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思ったことや考えたこと

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日々暮らしていて、頭にふっと思いついた考えや、人から影響を受けて浮かんできた思考の断片などを書いたもの。
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2025年1月の記事一覧

治らないからいいんです

「治らないからいいんです」 まだ私が30代の頃、地域のリハ職と医者との交流の機会があった。 と、このように書いてしまうと、なんだかかたい印象になってしまう。 端的に言ってしまえば、数人で飲み会をしただけ。そのメンバーが医療職である。ただ、それだけ。 話を先にすすめたい。 私の目の前には、隣の市の病院に勤めている医師が座っていた。彼の専門は精神科と認知症だった。年は私たちより彼の方が10歳以上は上だった記憶がある。物腰はやわらかいが、彼の講義は芯が一本通っており、彼が話すこ

「わからなさ」とつき合う難しさ

「山崎まさよしが好きですって?!」 私の対面には先輩が座っていた。 彼女は非常勤で通っている理学療法士であって、週一回、私と職場を共にしていた。私たちは社員食堂の小上がりの畳の上で正座をして、昼食を取っている最中だった。 彼女の表情を見つめた。 片方の眉をしかめて、口元は笑みを浮かべていた。 その表情はトータル的に見てどこか好意的なものではないことは私にもわかった。 なにか彼女に間違えたことを言ってしまったのかな、と思った。 私は好きな歌手を尋ねられていたはずだった。

未来を描くことができないまま、ここまで生きてきた

「あなたのだめなところはそこだよ」 私の目の前には、革の高級そうな椅子に座っている男性がいた。学校の応接室。スーツを着た男性はこの学校の理事の1人であった。 「〇〇さんの親戚は病院を経営してるわけでしょ。資格を取って、就職して、そこから自分が作業療法士として何をしていくべきか。あなたができることがあるわけだから。ちゃんと将来や目標を見据えてやってかないとだめだからね」 「は、はぁ」 と、私は情けない声を出した。 その後、「わかりました」と答え、そのあと彼と二言、三言話

「はやて(全)」に寄せて

読書について。 目の前の本に書かれていることは、自分ではないものであり、また、もしかして自分でもあったかもしれないものである。 読むことで自分からはなれたり、あるいは、もっとちかづいたりといった動きを繰り返しながら、手渡されたもの。 それは、私にとって、すぐになにかに活用できる代物ではない。今、ここで受けとったものの、全貌は見えない。そして、全てを受け取り切れていない可能性は高い。 それらを想う。 思いだして、今この手のひらにあることを見つめなおすために、感想というもの