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英文解釈【演習】入門 従属接続詞1
入門レベルの英文を実際に見ながら英文解釈の演習を行っていきます。
それぞれの品詞や句・節などを確認しながら、最終的に簡単な訳を考えていきます。ただし、和訳をすることそのものではなく、英文構造を把握するときの頭の働かせ方、辞書の使い方などの「考え方」を身につけることが重要なので、自分でイチからこの考え方を再現できるようになることを目指してじっくり進めてください。
<今回扱う英文>
Although the Japanese government promotes the system of exchange students, most of them are from Western countries.
※よく使う基本的な英文解釈のルールは以下のpdfにまとめてあるので、適宜参照しながら定着させていきましょう。
※前提となる用語などの知識が怪しい方は、基礎知識まとめの記事をまず読んでみて下さい。
Although the Japanese government promotes the system of exchange students, most of them are from Western countries.
【構造分析】
(ア)”Although the Japanese government promotes the system of exchange students”は副詞節で修飾語(M)
文頭のAlthoughは、従属接続詞です。従属接続詞は後ろに文を伴い、(従属接続詞+S’V’〜)で大きなひとつのかたまりになります。
※使われる従属接続詞によって、そのかたまりが文中で①副詞節(SVを含む副詞の働きをするかたまり)になる場合と、②名詞節(SVを含む名詞の働きをするかたまり)になる場合があります。今回はまず以下に①副詞節を作る従属接続詞をまとめておきます。
〈副詞節を作る主な従属接続詞〉 ※要暗記
(when+S’V’〜) 「〜のとき」
(while+S’V’〜) 「〜のあいだ」「〜の一方で」
(before+S’V’〜) 「〜の前に」
(after+S’V’〜) 「〜の後に」
(because+S’V’〜) 「〜なので」
(since+S’V’〜) 「〜以来/〜から」「〜なので」
(if+S’V’〜) 「もし〜なら」
(although/ though+S’V’〜) 「〜だけれども」
(unless+S’V’〜) 「〜でない限り」
(until+S’V’〜) 「〜までずっと」
(as+S’V’〜) 「〜のとき」「〜なので」「〜につれて」「〜のように」
(whether+(S’V’) A or B) 「AであろうとBであろうと」
(whether+(S’V’) A or not) 「Aであろうとなかろうと」
※ 2語以上のかたまりで従属接続詞になるものもあります
(by the time+S’V’〜) 「〜までに」
(as soon as+S’V’〜) 「〜するとすぐに」
(even if+S’V’〜) 「たとえ仮に〜でも」
(even though+S’V’〜) 「たとえ〜でも」
(as long as+S’V’〜) 「〜でさえある限り」
(as far as+S’V’〜) 「〜の範囲では」
(in case+S’V’〜) 「〜するといけないから」
(now that+S’V’〜) 「今はもう〜なので」
(so that+S’V’〜) 「〜するために・〜するように」「その結果〜だ」
これらが「従属接続詞である」ということと、それぞれの意味をまずはしっかりと暗記しましょう。その際に、辞書を確認してそれぞれの例文をしっかりと見ておきましょう。
ここではAlthoughが従属接続詞なので、この後にS’V’〜と文が続き、全体で副詞節となり修飾語(M)の働きをするはずです[基本ルール2 (ⅵ)-1]。よって、ここから(M)の括弧が始まります。
そして後に続く文を見ていき、この副詞節の(M)がどこまでか判断することになりますが、先に確認しておくと”〜the system of exchange students,”までが(M)になっています。(今回はstudentsの後にコンマがあることも、副詞節の終わりのヒントになります)
上記のように(従属接続詞+S’V’〜)は全体で1つの副詞節となり、文中で修飾語(M)になります。よって、これだけでは文が成立せず、メインの文SV〜が必要です。(このメインの文全体を「主節」、それ以外の文を「従属節」と呼ぶこともあります。)
(従属接続詞+S’V’〜), SV〜.
SV〜(従属接続詞+S’V’〜).
SV(従属接続詞+S’V’〜)〜.
など、メインの文SV〜のさまざまな場所に(従属接続詞+S’V’〜)という副詞節の(M)が割り込んでくるような形になります。メインの文(主節)SV〜と区別するために、それ以外の文(従属節)はS’V’〜と表記します。
(従属接続詞+S’V’〜)は①全体としては1つの副詞節の(M)で、その(M)の②内部構造はS’V’〜になっているという異なる2つのレベルで英文を捉えていることを意識しましょう。
では、Althoughに続く文の部分を見ていくと、
the Japanaes governmentは、[定冠詞the+形容詞Japanese+名詞government]でまとめて1つの名詞の働きをします(こちらの記事も参照)。
名詞の文中での働きは6つ[基本ルール1 (ⅰ)]ですが、ここではAlthoughに続く文の文頭にある名詞なので、主語S’だと判断します。
続くpromotesは動詞の現在形です。動詞の文中での働きは2つ[基本ルール1 (ⅱ)]ですが、主語Sの後にあることや、現在形の動詞は必ず述語Vになることから、これは述語V’だと分かります。
その後のthe systemは[定冠詞the+名詞system]で1つの名詞です。名詞の文中での働きは6つ[基本ルール1 (ⅰ)]ですが、ここでは他動詞(目的語Oが必要な動詞)であるpromote(s)の後にあることから、目的語O’だと判断します。
続くof exchange studentsは、(前置詞of+名詞exchange students)でひとつのかたまりです。前置詞は、原則的に(前置詞+名詞)の形で使い、全体で形容詞句となって名詞を修飾する(M)になる[基本ルール2 (ⅲ)−1]か、副詞句となって動詞/形容詞/副詞/文全体を修飾する(M)になる[基本ルール2 (ⅴ)−1]かのどちらかです。
ここでは、直前にthe systemという名詞があるので、それを修飾する形容詞句の修飾語(M’)だと予想します(急にthe system「その制度」と言われても何のことか分からないので、後ろにそれを説明する修飾語が続くだろうという予測もヒントになります)。
そうすると「交換留学生という制度」「交換留学生のシステム」など、意味的にも問題ないので、やはりthe systemを修飾する形容詞句の(M’)でよさそうだと分かります。
ここまでで従属接続詞Althoughが作る副詞節の(M)の括弧を閉じます。
※ the system of exchange students「交換留学生の制度」「交換留学生というシステム」と訳しましたが、前置詞ofはさまざまな用法がある重要な前置詞なので、ここで簡単に確認してみます。
〈前置詞ofの用法〉 A of B
①所有格「BのA」 (一般的な、「〜の」と訳すof)
▶︎the roof of my house 「私の家の屋根」
▶︎the city of Japan 「日本の都市」
②同格「BというA」 (AとBがイコールの関係)
▶︎the idea of capitalism 「資本主義という考え」
※ the idea = capitalismなので同格ですが、日本語では「資本主義の考え」と訳すことも意味的に大差ないので可能です。このように②同格でも「〜の」と訳すことができる場合もありますが、①所有格と区別がつかないので、反射的に「〜の」と訳すのではなく、①所有格か②同格なのかをしっかりと理解した上で文脈をよく考えて訳出しましょう。
▶︎the city of Tokyo 「東京という都市」
※ the city = Tokyoなので同格で、こちらの例は意味が変わってしまうので「東京の都市」と訳すことはできません。(the cityの指す範囲を「区町村」と考えれば「東京の都市」と訳すこともあり得ますが、それはあくまでofを①所有格と理解していることになるので別物です)
③目的格「BをAすること」 (BがAの目的語O)
▶︎the protection of the natural environment
「自然環境を保護すること」
※ 名詞protection「保護」の動詞形protect「〜を保護する」の目的語Oがthe natural environmentという関係になっています。このように、Aにあたる名詞を動詞にした場合に、Bがその目的語Oの関係になっています。
※ これも、「自然環境の保護」と「〜の」で訳しても問題ないこともありますが、堅い文章になるほど、Aを動詞的に訳して「BをAすること」としないとうまく訳出できない場合があるので、慣れていきましょう。
▶︎the intake of protein 「タンパク質を摂取すること」
※名詞intake「摂取」の動詞形take「〜を摂取する」の目的語Oがproteinという関係になっています。
④ 主格「BがAすること」 (BがAの主語S)
▶︎the arrival of the President
「大統領が到着すること」
※ 名詞arrival「到着」の動詞形arrive「到着する」の主語Sがthe Presidentという関係になっています。このように、Aにあたる名詞を動詞にした場合に、Bがその主語Sの関係になっています。
※ こちらも、「大統領の到着」と「〜の」で訳しても問題ないこともありますが、Aを動詞的に訳して「BがAすること」としないとうまく訳出できない場合があります。
▶︎the growth of the economy 「経済が成長すること」
※ 名詞growth「成長」の動詞形grow「成長する」の主語Sがthe economyという関係になっています。
(特に③目的格④主格のofの用法を合わせて「名詞構文」と呼ぶこともあります。)
以上のように、前置詞ofは「〜の」と訳して満足せず、AとBの関係性を意識してより正確な理解を目指していきましょう。
今回の文のthe system of exchange studentsは、the system=exchange studentsなので、②同格のofで「交換留学生という制度」が基本的な訳になります。
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