#10 天国のF子ちゃんへ
11月19日は、2年前に亡くなった同い年のママ友、F子ちゃんの誕生日でした。
15年来のママ友F子ちゃん
F子ちゃんは、
次女を妊娠していた頃に出会ったオスロの日本人ママ友です。
彼女も当時、長男くんをお腹に抱えていて、
予定日が近かったことから自然と仲良くなりました。
一緒にカフェでお茶をしたり、
子どもたちの誕生日をお祝いしたり、
そんな何気ない時間を共有していました。
F子ちゃんは、物静かだけど、
芯の強さと内に秘めたエネルギーがある。
そんな印象的な女性でした。
オスロで修士号を取得し、
ノルウェーで公務員として活躍しながら、
素敵なお家で、
優しく穏やかなご主人と
二人の可愛いお子さんと暮らす、
その姿は、ただただ眩しい見えました。
久しぶりのF子ちゃんからの電話
それぞれ仕事や子育てで慌ただしい毎日に追われ、
気付くと十年以上も疎遠になっていました。
交流といえば、お誕生日にお祝いメッセージを送るぐらいになっていたある日。
コロナ禍の夏、
今思えば彼女ががんの宣告を受ける1~2ヶ月前のことでした。
「日本人向け商品の市場マーケティングを手伝ってほしい」
と電話がかかってきたのです。
久しぶりの連絡が嬉しくて、
子育てや我が子の日本語教育、独立した仕事の話など、
すっかり話し込んでしまいました。
電話越しのF子ちゃんは、
「日本語、ちゃんと教えてないからダメ親なんだよねー」
と言いつつも、
彼女の子どもたちへの愛情と信念が
ひしひしと伝わってきました
その会話が最後となり、
翌年の秋、彼女はがんと逞しく闘った末、
当時13歳と7歳の長男くんと長女ちゃん、ご主人を残し、
天国へ旅立ってしまいました。
天国からの思いはちゃんと通じている
あれから2年。
今、私もがんと闘っていますが、
F子ちゃんの長女ちゃんが、
私の運営する日本語教室の常連メンバーとして、
毎月開催する日本語キッズ会に来てくれるようになりました。
長女ちゃんは、
ノルウェー人のお友達を連れて参加してくれる、
日本とノルウェーをつなぐ、
「小さな親善大使」のような存在です。
ノルウェー発日本語キッズ会への思い
「日本語を学ぶ」のではなく、
日本語・日本文化に触れながら
様々な子どもたちが
仲間とつながれる場所。
そんな場所を目指して始めた、
教室活動とは別の
日本語キッズ会。
、
その日本語キッズ会に
長女ちゃんがいつも来てくれます。
日本語が話せなくたって全然良い。
日本語に時々触れてもらって、
日本文化を体験してもらって、
日本を感じてもらって、
日本を好きでいてくれたら
それで良い。
そこで、新しい仲間を見つけてくれたら
もっと嬉しい。
そんな思いで毎月開くキッズ会に
その思いをしっかり受け止めてくれるかのように
長女ちゃんが来てくれます。
F子ちゃんへ
F子ちゃん、
ご主人がね、
ほぼ毎月のように、
長女ちゃんを日本語キッズ会に連れてきてくれてるんだよ。
イベントの申込書とか説明案内の英語版を作り始めたのは、
ご主人が日本語読めないからなんだよ(笑)
F子ちゃん、
長女ちゃんね、折紙、めちゃくちゃ上手だよ。
手が器用なのは、ママ譲りだね。
F子ちゃん、
でも、長女ちゃん、舌は完全にノルウェー人だね。
桜餅作りの時に、餡子を避けてたよ(汗)。
F子ちゃん、
長女ちゃんが日本語キッズ会に来てくれるの、
すごく嬉しいの。
そのためだけでも、日本語教室始めて本当に良かったって思ってるの。
F子ちゃん、
長女ちゃんの日本語の心配はいらないよ。
F子ちゃんがいなくても、F子ちゃんの思いはちゃんと受け継がれているから。
F子ちゃん、
今年のF子ちゃんの誕生日に私がご家族からお見舞いのお花を頂いちゃったよ。
F子ちゃん、
お誕生日おめでとう。