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くま読書

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本を読んで思ったことを、うんうんうなりながらつたないことばでアウトプットしているもの。考えすぎて鼻からシャケが出たり、耳からはちみつが出そう。(※あくまでもイメージです)
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#読書感想文

くま読書 私の身体を生きる

たまに、テーマとして書きにくいことをがんばって書いてみようと思う時がある。 書きにくいことは「死」であったり 「性」の話でもあったりする。 なぜ書きにくいのかというと、書きことばに落とし込むためにある種の慎重さが必要だからだ。 慎重に書かなければいけないのに、なぜ書きたいのかというと 自分が真面目に考えたい気持ちがあるからこそ、であって。 誰しもが抱えているからこそ、でもある。 私は、蔦屋書店で見かけてからずっと気になっていた、ある一冊の本を拝読した。 読後は私

くま読書 ハンチバック

どうも、お久しぶりです。 くまです。 書きたいことがたくさんありながら、書けない日々が続いていましたが、お久しぶりの本日の内容は、読書感想文にしたいと思っています。 今回取り上げる本は「ハンチバック」です。 この本の感想は、私の親しくさせて頂いているnoterさんたちも何人か取り上げております。様々な感想を読ませて頂いて、興味深い内容だなと以前から思っていました。 作者は市川沙央さん。私とほぼ同世代の方です。 先天性のミオパチーにより、背中が大きく曲がってしまう側弯症を罹

くま読書 根っからの悪人っているの?

「世の中には悪人っていると思いますか?」 自分がこのように質問されたら 皆さんはどのように答えますか? きっと人によってさまざまな答えがでてくるに違いありません。 まわりにいるよって人もいるかもしれないし 世界で戦争を起こす奴は悪人だという人もいるかもしれません。 悪人なんていませんって人もいるだろうし もしかして、私自身が悪人です という人もいるかもしれない。 私は人間の「悪」というものが昨年からずっと気になっていました。 なので、この本を以前拝読しました

夏の迷子、ブルーハワイを味わう

私はレシピを見ないと基本的には料理が作れないタイプである。 買い物する時も、自分が持っているレシピ本と睨めっこして「今週はこれにしようかな」と写メを撮り、その具材をスーパーで購入する。 でも、最近少しだけ変わったことがあってX(旧Twitter)でタイムラインに流れてくるレシピを見てブックマークし、それを参照することも増えた。 ピーマンを頂く機会が多い。 義理の実家から大量に送られたり、利用者さんのおうちから頂いたり「ううむピーマン!」と思う。 なぜならうちの娘と息子は

くま読書 「利他」とは何か

久しぶりの読書感想文。 とはいっても、今日書きたい事は「利他」についてだけではなくてですね、 以前他の方が「柳宗悦」さんのお話をされていましたので、記憶を頼りにこちらの本を開いたら書いてありましたので、少しばかり記してみたいと思います。 利他という概念は、以前、他のnoterさんも話題にしてましたが、なかなか理解が難しいものであると思うのです。 1.うつわと利他このお話は利他の本質について丁寧に綴られています。 利他とは簡単にいうと「他者のために生きる」になるのかと思

くま読書 岐路の前にいる君たちに

久しぶりの読書紹介シリーズです。 この本をつい最近ある方におススメしたのですが、そこで「責任」と「リスポンシビリティ」についてのお話になりましたので、急遽取り上げさせて頂きました。 哲学者・鷲田清一が、大阪大学、京都市立芸術大学の入学・卒業式で、新しい世界に旅立つ若者へ贈った、8年分の人生哲学。(amazon紹介文より) 1.本との出会いこの本は哲学者である鷲田清一さんという方が、紹介文にもある通り、入学式と卒業式で生徒さんたちに送った式辞の文章をそのまま載せている内容

くま読書&映画 急に具合が悪くなる/人生をしまう時間

死について書いたから、今度は生きることについて書きたいと私は以前のnoteで書きました。 しかし、すぐには書くことができませんでした。様々なタイミング的な物であったと記憶しています。しかし、忘れている訳ではありません。 死について考えるという問いは「どう死んでいくか」ということだけを取り上げているようですが、本質的には「どのように生きていくか」という投げかけではないかと思います。 そのように少しことばを変えるだけで「終活」や「人生会議」よりも、もう少しみなさんがなじみや

くま読書 居るのはつらいよ

この本は、私の根幹となっている本である。私の中での大きい柱となっている本のうちの1つだ。 最近、なぜか思い出したくなったので、パラパラと読んでいる。 1.沖縄の物語好きなポイントはたくさんある。1つは私の好きな沖縄が出てくる。 沖縄の精神科のデイケアが舞台であること。 この本は物語形式で話が進んでいく。 だから「学術書」のジャンルではあるのだが、出てくる登場人物や話自体がおもしろく、先の展開が気になるので、するすると思わず読んでしまう。そういう不思議な魅力を携えている。

くま読書 ほんのちょっと当事者

先日「当事者」について少しこの記事で触れました。 私はそこで当事者の階層性や分断についてほんの少し書き記したのですが、その時に脳裏をかすめたのが、以前読んだこの本のことでした。 ローン地獄、児童虐待、性暴力、障害者差別、 看取り、親との葛藤…「大文字の困りごと」を 「自分事」として考えてみた。 「ここまで曝すか! 」と連載時より大反響の明るい(?)社会派エッセイ (Amazon紹介文より) 1.誰しもが「ほんのちょっと当事者」この本の作者青山ゆみこさんは題名の通り「ほん

くま読書 いつか笑える日が来る

今日は、奥田知志さんの書籍を紹介したいと思います。 「いつか笑える日が来る」というタイトルに副題がついていて、「我、汝らを孤児とはせず」と書いてあります。この文面からも伝わってきますが、奥田さんは牧師さんです。 ①著者の紹介まず、奥田知志さんのご紹介から。 日本の牧師。日本バプテスト連盟東八幡キリスト教会牧師、認定NPO法人抱樸理事長、公益財団法人共生地域創造財団代表理事、一般社団法人Colabo理事、北九州市立大学MBA特任教授。(Wikipediaより抜粋) この

くま読書 ロバート・ツルッパゲとの対話

ワタナベアニさんを知ったきっかけはおそらく幡野さん経由だったと思う。 国内外で活躍を続ける写真家・アートディレクターのワタナベアニ氏による初著書。海外と国内とを行き来する著者による、この国の「哲学」について。「自分がしたいことを考えず、与えられたことだけをこなして自分を騙してしまう。これが哲学の不在です」と、著者はそう語ります。私達はいま、自分に正直に生きているでしょうか。“大人の幼稚さを通過して、もう一度純粋な子どもの目を取り戻"したい、そんなあなたへこの本を贈ります。哲

くま読書 どこからが病気なの?

私たちは元気なときもあれば、病気のときもある。「がんです」と診断されても自覚症状がない場合もある。その境界線はどこにあるのだろう? 病理医ヤンデルが教える病気のしくみ。 私がTwitterやnoteを見るようになったのはヤンデル先生がきっかけだと思う。 何で見るようになったのかは覚えていないが、全ての始まりはヤンデル先生なのだ。 私はおそらくヤンデル先生のファンなのだと思う。 医療情報の発信内容はもちろんのこと、眼鏡をかけているし(私は眼鏡をかけた男性に弱い)、ワクチン

くま読書 手の倫理

伊藤亜紗さんが書かれた「手の倫理」。 soarの東畑さんと伊藤さんのイベントでお2人の話を聞いた時からこの本を読んでみたいなと思っていました。 私の日々の職業である作業療法士は、仕事中に手を使うことが多く、たくさんの人の体にも触れる機会が多いのですが「手の倫理」って?どういうことだろう?とタイトルから疑問に思っていました。 1.「ふれる」「さわる」この本のはじまりというか、根幹にあるものは「ふれる」と「さわる」の違いなのだと思います。 「ふれる」は相互的であるのに対し、

くま読書 丹野智文 笑顔で生きる

私は当事者の本を読むが好きだ。 なぜなら、今のところわたしは比較的健康で、当事者の気持ちが全くわかっていないからだ。 わからないからこそ、知りたい。1つ1つは単なる1事例であると思うが、積み重ねていくと見えてくるものもある。人生の物語に寄り添う時に、物語性があるものをたくさん自分の中に備えておくと良い気がする。 認知症の当事者の本の中で、この方はかなり若い人の部類に入ると思う。 1974年、宮城県生まれ。自動車販売会社で働いていた39歳のとき、若年性認知症と診断された