向田邦子と樹木希林、を読む。
海苔と卵と朝めし
1974年にTBS 系列で放映された平均視聴率31%のドラマ[寺内貫太郎一家]、その脚本家・向田邦子さんの食にまつわる随筆だ。
家族勢ぞろいの食卓、幼いころの長女の役割とお膳前のお得、
ビールの大瓶中瓶小瓶にまつわる考察、旅先で刺さったごちそう、
入院中に思い浮かべる”退院したらまず何を食べようか“の思案。
小料理屋を開きたい、と算段していた話には、席数はこうこうで、お通しにはなになにを出し、器は重すぎず扱いやすいものを、と本気である。
とにかく、向田さんは食いしん坊だった。ごはんと庶民派おかずのにおいが一行一行の合間から漂ってくる。
だからこそ、アノちゃぶ台だったのである。
家族の中心、ごはんの真ん中にドーンと占めているちゃぶ台。
随筆の最後に、ちゃぶ台ホームドラマとして人気を博した「寺内貫太郎一家」の小説が掲載されており、
貫太郎:小林亜星(2021年没)、
きん(貫太郎の母):樹木希林(2018年没)、
里子(貫太郎の妻):加藤治子(2015年没)
周平:西城秀樹(2018年没)、
などの顔ぶれが思い起され、懐かしさでいっぱいになった。もちろん私も毎週かかさず見ていた。
まだまだ働き盛りだった向田邦子さんが飛行機事故で亡くなり40年。
きっと天国でも寺内貫太郎一家が集まって、ちゃぶ台ひっくり返してるだろうなぁ。知らんけど(笑)
樹木希林 120の遺言
ガンにむしばまれ旅だった、樹木希林さんの数々の名言をテーマごとに紹介した一冊。
個性派とも、演技派とも呼ばれ、その仕事のやり方が特別なのはもちろん、名脇役として圧倒的な存在感を醸し出していた。本書では他者に頼らないそのかっこいい生きざま以外にも「病」「老」「絆」「死」などについて、インタビューなどから本音を拾い出している。
一例をあげると
120の遺言中、読者がもっとも心に刺さったベスト5。 (宝島社)
第一位も納得だが、我が亡母の言葉とリンクする第五位は私にとって、忘れられない言霊である。
死ぬときぐらい好きにさせてよ。
副題の言葉は正月広告のキャッチフレーズだったが、まさにその通り、2018年にさらりと旅立った。
死にざまも決して真似できない、憧れのひとである。
#向田邦子 #樹木希林 #寺内貫太郎一家
#生きるって #言葉のちから #文筆家
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