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【小説】アンドロイドは空想を描くか

この小説はフィクションです。
実際の人物、事件、団体等とは一切関係ありません。

一話完結の短編。約7600文字です。


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・紀元前XXX年

 哲学者は空を見ていた。いや、「見ているものが本当に空なのか」考えていた。

 彼が立つその場所は、空ではない。屋根の上に立ったとして、まだその場所は空ではない。山の頂上に登ったら、そろそろそこは空だろうか。

 鳥が飛んでいる空間は空だ。では鳥が降りてきたら、そこは空だろうか。どこまでが空で、どこからが空じゃないのか。


 何故だろう。世界は不思議だ。


 哲学者は毎日、そんなことばかり考えていた。仕事をロクにせず、時には食事すら忘れて思考に耽るものだから、周りからは気味悪がられた。

「君さぁ。そんな馬鹿なこと言ってないで、もっと現実的で役に立つことをしなよ」

 嘲笑気味に語る人。その言葉は侮蔑半分、心配半分といったところか。

 正論だった。哲学者の疑問は生活に全く役立つものではなく、一切の儲けにならない。


 しかし哲学者は考えることをやめなかった。

 むしろ、「何故役立つことに固執しなければならないのか」と疑問を膨らませた。

 哲学の欲求は、周りには理解できない。それは生物としての基本的な欲求ではなく、英知を得た人間ならではの高度な欲求だ。


 今はまだ、哲学は『無駄』かもしれない。

 ではもし、未来なら? 人の英知が発展し、文明が進歩したなら?

 想像したものを何でも作り出せるような、そんな高度な時代を考える。想像と現実の境界が曖昧になった時代で、哲学はどのような意味を持つのだろうか。


§

・西暦20XX年

『統制アルゴリズムが、朝7時をお知らせします。本日の天候設定は午前中が晴れ、午後から160分間の雨。幸福指数平均は58.7です。皆様、本日も良い一日を』

 ウェアラブル端末が音声を流す。少年は、電灯から照射される覚醒光を浴びて微睡みから目覚めた。

 いつもならベッドから体を起こして、顔を洗って、朝ご飯を食べる。だが、学校に行くための行動に、少年は食指が動かなかった。

「学校……行きたくないなぁ」

 少年は、眠くも無いのにベッドに潜っていた。迫り来る登校の時間に対する、少年なりの抵抗だった。


 しばらくその抵抗を続けていると、ドアをノックする音がした。返事をする前に、彼女は少年の部屋に入る。

「失礼します。主さま。起床時刻を過ぎております。遅刻してしまいますよ」

 優しくて、それでいて張りのある声。メイド服の女性が、少年を起こしに来た。

「……分かってるよ。でも、行きたくないんだ」

 少年は珍しくワガママを言った。厳しい母親だったら、ここで息子を窘めるかもしれない。

 だが彼女は少年の母ではなかった。そもそも人間ではなかった。

 彼女はアンドロイド。AIを搭載された、人間そっくりの機械だ。


 AIの進化はここ数年、日進月歩の勢いだった。

 初期の頃のAIは低性能で、道具としては全く使えないものだった。AIが流行り始めた頃は少し性能は上がったものの、世間の理解が追いついてないのもあり、人工知能とは名ばかりのエセ製品が出回った。

 そして現代。四苦八苦の末に技術者達が生み出したそれは、最早人間の知能と大差ないクオリティだった。


 人のような心と人のような体を与えられたロボット。彼、あるいは彼女は『国産AI搭載労働用人型機器』……通称『Thinking Reed』。

 人と同じ姿をして、人の代わりに働く。そのための機械である。


 この家にメイドとして”雇われた”彼女は、両親の不在が多いこの家に住み、親代わりとなって少年の面倒を見ていた。少年も彼女の家族として扱っていた。

「主さま。体調が優れないのですか?」

「違うよリリィ。僕は元気だ。元気だけど……元気になれないんだ」

 少年は彼女を「リリィ」と呼ぶ。識別番号は「F-014467BD」だが、そんな名前で呼びはしない。

「元気だけど元気になれない? すみません主さま、理解しかねる表現です」

 リリィは困り顔をした。少年は暗い顔のまま立ち上がる。

「ごめん。起きるよ。心配させたね」

 少年の表情を窺って、リリィは発すべき言葉を構築する。

「すみません。私の性能が及ばず、主さまのお気持ちが計測出来ませんでした」

 リリィは頭を下げた。アンドロイドは「心が分からない」と自称する。だが、心を理解しようとして上手くいかずに悩むその姿を見て、「心が無い」とは少年は思えなかった。

 人の心なんて、人間にすら分からない。少年は、最近そう実感することが多かった。


 中学の制服に着替え、朝ご飯を食べ、重い足取りで玄関に向かう。

 学校が楽しくない。そう思うのは、部活でのトラブルが主な原因だった。


 少年は美術部に属していた。そこそこ実力のある部で、部員のプライドも高かった。

 そのせいか、部員同士の喧嘩がたまに起きる。だが、大会前のあの一件は今までとは比にならない程の騒動になった。


 少年は天才だった。彼はどんな画風だって再現出来たのだ。

 少年はゴッホにもなれるし、ピカソにもなれるし、葛飾北斎にもなれるし、モネにもなれた。女子に頼まれて可愛らしいキャラクターを描いたこともあるし、男子に頼まれて少年漫画風のイラストを描いた時もある。

 その類まれなる観察眼と、想像を現実にする腕は、尊敬される以上に……恐れられた。

 人間でない何かであるかのように……不気味に見えたのだ。


 そんな負の感情が燻り、少年の周りの美術部員達の態度が悪くなって、それはついに爆発した。

「おいお前。俺の絵をパクっただろ」

 鋭い目付きで少年を見下ろすのは、同学年の部員だった。少年は筆を持つ手を止め、「え?」と彼の方を向いた。

「大会応募候補の絵! あれ完全に俺のタッチをパクってんじゃねーか! ふざけんなよ。ちょっと絵が上手いからって調子に乗りやがって! 自分の方が上手く描けるって自慢したいのか!?」

 いきなりの怒号。美術室中の視線が集まる。

 少年は何のことか分からず、どう答えるべきか迷っていた。


「ダンマリかよ。誤魔化すんだな。知らないと思ってんのか? 候補は予め発表されるんだよ。先生が教えてくれた。お前の絵がよく出来てるから気に入ってるんだとよ。目を疑ったぜ。まるで俺の絵そっくりだったからな」

 彼の話を聞いて、少年は一つ思い出した。

 勉強のために、少年は部員の絵柄を真似て練習していたのだ。共に筆を取る仲間でありライバルである部員達を参考にすれば、自己研鑽に繋がると思ったから。

 目の前の彼だけでなく、部員全員の絵柄を学んだ。それはあくまで練習用で、大会に出すつもりはなかったのだが、先生が大会用だと勘違いして候補に入れてしまったらしい。


 少年は事態を理解した。言葉を尽くして彼に説明した。

 それは誤解だ。パクるつもりなんてない。そもそも練習で描いたあれは、特徴や個性を分析しただけで、描く対象や構図などは全く異なっている。似てるだけの別物で、盗作なんかではない。大会にも出さないし、自慢する意図も無い。

 そう伝えた。だが、彼の返事は。

「言い訳するなよ。素直に謝れねーんだな」

 言い訳。その一言で切り捨てられた。


 少年は頭が真っ白になった。助けを求めて周りを見た。

 だが誰も少年を庇おうとしなかった。むしろ、『盗作加害者』のレッテルを貼られた少年を白い目で見ていた。

「え……あ、あ……」

 何だこの状況は。少年は得体の知れない恐ろしさを目の当たりにした。理不尽としか言いようがなかった。

 何より理不尽なのは、追い詰められている少年が『間違ってる加害者』で、罵倒する彼が『正しい被害者』であるとこの場の空気が訴えていることだ。


 仲間だったはずの部員が、一瞬で敵になった。いや、仲間だと思っていたのは少年だけだったかもしれない。

 少年は、自分の方が間違ってるのではとすら思った。集団の意志は、個人の心を簡単に曲げてしまう。


「ごめん……ごめんなさい……」

 この空気に耐えられず、少年の口から謝罪の言葉が零れた。謝る必要は無いのに誤った。でもそれで収まると、少しは希望を抱いていた。

 だが甘かった。謝罪という既成事実が錦の御旗となって、怒号する彼はこの場の『勝者』になってしまった。

「やっぱりな! パクったんじゃねーか! お前はそういう奴だと思ってたよ!」

 ニタリと笑い一層怒号を強める。それはまるで勝鬨のようだった。

 周りの部員達もヒソヒソと囁き合い、嫌悪の態度を見せる。

 事態が収まるどころではない。和解の道などなく、理不尽は加速した。少年の『加害』が、事実にされてしまった。

 怒る声が、蔑む目が、脳内にこびり付いて、こびり付いて、こびり付いて。


「……っ!!」

 あの日の光景を思い出し、少年は玄関の前で立ち止まった。


 駄目だ。やっぱり学校に行けない。

 あそこにもう居場所は無い。

「どうしたのですか? 主さま」

 少年の様子がおかしいことに気付いたリリィが声をかけた。少年は震えながら詳細を話す。

 決壊したダムのように言葉が出てきた。あの時言えなかった本音だ。

 誰かに聞いて欲しかったのだ。おかしいことをおかしいと言ってスッキリしたかった。


 リリィは最後まで静かに聞いていた。少年が口を閉ざすと、リリィは「不思議ですね」と言う。

「著作権法二条一項によれば『著作物』の定義とは『思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう』はずです。タッチや絵柄といったものが創作的な表現として認められるとは思えません。パクリとは言えないのでは?」

「そういうことじゃないんだよリリィ。あれは……そういう問題とか関係なかった」

 あの日の部室を支配する『空気』には、客観的事実や法の権威すら弾く何かしらの『力』があった。感情的になった中学生は、法的定義に基づいて冷静な議論などしない。自分の感情だけが、あの場の『法律』だった。

 そして少年はそれに勝てなかった。外部の『正しさ』など意味は無かった。


 リリィは納得してるようなしてないような表情で続けた。

「そもそも先生の手違いが招いたトラブルですよね。主さまは誰の尊厳も傷付けるおつもりは無かった。きちんと話し合えば、きっと分かり合えるはずです」

 リリィは主人のために案を出す。だがそれも、的を射ていない。少年が事実を説明しても、周りは耳を傾けなかったのだ。

 少年の味方がいなかったのは、少年の才能が恐れられ、妬まれ、避けられていたからだ。その先入観が、少年を悪者に仕立て上げた。再度説明しても、また先入観に囚われて解釈されてしまう。


 では何が間違っていて、何が正しいのか。

 絵柄が似ているのが駄目なのか?

 練習用なら問題なく、大会用なら駄目なのか?

 勘違いした先生が悪いのか?

 不機嫌になって怒り散らす部員が悪いのか?


 それとも……誰の絵でも真似できる、この才能が悪いのか。

 嫌われる少年が悪いのか。


「やっぱり僕が悪……」

「主さまは悪くありません」

 少年の思考を先読みしたかのように、リリィは言い放った。

「主さまの絵は、主さまの絵です。誰かの個性に似ていようが、その人のものではないのです」

「僕の絵なんて無個性だ。それを、みんなに気付かされたんだよ」

「創作物は何であれ、既存の作品に類似しています。個性とは、何物にも類似しないという意味ではありません。主さまにも必ず個性があります」

「じゃあ何だって言うのさ! 僕の個性は!」

 少年は声のタガが外れた。目を丸くするリリィに気付いて、少年はハッとする。

「……ごめん」

 そう言って、少年は自室に戻った。もう何もかも嫌になった。

 リリィは「学校に行きましょう」とは言えなかった。


 結局少年はその日、学校を休んだ。

 昼になり、リリィは昼食の準備をしながら別の思考にCPUリソースを費やした。


 個性とは何か。

 創作性とは何か。

 どこまでが知的財産として認められ、どこから認められなくなるのか。


 脳内データベースでもなく、ネットワーク上のデータでもなく、リリィは己の心に問いかけた。

 客観的事実ではなく、主観的解釈を探った。

 アンドロイドは哲学した。

 彼女は『Thinking Reed』……『考える葦』なのだから。


 無駄のないアルゴリズムであるはずの彼女の思考に、『考える』という機能が存在する理由。

 それはおそらく、開発者が必要と判断したからだ。

 この時代には哲学が必要だと。『検索』ではなく『思考』が重要だと。


 完成した食事を盛り付け、リリィは少年をダイニングに呼ぶ。そしてリリィは、己に与えられた部屋へと向かった。


 やがて日が沈む頃、リリィは少年に絵画を見せた。唐突すぎて少年は眉をひそめたが、そんな気持ちはすぐに消えて、その絵の美しさに目を惹かれた。

「綺麗な絵……これ、リリィが描いたの?」

「はい」

 リリィは労働アンドロイドでありながら、芸術的機能も備わっていた。無数の絵を学習し、最適な画像を出力する。この時代、AIの創作など珍しくもない。

 その絵は何かに似ているような気がするし、かと言って誰の絵に似てるかと問われれば、特定の一人を答えられない。人類の経験を蓄積したような、民主主義的な背景を思わせる作品だった。


「どうでしょう、主さま」

「上手だね。リリィの良さが伝わってくるよ」

「そうですか。ありがとうございます。ですが、法律的にはこれは私の作品として扱われません」

 淡々と語るリリィに、少年は「えっ」と驚く。

「AIを人間が創造的に利用した場合なら、その人間に成果物の著作権が与えられます。しかし創造的な操作を介さない場合、あるいはAIのみが独自で創作した場合、それは創造性を認められず、誰の著作物にもなりません。私達アンドロイドは、創作者として扱われることはないのです」

 脳内データベースから引っ張り出してきた法律情報を、リリィは述べる。少年は「そうなの?」と首を傾げた。


「そうです。では主さまはどう思いますか? この絵はアルゴリズムの結果偶然発生しただけの情報集合体に過ぎず、芸術とは呼べない代物でしょうか」

「え、何さその難しい言い方……」

 いつもと違う口調のリリィに、少年は少し困惑した。だが、彼女があえてこんな言い方をする理由を、少年は何となく察していた。


「法律の話はよく分からないけど……僕はその絵、リリィの絵だと思うよ。いい絵だなって、そう思ったし」

「ふふっ。ありがとうございます」

 リリィは微笑んだ。微笑む機能を求められたからではなく、彼女の心が笑ったからだ。


 何故リリィは嬉しかったのか? それは少年がリリィの人格を認めたからだ。

 AIと著作権の関係上、この時代の創作物はビジネスとして扱う場合に非AI証明が必須となった。AIのみの意思で作ったものを著作物として認めない以上、それで収益化することは不平等であるとの声が社会的に広がったためだ。

 著作権ビジネスは著作権が発生するものに限る……それがこの時代のルールである。人間の意志で作られた創作物のみが著作権を認められ、収益化ができる。AIの使用は違法ではないが、そこには人の意志が介在する必要がある。非AI証明書発行業者が増えたり、偽装証明書が横行したりと、AIと著作権の問題は議論と混乱を招いた。

 その結果、AIと人間の間に分断意識が生まれた。どこまでが人工の知能でどこまでが『天然』の知能か。その境界線を明確にすべきという感覚が一般的になった。


 だからこそ、リリィは少年の回答に喜んだのだ。少年はAIを排斥せず、リリィの創作を認めてくれたのだから。

 少年は境界を定めなかった。曖昧であることを受け入れた。


 『どこまでが人間でどこまでがAIか』。境界を探る哲学に、少年は『境界なんて無い』という答えを出した。


「主さま。これは私の作品だとおっしゃいましたね。今朝話してくださった件はこれと同じです。完成物が既存の作品を学習したものでも、同一だと判断されない限り盗作ではありません。オリジナルです。似てるのが駄目というのは、いわゆる暴論でしょう。それでは世間の作品どれも盗作ということになってしまいます」

 流行りの作品はどれも似ている。だが、それらは『パクリ』ではない。似た要素がありながらも、それぞれに相違点があり、個性が認められている。リリィはそれが言いたかった。

「リリィ……それを言うために、この絵を?」

「言葉だけで伝えるより分かりやすいと思いまして。主さま、あなたが苦しむ姿を私は見たくありません。私達労働アンドロイドは、主人の幸せのためにあります。主さまを侮蔑する輩に文句を言ってやろうかと思いましたが……きっとそれでは主さまのお心は晴れませんね」

「うん、それはやめて欲しいかな」

 ただでさえ部室内の人間関係が悪いのに、もっと悪化してしまう。

 現実のトラブルは、フィクションみたいに単純に解決できない。悪い奴をヒーローがやっつければ解決するのは、あれが非現実だからだ。実際には『悪い奴』として定義付けられた人なんていないし、暴力や暴言はむしろ解決から遠のかせる。


「主さまは自分を肯定しきれていないのです。自分が悪いのではと疑っているから、勇気の一歩を踏み出せない。そして理不尽を受け入れてしまう。主さまがご自身を認めない限り、周りを変えようとも主さまのお心は晴れない。そう判断しました」

 少年が自分を肯定するための手段。それが、リリィの絵だった。

 絵を見せて喩え話をすることで、少年がリリィの絵に向けた褒め言葉を、少年自身にも向けさせたのだ。


「主さま。芸術に限らず、人と人が関わればトラブルは必ず発生します。人それぞれに価値観は違うからです。しかし、それは悪いことではありません。人と人がぶつかり合い、意見を交わし、それぞれの答えを導き出す。その哲学は、人に与えられた特権だと思います。明確な『正解』を与えられた機械には得られないものです。主さま、どうか恐れないで下さい。あなたは自分の『答え』をもう持っています。ご自身の答えを信じて下さい。どうしても不安だとおっしゃるなら、私は何度でも主さまの背中を支えます」

 リリィは少年の手を握った。少年は顔を赤らめて、彼女の吸い込まれるような瞳と目が合った。

 リリィは少年を心配していたし、同時に信じてもいた。彼女が少年の背中を押し、励ましたいと願った……その心を、少年は確かに感じ取った。


「……分かったよ、リリィ。いつもありがとう」

 AIに心は無い、と世間は言う。それが社会の『正しさ』だとしても。

 少年はAIの心を信じていた。


 雲一つない夜空。月明かりが街を微かに照らす。

 明日の一時間目は何だったかな。

 そんなことを、少年は考えていた。


 真っ黒な夜空も、暗い夜道も、同じように暗い。

 境界線なんて引かれていない。

 けれどもみんな、空と地面が違うことを知っている。


 何故だろう。人の心は不思議だ。

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