憧れの場所は社員旅行で行くな!inタイ
「旅行はプライベートで行くものだ!」と思っていた私は、社員旅行なんて、縁がないものだと思っていた。
私の会社では毎年、希望者だけを集めた社員旅行があるのだが、これまで参加したことはなかった。
各エリアの社員やパートさんたちが集まるので、楽しそうといえば楽しそうだが、休日まで職場の人に気を遣いながら観光して、せっかくの食事中も上司のビールを注ぐなんてちっとも楽しくないではないか。
そんな後ろ向きの私であったが、2018年1月の行き先はずっと行ってみたかったタイだったのである。
これには一気に心が盛り上がって来た。
私が旅へ目覚めるキッカケとなった、若槻千夏が書いた「ちなつの歩き方」という本で、初めてのバックパックの舞台がタイであった。
その旅で、若槻千夏がタイに行ってまで見たいと思った「ワット・プラ・マハタート」の神秘的な仏像がこの社員旅行でも見られるというのだ!
しかも社員旅行なのだから、個人で行く時よりもずっと休みが取りやすい。(根回ししやすい。)
私はさっそくみんなにお願いして4連休を貰い、タイ行きが決まった。
ぬいくるみとタイの国旗まで自作して、準備は万端だった。
1日目ぼっち参戦で金魚のフン
しかし、この旅行。
他の人は皆、各店舗で仲の良い人と一緒に申し込んでおり、一人で申し込んだ私はかなりアウェイになってしまった。
幸い、同じ店の店長代理(以後、代理)がいたので、飛行機に乗るまで金魚の糞の如くついてまわっていた。
代理は気を利かせて、前の店で一緒だったというパートさんを紹介してくれた。
「大将」と「やみ子」さんだ。
「やみ子」というパワーワードに私は吹き出した。
大将はその名のとおりパワフルで、面白いことがあると、大口を開けてがはははと笑う。
まさにどこぞの居酒屋の大将である。
対してやみ子さんは大人しく、落ち着いた人であった。
ちなみに、何故やみ子さんなのか尋ねると、いつも「病んでる」かららしい。
デリカ部門の発注が合っているか?いつも気にしていたり、失敗して落ち込んだり…とにかく病みやすいらしい。
そんな相反した2人だった。
金魚の糞状態から知り合いが増えて心強かった。
中部国際空港から、台湾桃園空港を経由し約8時間かけてタイのスワンナプール国際空港へ到着した。
ホテルはなんと、高級感あふれる5つ星ホテルであった。
私は1人参加のため、個室だということを事前に知らされていたが、こんなに良い部屋をあてがってもらえた。
1人参加万歳である。
チェックイン後は、徒歩で夕飯会場の「ソンブーン」へ。
人気の海鮮タイ料理屋さんで、プーパッポンカリーというカニのカレーがとにかく美味しかった。私の隣は本部長であったため、常にビールを注ぐタイミングを伺っていた。
夜は自由行動なので、くまぁ。を持ってパッポンナイトマーケットへ行くことにした。
ブランド?が並ぶ怪しい屋台が並ぶ中…女性1人は危険のため気を引き締めて歩くが、夜中にくまのぬいぐるみを持ち歩く私もまた危険人物である。
店長たちはというと、どんなお店かは知らないけど、「夜のお店」へ消えていった。
23時すぎているため、近くのスーパーでお土産用の食料と明日の水だけ買って帰宅。
2日目エメラルド寺院の悪臭
翌朝は7:30に出発のため、6:00に起きる。
ワットポーへ向かうためだ。
ワットポーには46mの黄金の寝釈迦仏がいて、足の裏には、仏教の世界観を表す108の図が描かれている。
だいたい50m走の距離だと思うと、いかに大きいかがわかると思う。
カメラには収まりきらないほど長い。
黄金でできたその姿に、なんて美しい涅槃仏だろう…と眺めていたのだが、よくよく頭を見ると…なんだか口に出してはいけないものに見えてきた。
バチが当たりそうで、誰にも言えずに黙っていたのだが…私はうん○に見えていた。
次に、エメラルド寺院へ向かう。
正式名はワット・プラ・ケオというそうだ。
本尊は翡翠で作られた仏陀像で、エメラルド寺院の由来となっている。
寺院内は撮影禁止で、エメラルドの仏陀像を見るには靴を脱いで建物に入る必要があった。
この日の天気はあいにくの雨…。
靴を脱いでも床がびしょびしょのため、靴下まで脱がないと靴下が濡れてしまう…。
その状況に心が折れてしまって、もう面倒だから見ないでいいや…と思っていたら「流石のお前も行かんか。」という地区長の挑発にのせられ、皆が残る中、靴下を脱いで中に入ることにした。
中には小さな仏陀像がこじんまりと鎮座していた。
仏陀像も美しいが、建物内も美しかった。https://www.royalgrandpalace.th/en/home
この光景をしっかりと目に焼き付けておこうと、しばらく懸命に眺めていたのだが…それよりも何よりも寺院内は皆の濡れた足の匂いが充満しており、それどころではなかった。
撮影禁止の関係もあるため、出入口しか解放されておらず換気がよくないこともあり悪臭がこもっているのだ。
美しさもありがたさもすべてぶち壊しである。
仏陀像もこんなところに置かれてしまっては拷問である。
私はそんな悲しい仏陀像に背を向け、のこのことツアーの輪の中へ戻った。
エメラルド寺院の思い出は「足の臭い」というまぬけな形で幕を閉じたのだった。
その後、バスでお土産屋の金属加工?の店に連行されるも興味がなさすぎて暇になる。
昼食は「コカレストラン」にて、タイスキ。
昼食後は、クロコダイルファームでエレファントショーとクロコダイルショーを見にいった。
席に座って待っていると、まずはささやかなゾウのショーがはじまった。
スタンバイ中のゾウは、どこが大物女優の雰囲気があった。
お兄さんを鼻に乗せてみせたり、立ち上がってみせたりとゾウは頑張っていた。
鼻で絵も描いて、とても上手だった。
これで終わりだと思い、私たちも拍手で締め括ったが、ショーはこれだけでは終わらない。
ゾウは「おひねり」をもらうために客席を回り始めたのだった。
もちろんゾウが鼻を使ってもらいに行くため、コインではなくお札が必要なのだ。
これはよくできている…ゾウと触れ合いたくて皆お札を渡したくなってしまう…私は感心しながら眺めていた。
続いてのクロコダイルショーの会場へ移動した。
天下一武道会が行われそうな会場で、2人の調教師のお兄さんがワニとコント?を繰り出す。
ワニの口を開けて、手を入れたり出したり…引っ込めた瞬間に「カポーーーーン!」と大きな音を鳴らしてワニが噛み付く。
会場に響き渡るほどの音はワニの噛む力を教えてくれるには十分だ。
うまい具合にワニが噛むのは手を引っ込めた後なので、客席は「ぉおお〜。」と声が漏れる。
今度は頭を入れてみる…。
会場はドキドキである。あの状態でカポーンといかれたらひとたまりもない。
噛まれずに済むと客席からはまた「ぉおお〜」と声が漏れる。
すると、中国人観光客がお捻りを放り出した。
1人が投げると、俺も私もと他の人も投げ出す。
見栄っ張りだから、ぁあやってより高い金額を見せつけるように投げるんだ。と地区長がつぶやく。
投げたお札は水に浸かり、お兄さんたちはお礼を言って撮りに行く。
私は、このような文化やエンタメに触れたことがなく、ステージにお金を投げる姿にドン引きしていた。
今度は、お兄さんが拾ったお札をワニの口の中に入れて、それを一枚一枚噛まれないように拾っていく。
その光景はまるで昔教科書でみた、成金の風刺画のようであった。
「暗くてお靴がわからないわ」という女性のためにお金に火をつけて「どうだ、明るくなったろう。」というアレだ。
アレに似たようなことが目の前で行われている。ショー自体は面白いのだが、なんというか…下品だと思ってしまった。
タイに来て1番のカルチャーショックである!
後から知ったのが、どうやら失敗して実際に頭を噛まれていた人もいるようだ。
ショーが終わり、園内を回ると色々な動物と写真が撮れるというのでトラと撮ってみることにした。
自分より体の大きいトラが、まるで近所の犬のポチのように簡易的な鎖に繋がれている…。
大丈夫だろうか?
ポチは鎖を揺らしながら、ウガウガ声を荒げて首を振ってるではないか。
そんな秒で食べられそうな雰囲気であったが、写真を撮る時は非常にいい子にしててくれた。
頭を触ったが、ふわふわとは程遠いとても砂っぽい触り心地だった。
2日目代理と夜のデート
そして…この日は夜はフリータイム!ホテルに着いたらもう夜は自由時間なのである。
待ちに待ったフリータイムに胸を躍らせる私。
トゥクトゥクに乗って、ショッピングセンターへ繰り出そうとウキウキでホテルを出る準備をすると…。
ピコン
初日に私が金魚のフンになっていた代理からラインが来た。
「お土産含め買い物したいんだけど、よかったら一緒に行かない?」
お誘いのラインが来た!
「トゥクトゥクに乗ってショッピングセンターに行きたいです!」と返信
こうして代理と夜のお買い物デート?をすることになった。
さっそく、ホテルの前のトゥクトゥクの運転手に「MBKセンターに行きたいけどいくらか?」と聞いてみる。
「200バーツだ」と言われたけど、ここから6分くらいの場所で200バーツって少し高くないか?と思い「安くならない?」と聞いてみた。
5つ星ホテルから出てきた人間の発言とは思えない。
「だめだ。200バーツだ。」と言われだが、どうやら2人で200バーツだということらしいので、乗せてもらうことにした。
まるでブリキのおもちゃのような見た目は大変愛らしい。
私は、わくわくして乗り込んだ。
人力車のように、ゆるやかな風を感じてゆったり目的地へ向かう…なんて思っていたらそんなことはなかった。
このおもちゃのような見た目で、運転手は私たちを振り落としそうなくらい、スピードを出している。
窓やドアがないため余計に怖い。
怖がる私たちを運転手は気にも止めず突っ走る。
メーターは確認できなかったが、高速道路並みだと感じたので80〜100キロは出ていたと思う。
道がまっすぐなのをいいことにビュンビュン飛ばしている。
たまにヒュンと持ち上がる車体に、私は多少の「死」を感じていたのだが、代理もいたためなんとか精神を保つことができた。
無事にMBKセンターに着いてホッと肩を撫で下ろす。
私たちはスーパーの社員のため、目の前に広がるタイのスーパーが気になり、夕飯よりもまず売場を見ることにした。
農産売場
見たこともない南国フルーツが多い。
花も不思議な花が並ぶ
ベーカリーコーナーもある!
食卓パンよりも菓子パンが目立つ…菓子パンというかケーキ?
日配
とにかくカラフル。着色料多めなゼリーが目立つ。
水産
大型ショッピングセンターだからか?結構しっかり並んでいた。
畜産
まるっと鶏肉に…鍋セット…!?
海外のスーパーで鍋セットを見るのはこれが初めてだった。
タイスキがあるからだろうか?
おそらく、タイは屋台文化のため、デリカ部門が存在していなかった。
観光客用のお土産コーナーまで設置されており、日本のお菓子のタイバージョンをしこたま購入した。
安いし、味も保証されてるしきっとみんな喜ぶ。
その後もゲームセンターやら文房具やらを見て回った。
変わったものがたくさんあってみているだけで楽しかった。
私はせっかくタイに来たのだからと、柄がたくさんついたタイパンツを購入した。
これを明日履いて観光しようと思う。
夕食はいろいろな国の料理が並ぶTHE FIFTH
food avenueで食べてみよう!ということになったのだが、夕飯の注文システムがわからず、店員さんに教えてもらった。
どうやらもらったカードで注文して、帰りに払うシステムのようだ。
あっという間に20時である。
スイカジュースこれが甘くて美味しかった。
私たちはご飯を食べながら、普段のお店のことやタイのことについて話した。
私が結構積極的に英語で話しかけに行くのを褒めてもらえてなんだか嬉しかった。
その後もぶらぶらしていたのだが、ショッピングセンターが広すぎて迷子になってしまった。 日本のイオンの比にならないほど大きいのだ。
体感で日本のイオンの2.3倍はある。
気付けば治安が悪そうな出店が並ぶフロアに来てしまった。
そこにはたくさんのお土産が並ぶのだが、カラフルなおちん○んをモチーフにした置物だか石鹸だかしらないが、とにかくおちん◯んが店いっぱいに並べられており、非常に気まずかった。
私は見ないふりをしたし、代理もそれには触れないでいてくれた。
タイに来て、これまでこんなもの売っていなかったではないか。
どうして代理と遊びに来た時だけ店いっぱいに並んでいるのだ…。
気まずいままショッピングセンターを出て、最後に外のイルミネーションを見た。
どうやら、2月に中国の旧正月があるため、クリスマスの飾りやハッピーニューイヤーの飾りがだらだらと残り続けるらしい。
夜店を一通り見たらタクシーを捕まえて、ホテルへ戻る。
代理と別れた後に私は部屋に荷物を置いて、ぷらぷらと街中へ出ていった。
私はトゥクトゥクの他にもう1つ、タイでやってみたいと思っていたことがあった。
…マッサージだ!
1時間300バーツのフットマッサージを受けることにした。
まず、靴と靴下を脱いで足を洗う。
そして、椅子に座りそのまま1時間…係の人が足のマッサージをしてくれる…。
なんという贅沢だろうか。
1時間で300バーツは安すぎる…。
日本円で1000円以下でこのような極楽が手に入るのだ。
代理にも教えてあげればよかった。
私は大変満足してホテルへ戻った…のだが、ホテルのロビーでよその地区の店長たちが女の人と手を繋いで部屋へ戻っていくのを見てしまった。
これからお楽しみが始まるのだろう…。
こんなもの見たくもないし、なんとも気まずかった…。
下品な社員旅行である。
3日目観光はまさかの5秒で終了
翌朝、アユタヤ遺跡へ船に乗って向かう。
チャオプラやクルーズだ。
ちなみに昨日の店長たちが連れ込んでいたのはニューハーフだったそうだ。
店長の後輩はその事は知らずに、るんるんだったようで、いざという時に相手の股間に気が付いて「それはないでしょー」という結末になったのだそうだ。
店長たちは、みんなそのことをからかって遊んでいた。
船の外は風が気持ち良かった。
デッキに大将とやみこさんがいたので、お話する。
2人も昨日の自由時間を楽しんだようだ。
話は地元、浜松の話題で盛り上がっていた。
すると突然、地元を思い出したやみこさんが目を細めながら「あら…あれはアクトタワーかしら?」とつぶやく。
アクトタワーは浜松駅近くにある45階建ての建物のことで、だいたい道迷ったらアクトタワーを探す。
浜松市のシンボルである。
確かにその建物は、アクトタワーのように、街からひょこっと突き出て立っていた…笑
やみこさんの謎発言に私と大将はお腹を抱えて笑った。
これ以降、突き出たビルはみんなアクトタワーに見えるようになってしまった。
今でもじわじわするくらい面白い。
昼食は、船内で店長と代理とバイキング形式の食事をたべた。
船から降りるとそこはバンパイン宮殿。
ここは歴代の王達が夏の間使っていた別荘のようだ。
広い敷地を皆でぞろぞろと歩き回る。
私は昨日買ったタイパンツを履いていたため、皆に自慢した。
その後、ワット・プラ・シーサンペットとワット・プラ・マハタートへ移動。
アユタヤ王朝の遺跡で、1767年にビルマ軍(ミャンマー)に侵攻され崩壊したそうだ。
1991年にはここ、アユタヤ歴史公園一帯がユネスコの世界文化遺産に登録。
戦争の悲惨さが伺える場所です。
破壊された仏像は修復されているが、ほとんどの仏像には頭部がない。
これは当時の頭部は金箔が貼られており、切り取られた仏頭の多くが軍によって持ち去られてしまったからだそうだ。
ついにその時が来た…!
これだ。
これが事前に木が巻き付いてできたという神秘的な仏像…。
胴体から落ちてしまった頭が、木の成長と共に取り込まれて現在の姿になったといわれている。
こ…これか…!ついにここへ来ることができた…と思っていたのだが、ガイドさんはここでは止まらずさらっと紹介して、どんどん先へ行くではないか…!
まさかの滞在5秒
…えっ、5秒?
先程までいろんな建物の説明とかしていたではないか。私は思わず心の中で突っ込んだ。なぜこれだけ素通りなのか?
まさか滞在5秒とは思わず、ショックな私はもうなにもかも嫌になりすっかりグレてしまった。
もう心は盗んだバイクで走り出す気持ちである。
迷子になったことにして、グループの列からはずれ、その後は個人で好きなものを見ていた。(迷惑だから真似してはいけない。)
店長が、「この建物の中にドーナツのようなものがお供えしてあって、それがめちゃ臭い」と騒いでいたから見に行った。
確かに…見たことのないドーナツのようなものが置かれている。
ミスドのゴールデンチョコレートのような…いや、ゴールデンチョコというより、ピーナツを食べた後の犬のフンをわっかにしたものの方が良い例えかもしれない。
何かはわからないが、嗅いだことのない匂いがして、一目散に外へ出た。
いまだに何かはわからないので、知っている方は是非教えて欲しい。
グレてしまった私は、遺跡からの景色を見て、知らない観光客と写真を撮って一通り遊んだ後、気が澄んでグループへ戻って行った。
私はこの経験があまりにショックで、これ以降団体ツアーへ行くことはないことを悟ったのである。
さて、待ちに待った10分間のゾウ乗りになったのだが、2人でペアを作ってくださいと言われた。
当然私は余ってしまい、代理とゾウに乗ることになった。
初日からずっと一緒にいるため、もはや店長達も私たちの関係を怪しい目で見ていた。
台の上に登って、そこから像に乗る。像の背中にイスがついており、揺れるもののそこまで怖くはなかった。
3日目詐欺師の催眠をといた夜
この日の夜は人生初のフカヒレを食べたのだが、パクチーが入っており台無しだった…!ふんわ〜ともわ〜っと広がる臭み。
これが皆が言うあのパクチーか!
私も苦手な部類であった。
さて、タイ最後の夜となったのだが、昨日の夜マッサージへ行った事を代理に話すと、「俺も行きたい!」ということで、再度行くこととなった。
全身コースを選択すると、スタッフのお姉さんに薄暗い奥の部屋に連れてかれた。
お姉さんは「この服に着替えて。」着替えたら呼んでと言い立ち去っていった。
薄暗い部屋で代理とポツンと立ち尽くした。
ここで一緒に着替えるのだろうか…?
…?
互いに顔を見合わせた。
すると、その雰囲気を悟ったのか、お姉さんがつかつか戻ってきて「カップルじゃないんかーい!」と爆笑して私と代理の部屋を仕切るカーテンをかけてくれた。
それはそうだ。こんなとこに男女できたらカップルだと思うに決まっている。
私は冷静になって、服に着替えてマッサージを受ける。
私より代理の方が少し早くマッサージが始まったのか、代理の「ウッ…」という声が聞こえる。
時間差で私のマッサージも始まった。
代理の「ウッ…」という声が聞こえると大体次は痛い部分のマッサージの合図となり、私は心の準備をしながら臨んだ。
エビのようにそり返るポーズもあり、なかなかきついものもあった。
この後は担当がお兄さんに代わり、フットマッサージをしてもらった。
私が明日帰ることを伝えると、「ユキ、アシタ、クル」と「ポニョ宗介スキ」みたいなトーンで言ってきた。
お兄さんは名前を教えて指名を求めるが、私は明日の朝にはここを立つのだ。
マッサージが終わると代理は良い体験ができた!と消えていった。
代理と別れてしばらく歩くと、街中で大将とやみこさんと遭遇した。
お土産を探してるのそうなので、私が1日目で買い物をした近くのスーパーに行くこととなった。
我々が歩いていると、突然怪しい男に声をかけられた。
男は「日本大好きデス」と、巧みな日本語を使って話しかけてくる。
私にはわかる。
こういう異国の地で「日本が好きデス」という人間ほど怪しいものはないのだ。
私とやみこさんは警戒していたが、男の巧みな日本語に心を許してしまい、男と話し続ける大将。
日本のアレが好きだこれが好きだと言って大将の心に入り込む。
私は怪しいと思いつつも、波風は立てたくないため、ひとまず見守っていた。
徐々に会話が温まってくると男は「日本のお金はどういうものデスカ?見てみたいデス!」と言い出した。
私はヤバい!と思ったが、大将は既に自分の財布をパカっと開いてそこに入った10人はいるであろう諭吉の札束を持ち上げた。
私はめまいがしそうになった。
大将はタイ旅行にキャッシュでこんなに持ってきていたのか…。
私は慌てて大将の手を押さえて怪しい男に「はい、おしまいです。」といった。
大将は魔法が切れたかのようにハッとして、すぐにお金をしまった。
まるで催眠術がとけたような顔をしていた。
大将も顔つきが変わり、ノーノー!といい男から離れた。
男も催眠術が切れてしまったため、潔く立ち去った。
私は男が仲間を連れてる事を警戒したが、幸い男は1人のようだった。
10万円は所持していることがバレてしまったため、しばらくはつけられてないか確認したがそれも大丈夫であった。
それにしても、目の前で人間の催眠がとけるところを見るのは初めてであった。
詐欺師は大将の気のいいところを見抜いたのだ。被害が出なくて本当によかった。
初日のスーパーに着いた。
ギフトセット売場
ベーカリー
あきたこまちが売っていた。
こうしてお土産も買えて、ホテル前で別れた。
私は最後にホテルの近くのスターバックスに寄った。
名前を聞かれて答えたのだが…「U-ki」となってしまった。
4日目帰国
翌朝、帰国日。
朝食を食べたらすぐに移動。
最後にお部屋にお礼の手紙とチップを置いておいた。
そんな形で、憧れのタイ4日間は幕を閉じた。
人生とは思い通りにはいかないもので、1番の目的であった仏像は5秒で終わってしまった。
トゥクトゥクに乗ったり、トラと写真を撮ったり…日本ではできないたくさんの経験ができたことはとても良かったが、やはり親睦ではなく旅行を目的とするのであれば個人で行った方が無難である。
おまけ:タイのトイレ事情
最後におまけでタイのトイレ事情を置いておく。日本では見られないタイプのものもあり、興味深かった。
5星ホテルのトイレ
観光地のトイレ(おそらく金属加工のところ)
最後に観光地のトイレ2
ここはあまりに使い方がわからなかったので、利用しなかった。
おそらく用を足したら、紙をゴミ箱へ入れて洗面器の水で流すのだと思う…。
日本のトイレがいかに綺麗かがよくわかった。
ペーパーがないこともあるので、常備するのが良いと思う。