消失的情人節、一秒先の彼女
今年の七夕は8月14日、どうやら各地で豪雨のようだ。
日本の七夕伝説では、7月7日は織姫と彦星が神に許された年に一度のデートの日。しかし、陰暦だった催事記を西暦(太陽暦)にしたため、毎年雨模様で水に流され逢瀬ができない。もともとの中国の七夕伝説では陰暦7月7日は8月10日前後となり、梅雨明けの晴れの日が多く、ペルセウス座星雲が明るく輝きカップル達も天の川を渡ってデートできるのだ。
あいにく、今年は記録的大雨の悪天候だが。
実は7月7日の前に観た「一秒先の彼女」。
台湾発のラブコメで、”アラサー”おひとり様のシャオチーのチャイニーズ・バレンタイン「情人節」がトンデしまい、イケメンとのデート約束をした1日を失くしてしまった、探してほしい、とお巡りさんに頼むところから始まる。
チャイニース・バレンタインとは「七夕情人節」と呼ばれ、華人の間では西洋式の2月14日より、恋人たちの一日としてもっと重要であり、彼女・彼氏のいない独身者はその日までにどうにか相手を探そうと必死だ。お相手の見つからなかった独身者は、あえて「情人(恋人)節」を入れずにただ「明日は七夕節ね」と自虐的に呼んだりするのだ。
シャオチ―は7月7日(旧暦)直前、ヤバそうな青空ダンサー講師に言い寄られ、ついにデートの約束にこぎつけるのだが、果たして...
前半は彼女の視点から、後半は”一秒後の彼”の視点から、描かれる物語は一秒の時差がすれ違ったまま、可笑しくもあり、もどかしくもあり、きゅんとさせられっぱなしであった。
未見でこれから観るひとのために、あらすじは書かずに、めいのえんぴつさんの感想記を紹介します。とても分かりやすくまとめてらっしゃるので、気になる方はそちらをどうぞ。
ただ、ウチの娘と同窓の中国語学科の女子達も、めちゃめちゃ笑い転げたらしく、元の言語が分かればもっと面白いのでその解説をちょこっとだけ。
●038
サンパーとはお馬鹿ちゃん、ウスノロ、などの意味。車のナンバーで「0038」を見かけたら、くすくす笑うレベル。この数字が映画のキーでした。
●ヤモリのおじさん
ヤモリは漢字で「壁虎」。形は気持ち悪いが、その発音が「必福」とも「必富」とも似ているため縁起が良いとされる。劇中ではその風貌が可笑しくてげらげら。
●少女時代のシァオチーが父に頼んだ「緑豆豆花」。
最近日本でも専門店が増えてきた「豆腐花」。春雨の原料でもある「緑豆」は小豆よりも小粒で、夏バテ防止に良く暑さによる口渇を癒す、とか。なめらかな豆腐花のトッピングとして、華人に人気だ。
ラスト近くの豆花想い出シーンには思わず、ほろりとさせられた。
一秒先の彼女
監督:チェン・ユーシュン(陳玉勲)
出演:リー・ペイユー(李霈瑜)、リウ・グァンティン(劉冠廷)
2020年/台湾/カラー/119分/中国語/シネスコ/
英題:My Missing Valentine
原題:消失的情人節
配給:ビターズ・エンド
公式HP:https://bitters.co.jp/ichi-kano/
追記:陳玉勲監督の映画、いままでに「健忘村」と「祝宴!シェフ」を観ており、ブログに感想かいてたわ。
#映画レビュー #一秒先の彼女 #消失的情人節
#台湾映画 #ラブコメ #ファンタジー #映画感想文