子どもをむやみに傷つけないために。『おやときどきこども』を読んで、10年後の自分にアドバイスをしたい
今はまだ喃語しか喋れない息子と、この先彼の将来について語るとき、私はどんな言葉をかけられるだろうか。
『おやときどきこども』という本を読んだ。著者の鳥羽和久さんは、大学院在学中に学習塾を開業し、現在も小学6年生から高卒生まで約160人の学習指導に関わる教育現場の人である。その鳥羽さんが、まさにいまの親子が抱える問題を、子どもたち自身のリアルな言葉を通して描いたのがこの著書である。本の帯には、
学びの現場で子どもたちと向き合い、対話と思考を重ねてきた著者が描く もう一度、大人が子どもと 出会い直すための本。
とあった。
この本を読んで、10年後の自分にアドバイスをするとしたらこうだ。
※著書内の言葉を用いています
・大人の嘘はすぐにバレるらしい。「いまがんばらないと将来困るわよ」なんて言ってはいけない。頑張りたかった過去の自分を押しつけてはいけない。
・他の親の間違いをその場で指摘してはだめだよ。なぜなら親のメンツをつぶしてしまうと傷つくのは親よりもその現場にいる子どもだから。
・子どもが可哀想、なんて子どものために泣くのもやめてね。子どもは自分のために泣いてくれる親に刃向かうことができないから。その涙は子どもにとって”呪い”。だから親は大人のやっていることをちゃんと見つめなくちゃいけない。
・嘘をつくということは、相手に対して無理をしているということ。信用されていないことに絶望すると嘘をつくらしい。子どもの「いま」を見てあげられている?私の価値観を押し付けていない?その無理のほうを解決しなければ同じことが繰り返されるよ。
・もし子どもがいじめの加害者/被害者になったら、人格にかかわる否定や規定ではなく、現状をフラットに伝えよう。なぜなら言葉にしてしまうと「私は〇〇な子」と子どもに内在化させ、その立場から逃れられず、自然な心の発露が妨げられてしまうから。〇〇な現象が起こっているように見えるよ、と伝えよう。
・こうすべき、という話ばかりしないで。フラットな対話(例えば進路なら、A高とB高の条件を話すなど)があれば、その中から自分で考え始め、内なる欲望を見つけ出すことができる。自らの欲望に基づいて進路を決定したという手ごたえが残れば、この手ごたえが子どもの人生を肯定的に支えるよすがになる。
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“親も人間、間違ったことだってしてしまう”という当たり前の事実に、私が自力でたどり着いたのは大学生の頃だったように思う。それまで、親という存在はどうしても完璧なものだと思っていた。親との仲はいまも決して悪くはないけれど、心につっかえている言葉というのは、確かにある。
子どもをむやみに傷つけないために。
子どもが将来を考えるときの足かせをはめてしまわないように。
なるべく意識して、決めつけない・押しつけない・フラットな対話を心がけたい。間違ってしまって後悔することもあるだろうけれど、できる限り。
そしてできるなら、(きっと10年後くらいに)彼のキラキラとした未来の話を笑顔で横で聞き、言葉を交わしたい。
だからこれからのわたし、頼んだぞ。