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社会福祉士としての成長?専門性?

かならず社会福祉士会では話題になるし,研修でもよく話し合われる内容.福祉系の大学で社会福祉士のカリキュラムを取っている学生さんもきっとこんな話し合いをしていることだと思う.
大学の研究でも社会福祉の専門性についての議論はたくさんされていて,社会福祉の性格,固有性,科学性,価値観…などなど枚挙にいとまが無いし,このことはこれまでのブログでも書いてきたので省略.

問題は,いまだに社会福祉士会で社会福祉士の専門性の確立は何か.あるいは社会福祉士として成長することとは何かが議論されていること.
百歩譲って議論はしてもいいけど,その方向性はどこに向かっているのか.
そもそも「社会福祉士」は法律的にすでに定義化され,またソーシャルワークのグローバル定義があり,それに準拠しているのでやることはすでに定まっている.

改めて引用すると,

(目的)
第一条
 この法律は、社会福祉士及び介護福祉士の資格を定めて、その業務の適正を図り、もつて社会福祉の増進に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条
 この法律において「社会福祉士」とは、第二十八条の登録を受け、社会福祉士の名称を用いて、専門的知識及び技術をもつて、身体上若しくは精神上の障害があること又は環境上の理由により日常生活を営むのに支障がある者の福祉に関する相談に応じ、助言、指導、福祉サービスを提供する者又は医師その他の保健医療サービスを提供する者その他の関係者(第四十七条において「福祉サービス関係者等」という。)との連絡及び調整その他の援助を行うこと(第七条及び第四十七条の二において「相談援助」という。)を業とする者をいう。

社会福祉士及び介護福祉士法

ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。

グローバル定義のうち,中核的任務

医療,障害,生活保護,高齢者福祉…,在宅,相談機関,施設…様々な分野で働く相談援助者は社会福祉士として働くとすれば,上記のように社会資源のコーディネートをすること.そして,ソーシャルワークとしては,もしこうした社会資源によっても人権が侵害され続けているのであれば,それを改善する手立てを講じることである.

なるほど,目的は分かったが,では,その手段や用いるべき手順,交渉はどうするのか.そこを積み重ねていくことが「成長」であると思う.グローバル定義に書かれているように,様々な学問を横断的にたぐり寄せながら,現実的な状況に対応していくしかない.
すでに社会福祉士を取得する課程で,さまざまな学問を学んでいる…社会学,心理学,医学…それらを「基本フォルダー」にして,必要に応じてそのフォルダーの中身を詰めていく作業が必要である.そのフォルダーから現状に対して言葉を紡いでいくこと.

そう考えると,認定社会福祉士に取得を目指すことはフォルダーの中身を詰めていくことになるとも言える.しかし,本来,こうした知を深めることは誰かに承認されるためにやるものでは無いし,その程度を評価されることでは無い.それは本や先人との対話であり,また学知の友愛とも言われる関係で紡がれることである.

試験で点数化され,レポートで評価されることに慣れすぎているわれわれの学びとはまた違った形での深め方が求められるのでは無いだろか.

その意味で社会福祉士としての専門性の追求や成長は,社会福祉士会に評価されることではなく,現実の状況によって試され,実感するモノである.

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