ロストケア(喪失の介護)
ネット配信で「ロストケア」という映画を見た。
デイサービスで働く若い男性が、実は40人以上の老人を殺していた話である。
非常に優秀な介護士の主人公は、新人からも尊敬される存在だった。
ある日一人の老人が亡くなった。
そしてその事業所の代表が変死し、警察が捜査に入る。
その結果、その事業所のサービスする老人が40人以上亡くなっており、
そのほとんどに主人公の関与が疑われた。
検事の取り調べが進むが、そこで明かされる主人公の過去と、
そこから生まれた考え方に、驚愕させられる。
それは、認知症により全てを忘れてしまった老人と、
その介護のために生活を破壊された家族を救うのだと。
もちろん、主人公の行ったことは間違っている。それは間違いない。
しかし、その考え方に対して間違っているとは、断言できるだろうか。
家族を介護するということ、その心の部分に焦点をあてた作品である。
実際に介護の仕事をしているものとして、悲しくもあり、考えさせられるものであった。
映画「ロストケア」は昨年公開された。
また、原作本は11年前に刊行された、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品である。