近いほど知覚しやすい
シンプルに考えれば、アイスコーヒーは苦味が強調されやすくなるといえる。
(2)コーヒーの酸性化
コーヒーの液体は時間とともに酸っぱくなっていく。
液体の温度が高いほど酸性化が進み、低いほど緩やかになる。
詳しくはこちらの記事にて。
低温下でどこまで酸性化が進むのかはわからないけれど、アイスコーヒーといえど時間が経てば多少は酸性化すると考えられそう。
まとめると、
アイスコーヒーはホットに比べて苦味が強調されやすく、
淹れてからの時間経過によって緩やかに酸性化していく。(ただし、「酸っぱ!」というほど劇的な変化は起こりにくい。)
作り置きしたアイスコーヒーにおいては、コーヒーの酸性化によって、淹れたてよりも苦味が和らぐように感じることになる。
それを「一晩寝かせると味が落ち着く」と表現する人が多いのだといえそう。
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