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ドラマから考える

奈星丞持さんが、ドラマを通じて私も絡めて記事を書いてくださいました。
(またまた奈星さんの記事について書いてすみません)

 何より中途失聴者・難聴者側立場になって考えてくださった、疑問を持ってくださった、とても嬉しいことです。
更にそのきっかけの一端に私がなれていたら嬉しいです。

 考え方は人それぞれ。
自分ならどう考えるか、考えるって結構大変なこと。
しかも正しいかどうかも分からない。
でもすごく尊いこと。相手を思いやること。
他の方の学びにも繋がると思うのです。
そうやって考えてくださる方が1人でも増えれば、この世界も少しずつ発展していくだろうと思います。

 これから書くことは、私が通訳者人生や数百件の通訳活動の中で実際にあったことに基づいて書いています。
これが全てではないし、人それぞれあると思います。
一事例、一意見として聞いてください。
十把一絡げにはできないですし違う人もいる、
それはインクルージョン、皆で受け入れていくものだと思います。

長くなりそうですので、今回は最初の質問部分の回答だけを載せたいと思います。
続きはシリーズ的にやっていこうと思います。

奈星さんからの質問

hanasakiさんにお聞きしたい、疑問です。

生まれながらに聞こえなかったのではなく、18歳まで聞こえていた人。
そして、話すこともできていた人。
この人が両耳の聴力を失った。

この場合、この人は、【話せなくなる】のでしょうか?

僕は、話すこと(発声すること)は、できると思うのです。

…(中略)… 正しく理解したいから気になっているのです。

 上記の質問、記事のコメント欄にも簡単に書きましたが、改めて。
発声、発語はできるだろうと思います。
おっしゃる通り発声箇所には障害はありません。
これは先天的なろう者も同じ。
更にろう者と違い、発語の方法も身につけていますから言葉もキレイに話せるでしょう。
ただ、“物理的にできる” のと “実際やる” のはもしかしたら違うのかもと思います。

声を出すことへの不安

 まず自分の声も周りの音も聞こえません。
自分の声の音量が、周りの静寂具合と合っているか、計る術はありません。
また私たちは、自分の声を聞いて理解しながら話していることもあります。
聞こえないと途端に自分が何を言っているか分からなくなる、なんてこともあり得ます。
そういった不安から話せなくなる人もいるでしょう。

 更に話さない時間が長くなると、口や舌、声帯の筋力も落ちてくるのではないかと思います。
中途失聴者で普段手話を用いている方が声で話すと、聞き取れますがやや健聴者とは違う発音に聞こえました。
それでより話さない人もいるかもしれません。

難聴者・中途失聴者・ろう者

 私は手話通訳者ですが派遣事務所には、手話の分からない難聴者や後天的な中途失聴者の方もいらっしゃいます。

 難聴者ですと自分の声が全く聞こえない訳ではないので、比較的大きい声で話されます。老人性難聴のおじいちゃんおばあちゃんは、こういう風になりますよね。

 中途失聴者で重度の方は、声を出して話される方もいれば、「日本語対応手話」でコミュニケーションを取る方もいます。
これは日本語の文法に合わせて手話単語を表出する方法で、ろう者が扱う手話独自の文法で表される手話とは違うものです。
よく日本語音声に合わせて表出されているものは、中途失聴、難聴者が扱う日本語対応手話です。

 中途失聴者の中には自分のアイデンティティは「ろう者」であるとして、ろう的手話を習得し、音声日本語は一切使わずに、ろう者として生きていく決心をされた方もいます。

声を出す弊害もある

 声で話せばいいのに何故?と思うかもしれません。
声は便利です。
でも声で共に会話をしている健聴者は分かっていても、つい
「話せる=聞こえる」と無意識に誤解しがちです。
皆で会話している時、聞こえない人がいても、つい、そのまま話を続けてしまう。
結果、聴覚障害者が全く会話に入れない。
聴覚障害者がほぼ経験していると言います。

 「私は聞こえない、だから声での会話は一切できません」と意思表示することで否が応でも存在を認識してもらう、そう言った意味も込めて声を出さないと決めている方もいるのです。

それぞれの捉え方

 私は奈星さんがきっかけとしたドラマ含め、ろうを扱うドラマをほぼ見ません。
違和感でモヤモヤするかもしれないからです。
モヤモヤのきっかけについてはまたお話ししたいと思いますが。
とにかく、今回のドラマでどのように描かれているか見ていないので、的外れな回答だったら大変申し訳ないです。

 皆さんこの記事を見て、
声を出さないのは心が弱いからだ とか、
全員絶対声出さないのね とか、
じゃあ私の身近なろう者は間違っているので直すように言います とか、
そんな風に捉えないようにお願いします。
人はそれぞれです。

ただ、自分だったら…を考えるのは自由です!素敵なこと!
理解した上での反対意見だったら大事なものです。
それを周りに押し付けないのが大切だと思います。

また続きは後日に。


話題のドラマから考える、シリーズをまとめました!



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