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生死生命論

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記事一覧

東京万景 新宿哀愁

「生きるということは金が必要ということ」 妹が倒れてから3週間目に入りました。その間、予断を許さぬ状況を経て、ようやく一般病床に移りました。といっても、脳の出血なので一般病床の中の個室の観察部屋に移動しています。これから4人病床への移動ということになります。ちなみに4人病床にもランクがあって、1日約1万円、約8千円という有償の部屋2段階に、最低の無償という3段階で、有償の2段階に1ヶ月入っていれば月に30万円ほど払わなければなりません。まあまあのビジネスホテルに1ヶ月宿泊

東京万景 新宿哀愁 師匠への手紙

先生へ いつもお世話になっております、ワタナベです。 11月1日に新宿の救急隊から、僕の妹が嘱託社員として働いている会社で作業中にくも膜下出血で倒れて西新宿の東京医科大学病院に緊急搬送されたと連絡がありました。 聞けば「脳動脈瘤がふたつあり、そのうちどちらから出血したのかわからないので、瘤ふたつにチタン糸を巻き入れて塞ぎ、同時に手術中に血栓が飛び、脳梗塞を起す危険があるのと水が溜まり水頭症の危険もあるので同時に処置を行なっている」ということで、同病院で2週間、救命センタ

東京万景 新宿編「兄であり夫である僕は疲れるんだよ」

救急搬送された最初のH山記念病院で脳のCTを撮って「くも膜下出血」だと判明して、そこから西新宿のT京医科大学病院に搬送された。 精密検査の結果、脳動脈瘤がふたつあり、いずれからの出血か判明しないので、太股からカテーテルを差し入れて血管内を通して脳動脈瘤ふたつにチタンの糸を巻き入れて塞ぎ、瘤の中に血管が通らないようにした。同時に術中に出た血の塊(血栓)を抗血栓薬で溶かすことも併せて行なった。これが5時間以上の手術となった。 しばらくはEICUで経過観察を行なうことになる。血

東京万景「新宿 成子天神社の富士塚」

僕は富士塚が好きで、外出先で富士塚があると聞けば足を運んで登山してみる。高いところでは品川神社、市原若宮八幡神社、流山浅間神社、松戸金山神社などに登った。登山と言っても富士塚というのは人工的に作ったミニチュア富士山のことだからたいしたことはない。 妹が入院した病院の斜め前に、このあたりの氏神である「成子天神社」がある。昔、この地域は柏木村鳴子と呼ばれていて、鳴子が成子に変わったのだ。僕は若い頃にこの近くの成子坂下にあった美術雑誌の営業として半年ほど働いていた事があるので、こ

シルバー人材日記「11月Ⅰ日の不運」2

「医師たちは、死んじゃう洗脳で責任回避を図る」 妹の持ち物を全て確認しました。 「妹さんのかばんは2つ、スマートフォンも2つありますが、こちらでは勝手にかばんを開けたりスマートフォンを操作したりしていません。ご確認のうえ、よろしければこちらにサインをお願いします」 かみさんがサインをしました。 妹の衣服と下着と靴、時計、かばん2つにスマートフォン2つが大きな白い紙袋に入れられていました。 (倒れた際に着ていた衣服はわかるが、かばんは? ああ、救急車で運ばれる際に、先ほどの妹

シルバー人材日記「11月1日の不運」

「不運の連続性を断ち切れ!」 「不運(不幸)は連続する」と、よく言われます。腹が立つほどの迷信ですが、今は不運続きです。 かみさんの乳がん手術は今月末に決まりました。ステージ0というからには手術をすれば生命の危険はないと思われますが、そのために両方の乳房を失ってしまう代償は大きいのです。今はそれを克服して手術に望もうと精神的な準備をしているときなのです。 この日(11月1日)は、シルバー人材センターに10月分の業務報告書を提出しに出かけようとしていました。11月1日・

シルバー人材日記         「危機を想定するのは難しい」その1

「かみさんと乳がん」 かみさんと結婚したのは1991年だった。平成3年だ。当初は僕の実家がある神奈川県大和市で暮らしていた。結婚数年後にかみさんが乳房に異常を感じて、相模原の北里大学病院で診てもらったら「乳腺症」ということだった。それからの経過を記憶していないが、完全に治療することなく、かみさんの実家があった今の千葉県に引っ越してきた。 2004年になって「乳房にシコリがあって痛い」と言うので、「乳がんの専門病院に行ってもいいか?」と言われ、当時は会社員でありながら、

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Die Angst verschwindet

シルバー人材日記「転倒と病」

「施設施錠転倒事件」 昨夜は学校施設施錠管理の仕事でした。 市内の活動施設が工事をすることになり、そこで活動していた市民活動グループさんが、かみさんが解錠施錠管理をしている中学校の施設を利用することになりました。そのために午後7時から9時までの利用が増えました。以前も経験したように夜の施錠は少し危険なので、必ず僕が同行しています。 昨夜も同行して、午後9時に市民活動の方々が退出してから、施設内を見廻ったあとに玄関の施錠をしようとしました。施錠作業は、まず、警備会社のセキ

シルバー人材日記「タクシー綺談」前編

「人が働いている時に眠るって幸福なの?」 今日は早朝にかみさんひとりに「放置自転車探し歩き」を任せたつもりが、かみさんの身体が心配なので、探し歩きの終り頃に駅前まで迎えに行った。2人で帰宅してから児童見守り歩き(今日は15時45分~18時30分まで)のために出発する時間の2時間前まで眠った。3時間弱眠った。 13時少し過ぎに起きて、ダラダラとテレビ画面を観ながら見守り歩きの準備。同時に病気が再発したと思われるかみさんのための病院探しと治療費の工面をどうしようかなどと悩

成功と失敗

以前から何度も書いていますが「成功」とは何でしょう? 思いつくのは単純に「会社の社長になった」、「総理大臣になった」、「大金持ちになった」ってことですが、そもそも、そんなつまらないことが成功なのか?ってことは置いといてさ、それが死ぬまで継続できるか?というと、違うでしょう?人間だから病気になったり、裏切りにあったり、身内が馬鹿だったり、世界的不景気になったり大災害が発生したりするじゃん。だから完全なる成功なんてあり得ないんです。 僕がなりたかった小説家や漫画家や芸術家なん

「運命を左右する自分自身が神であることに気づけ」

僕は、神社や寺が好きで、前を通ることがあれば必ず手を合わせて家族の無事を祈っています。しかし、もし、大事な人が、あまりにも不幸な要因によってこの世からなくなることがあれば神頼みなんてことは一切しないでしょう。神社や寺や教会には行くこともなくなるし手を合わせて拝むなんてこともいたしません。 「金払ってるのに少しも言うことを聞いてくれない者」を有り難がるなんてことは本当に愚かだと思うのです。ですから神社や寺好きでも、それなりに歴史があるからであって、歴史の遺構として重要視してい

生死生命論「自分の年齢に気づく恐怖」

信じられないでしょうが、僕は最近まで自分は中年ぐらいに見えるだろうと自惚れていました。だって、電車で座る若者の前に立っていても、シルバーシートの前に立っていても、誰も席を譲ってくれませんからね。あ、譲ってほしいのではありません。足腰はまだまだ大丈夫ですとも言えませんが、席を譲ってほしいなんて少しも思いません。 でもさ、あるとき鏡で自分の顔をじっくりと見ると、スゲーお爺ちゃんなんですよ。そりゃ若い頃とは違うだろうけどさ、まだ維持されていると思っていた中年の頃の顔と明らかに違う