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AIとやってみた 第1134話・3.20

「外の世界を見たくなるのかもしれないが、やっぱり数かしら」 数学が大好きな少女は電卓を持ち歩きながらそんなことをつぶやいていた。
「おい映画を見に行かないか?」突然少女に声をかけたのは映画が大好きな友達の少年である。少年は普段は家族と一緒に映画館に行くのが楽しみだったが、家族は出かけており、この日はひとりであった。
 ひとりで映画を見ようかと思っていた時に、友達の少女が目の前を過ぎたのだ。
「いいけど、ねえ、どんなタイトル」少女は少年に映画のタイトルを聞くと、どうやら数字をテーマにしたものなのだという。

「面白そう!」少女はすぐに少年の誘いに乗った。「実は学校で映画のプロジェクトを任されたんだ」少年は得意げに語る。
「映画のプロジェクト!」相変わらず数の魔力に嵌ったまま電卓を眺めている少女であったが、少年の言葉には反応した。彼が言うには自分が考えたストーリーを映画にできるというからだ。

「参考になるかどうかわからないけれど...…一緒に見て感想を言ってくれ」彼の熱意に彼女は思わずうなづく。
 こうしてふたりは映画を見た。だが普段から電卓で計算ばかりしている少女は、開始早々あくびをしてしまう。
「ふぁああああ!」といわないように口で噛み殺す。完全に睡魔が襲ってきたようだ。そのまま居眠りをはじめてしまう。コクリと頭が後ろに下がった時に少女は目覚めると、驚いたことに周りの世界が数字や計算式で溢れかえっているではないか!
「あれれ?なんで、どうしてここまで数字ばっかりなんだろう?」と不思議に思いながら、周りを見ていると、みんな突然訪れた不思議な世界に戸惑っている。
「この現象ってもしか?」だが少女は他の人とは違っていた。この現象の正体を素早く見つけたのだ。すると再び電卓を片手に計算や数字で様々な公式を解き始めた。どのくらい経ったのかわからない、最終的に彼女は問題を解いたことで、おかしな現象が次々と解消されていく。

「あ、あれ?」彼女は夢を見ていたようだ。目の前のスクリーンの画面を見ると「世界に再びバランスをもたらすことができた」という言葉がナレーションによって発せられた後、エンドロールが流れている。
「え、終わっちゃったの映画...…」少女はずっと眠っていてほとんどで映画を見ていなかった。

「ねえ、どうだった」映画館を出るときに少年に感想を聞かれたが、彼女は答えることができない。だけど少年と約束した以上「寝てた」とは言えない。そもそも映画の料金も彼が払ってくれている。
「数がテーマだったし、あれ見てたのかも」彼女は断片的に夢の記憶が残っていたのが現実の作品と思ったのか、そのことを話した。ところが少年はみるみる顔の表情を変え不思議な表情になっていく。
「ええ、何それ?」彼女の話に少年は戸惑った。「あ、ごめん、実は...…」少女は寝ていて夢を見ていたと、小さくつぶやきながら白状する。

 だが少年は目を輝かせると「それってすごい!」と声に出して言い出した。実は映画を作りたかったが、どうしたらよいのか迷っている。映画を作る予算もなければ演じてくれる役者もいなかった。それ以上にいざ自分でストーリを作るとなると、どうもうまくいかない。頭の中で構想は練っていても具現化できないのだ。彼は何か打開策はないかと思い困り果てていたので、第3者に一緒に映画を見てもらい感想を聞けば何かのヒントになると考えたときに彼女と出会う。
 少女は映画を見ずに眠っていた。だが彼女から語られた夢のエピソードは今見た映画よりもはるかに面白かったのだ。思わず彼女の夢のエピソードを声に出して復唱する。

「まあ、それ素敵ね」突然ふたりの前に声が聞こえた。「横で勝手に聞いていてごめん。でもそれって面白いエピソードね」現れたのは映画館のマネージャーである。
「え、もしかして」少年はマネージャーをみるとその正体がすぐにわかった。この人物は実は映画界のレジェンドといわれている超大物。すでに現役から離れて久しいが、余生をこの小さな映画館のマネージャーとして携わっていたらしい。マネーシャーは少年の才能に目を付けた。マネージャーは少年に、映画業界の人々に脚本を見せて回るようにアドバイスを始める。
「それから主役は彼女で決まりかな」少年は少女を指さしてそういった。

 少年とマネージャーが会話をしているからと、再び横で電卓を操作していた彼女であったが、突然少年が映画の主役に抜擢。「うん、いつも電卓で計算している少女が主役、これ行けるわ」マネージャーも同意し、気が付いたら少女が主演の映画作りが始まった。少女は一瞬戸惑ったが、なんとなく面白そうな気もしていたので、主役になってみようと決意する。

「こうなったら私の持っているノウハウをすべてあなたに教えるわ」人生の終盤を迎え終活をしながら、余生を映画館で過ごしていたマネージャーの眼も輝いた。こうしてマネージャー自ら役者を探す手伝いをしてくれる。マネージャーはレジェンドだけあって、顔が広くすぐに役者が集まった。一流俳優こそはいないが、俳優の卵や元俳優といったお金のかからない役者がそろう。さらに主役は全くの素人の彼女だが、レジェンドからすればそれが面白いというのだ。
 こうしてレジェンドでもあるマネージャーは映画を作るための全てを教えてくれた。

 少女は突然映画の主役をやることになり、どうしてよいか戸惑ったが、やることは、普段の生活と大きくと変わらないからと聞いて安心する。ストーリーそのものはもちろん創作だが、彼女の動きはノンフィクションのドキュメンタリーのようなタッチとなった。彼女が夢で見た話をベースに、ストーリーの脚色がなされる。彼女は数学の天才少女として、世界に公式や証明を教えたことになっていた。その結果、世界はさらに進化し、計算や数学に関心を持つ人間が増えるようになるという物語だ。

 こうして映画は完成した。彼は作品を映画プロデューサーに見せる。すると「面白い!君は数十年に一度の天才だ!」と大好評を得た。彼の才能が認められると、そのまま上映される。その内容は共感を生み大成功に終わった。こうして「天才少年映画監督」として彼は一躍注目される存在になったのだ。

 また主役を演じる少女、演技をしているのではなく、素のままスクリーンに現れて演じている。彼女は数字が蔓延する不可思議な世界を元の世界に戻そうと、ひたすら電卓を叩きながら自ら編み出した数式を繰り出していく。
 実際にそんなことはありえないのだが、彼女の素の動きがあまりにもリアリティがあるために人々の共感を生んだ。

 最後に彼女は「数学は決して怖くないし、電卓があれば、どんな問題でも解決できる」と言い切り、最後の数式を解き終えると、ついに世界は元の姿に戻った。「元に戻ったわ。でも私は」彼女は今後も数学と共に生きることを決意し、自分が偉大な数学者になるような努力を怠らず、自分らしい未来を手に入れようと誓ったところで幕が下りる。

 映画のエンドロールが流れると場内に拍手が起こった。映画でここまで拍手など起こることはめったにないが、観客はみんな「感動した」と口々に言いそして素敵な笑顔を見せる。

 舞台挨拶ということで少年と少女が舞台に立つと再び拍手が起こった。映画を通じて夢を追いかけることの重要さと、困難に立ち向かう勇気を少年は学び、そしてそれを語る。少女も映画の主人公のように数学者を目指したいといいながらやはり電卓を片手に持っていた。

「ありがとう」舞台あいさつの後少年は少女に礼を言うと「私こそ、新しい夢が」と笑顔で応じるとお互いが歩み寄って握手をする。こうして、困難を乗り越え、夢を追いかけることの素晴らしさを描いた物語。少年が作り上げ、少女が演じた映画は、たくさんの人々の心を打つのだった。
 


※「映画にまつわる思い出」「電卓の日」というそれぞれのタイトルでAIの機能で作らせた童話、ふたつ物語を混ぜながら一本の実験小説にしてみました。

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