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呑むまえに読む本
活かすでもなく、克服するでもない、運用という言葉が琴線に触れて手に取った一冊。
《「嫌いっ!」の運用 中野信子 著》
本書では、嫌いのメカニズムとその効用から始まり、人が人であるがゆえに嫌ってしまう『他人・家族・自己・タスク』との向き合い方までを、脳科学者である著者が脳科学的知見を踏まえて説いています。
自分の『好き』は探せるけれど、『嫌い』に向き合うのは辛い!
そういった思考に対する解決のヒントも多々ありつつ、『ヘビが嫌いなのは生まれつきか』や『人気ドラマに学ぶ、嫌いな人への上手な伝え方』『娘が父親を嫌うのはセキュリティ機能(←世のパパ必見w)』といった知的好奇心をくすぐるおもしろさもある作品でした。
とくに僕が本書のなかで膝を強打した内容は、『嫌い』を自己を痛めつける負債ではなく、自己を高める資産に変えて運用するコツ。
それは『嫌いなことを紙に書きだし、その骨格をよく観察する』ということ。
たとえば、自分は水泳が嫌いなので泳ぐことが嫌いだと思っていたとする。
しかし、嫌いを掘り下げてその骨格をよく観察してみたら、じつは思春期に人前で自分の水着姿をさらすことが嫌いだったのであって、泳ぐことはむしろ好きだったなんてことも。
ちなみに紙に書き出す理由は、脳内思考のみだと感情が暴走してしまうが、紙に書きだすことで冷静になり客観的に分析ができるからとのこと。
実際に僕も『お酒を呑んで口調が乱暴になる人が嫌い』と書き出して観察してみたところ、嫌いの骨格に『音に敏感なので、大声が嫌』と『「酒は人生をダメにするから呑むもんじゃねぇ」という超絶下戸の祖父の教え』という要素があったことに気がつきました。
この気づきがあっただけでも、ただただ苦痛な特定の酒席での気の持ち方も、今後違ってくるのではないかなと思います。
好きと嫌いは表裏一体。
最近、『好き、成功、やりたいこと、うまくいく』というワードで大渋滞のアファメーション本棚に「あれっ?」と違和感を抱きつつあるひとにオススメの一冊です。