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モダンタイムス 勇気はあるか?

noteクリエイターなら、きっと馴染みの作家をひとりやふたり持っているだろう。
大ファンなんです、全部読破してます、なんなら初版サイン本を持ってます、とまではいかないにしろ、ときどき無性に読みたくなるーー私にとって馴染みの作家は伊坂幸太郎だ。

※以下ネタバレを含みますので、未読の方はご注意ください。



「勇気」を持ち合わせていない、システムエンジニアの渡辺はあるワードを検索すると、ひどい目に合う、という陰謀に巻き込まれる。

そのプロットが面白い。

アク強めの登場人物ばかりで、ビビらせられる。
異性が絡んでくるだろうの予想は覆され、主人公との絡みは過去の追憶シーンでしか現れない。そこに愛はあったのか、どんな目的だったのか、全くわからない。その代わり、添えものと予想していた恐妻が、徐々に色を帯び熱く闘うさまが可笑しく頼もしい。

アク強キャラ例
・惨劇の真相の鍵を握る(はず)資産家はとっくにいない。
・強烈な個性の拷問屋は酷い目にあい、消える。
・某事件の立役者は政治家になり、本物ヒーローになる。

「小説で世界を変えられると思ってたんだよ。昔はな」
「で、書けば書くほど分かってきたことがある」
「俺が小説を書いても世界は変わらない」
「いいか、小説ってのは、大勢の人間の背中をわーっとおして、動かす様なもんじゃねぇんだよ。
井坂好太郎

この小説はチャップリンのモノクロ映画をベースとしている。機械化され、作業を細分化された結果、人間は良心を失い「仕事だから」と人を痛めつける事すら何にも感じなくなってしまう近未来社会。

核となるのは、ふたつの言霊

「人生は要約できない」

「勇気はあるか?」

読中のあっちへ転がりこっちへ転がりが、最後にピースがきちんとはまり、すっきり爽快!
これだから、伊坂幸太郎読みはやめられない。

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