チームでワーク

シャチって賢い。

彼らは群れで協力して狩りを行うこともできちゃうみたいで、その戦術は非常に高度なものなんだとか。
しかもその戦術は群れによって異なるらしいから、さらに驚愕。

例えば、シャチの群れを構成する個々のメンバーがそれぞれ異なる役割を果たす分業制。

一部のメンバーは獲物を追い詰め、他のメンバーは逃げ道を防ぐ。氷の上で狩りを行う時には、「ウェーブ攻撃」なる戦術を持ってる群れもあるらしく、氷の上の獲物がバランスを崩して海に落ちるようにメンバーが協力して波を起こすというようなもの(時々YouTube Shortsなんかでこの類の動画が流れてくる)。

獲物の種類(魚から海鳥、アザラシ、クジラやサメもターゲットとする)や、狩りの状況に応じてリーダーとなるメンバーを決める、そのリーダーの指示に従って他のメンバーは行動する、なんてこともやってるらしい。そういった狩りで得た知識の蓄積もしていて、それを他のメンバー・次世代に伝えるようなことまでやってるみたいで、動物界でもいや人間を含めた動物界でもトップクラスの知能と協力性なんじゃね?レベル。なんと洗練されたすんばらしいチームとワークなんだろうか!と開かないビルの窓を無理矢理に開けて外を行き交う通行人にこの事実を大声で伝えたい。

でもね、そんなシャチさんたちでもチームワークが機能しないこともある。

例えば協調性が欠如した場合。

一斉に獲物を追い詰めようとしているときに個々のメンバーの動きがずれたり、役割分担が重なったり欠けていたりすると獲物に逃げられてしまう。獲物がクジラやサメなどの場合は、逆に反撃されて狩りを中断せざるを得ないケースもあったり、メンバーが傷を負ったりすることもある。そりゃそうだ。いつでもうまくいくなんてことはないでしょう。


万事整わない限り、物事がうまくいくわきゃないわな・・ってのはビジネスにおいても当たり前だよねぇという文脈で、リピットさんとノスターさんが体系化したリピット・ノスターモデル(※)を引っ張り出す。
(※)90年代のはじめくらいに出てきた古いモデル。ボクは的を射ているなあと思ってる。そのモデルが何たるかを説明したものとして、何ヶ月か前に友人がシェアしてくれたこの動画がわかりやすかったのでシェア。

ボクはそのモデルを自分でちょっとだけモディファイしたものを常に意識するようにしている。どういうものかというと・・

ビジョン + 合意形成 + 資源 + 実現能力 + 実行計画 + 動機付け、これら6つが整って初めて思い描いていることが実現できる、つまり成功につながる、物事がうまくいく可能性が高まる、というもの。

シャチの群れに例えるなら、

  • ビジョン:氷の上のアザラシを狩る

  • 合意形成:群れのメンバー全てがそのアザラシを狩ることを理解し合意する

  • 資源:そのアザラシを狩るために必要な複数の役割をこなすメンバーが揃っている

  • 実現能力:その役割をこなすだけの経験と知識と体力がある

  • 実行計画:狩り開始➔追い込み➔捕獲の全過程が全メンバー間で共有されている

  • 動機付け:狩りがうまくいけば分け前がもらえる

というようなこと。どれかひとつでも欠けてしまうとうまくいかない。

ビジネスに寄せた表現に置き換えるならこういうこと。

  • ビジョン:将来の明確なイメージがあるか(売上利益目標・事業改革・新規事業開発など)

  • 合意形成:そのイメージを実現したい、と全員が同じように強く思えるか

  • 資源:イメージを実現するための資源(ヒト・モノ・カネ・情報)はあるか

  • 実現能力:イメージを実現するためのスキルは充分にあるか

  • 実行計画:想定できるすべてのリスクに対処した実行計画はあるか

  • 動機付け:計画に関わるメンバーのやる気を最大限に高めるだけの環境や仕掛けがあるか

これらすべての要素が揃い、噛み合って機能している状態がチームワーク。

どれかひとつでも欠けてしまうとどうなるかと言うと・・・

◆「ビジョン」が欠けた場合 ➔ 混乱する。「で、どうしたいの?」「何を実現したいの?」

◆「合意形成」が欠けた場合 ➔ 妨害される。「そんなことやっても無価値でしょ」「ボクは協力できません」

◆「資源」が欠けた場合 ➔ 不満噴出。「こんな仕事量、やってらんねー」「全然予算足りないじゃん」「必要な情報共有してもらわないと先に進まん」

◆「実現能力」が欠けた場合 ➔ 頓挫する。「そもそも無理ゲー。こんなのできっこない」「そんな経験もスキルもありません」

◆「実行計画」が欠けた場合 ➔ ずっこけ。「で、何をいつまでにどうやるの?」「なにすりゃいいか全くわからん」

◆「動機付け」が欠けた場合 ➔ やる気ゼロ。「どうせがんばっても報われないんでしょ・・」「これやり切ったとしてきちんと評価されるんかな?」

というロードブロックが生まれてしまい、成功とはほど遠い結果しか起こらないことが容易に想像できてしまう。


このチームワークという言葉、そもそもどういう定義なのかとWikiで調べてみると、

「集団に属しているメンバーが同じ目標を達成するために行う作業、協力、意識、行動」

ということらしい。要は「チームでうまいことワークする」ってこと。

この定義を分解してリピット・ノスターモデルに照らし合わせてみるとこうなる。

  • ビジョン:同じ目標

  • 合意形成:協力

  • 資源:集団に属しているメンバー

  • 実現能力:行動

  • 実行計画:行う作業

  • 動機付け:意識

なるほど、チームワークの定義とリピット・ノスターモデルはバッチリとマッチしてるように思える。

ということは、

ビジョン + 合意形成 + 資源 + 実現能力 + 実行計画 + 動機付け

これら6つの要素がひとつも欠けないように丁寧にケアし、且つそれぞれを高い品質に持ち上げる取り組みを続けることが、チームワークを良くする努力、と言えるんじゃあないでしょうかね。

チームワークチームワークってなんだか安易に使われ過ぎているように思えるんだけど、いやそんなカンタンなものじゃないでしょ、ってね。シャチなどのチームワークに優れた動物にボクらが劣ることないようなチームを作り上げ6つの要素を意識してワークできるといい。

個人ではとてもじゃないけどやれないようなことをやり遂げるためにたくさんのヒトが集まってるのが会社。
その会社に所属するひとたちの6つの要素が揃ってない、噛み合ってない状態じゃあ何かを成し遂げるのはまず無理。

だからさ、6つの要素のうち欠けてるものが無いかとか、欠けてんならどうすればその要素を獲得できんのか、とかとにかく議論するしかないじゃんね。
その議論すら放棄してしまうようじゃあたくさんのヒトが集まってる意味も価値もない。

言葉を使って会話できるスキルを持ってるボクらはシャチよりも容易にコミュニケーションできるんだから(だよね?)、チームでワークしましょうよ、ってね。


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