「不幸」と家族になる。本当の幸せを手に入れる、たった一つの方法。
最近読んだ本が大変興味深かったので、概要をシェアさせて頂きます。
一人称かつ割と硬めな文章ですが、興味のある方は暇つぶしにどうぞ。
1. 「幸せ」を構成するもの
今回の本に限らず、私は折に触れて「幸せ」に関する書籍を読んでいるのですが、どうやら「幸せ」というものは次の二つの要素で成り立っているようです。
① 幸福感
② 人生の意義
ところが、私を含めた多くの人々が「幸せ=幸福感」であると勘違いしています。
おいしいものを食べられて幸せ
美人な(イケメンな)恋人がいて幸せ
SNSでたくさん反応をもらえて幸せ
社会(親・友人・他人)に高く評価されて幸せ
この「幸福感」の正体は、脳内の電気信号です。具体的には、ドーパミンやアドレナリンなどの神経伝達物質がそれにあたります。
こういった快楽(楽しい、嬉しい、熱狂、興奮、etc…)を「幸せ」として追い求める行為は、往々にして破滅を招きます。
なぜなら、「幸福感」は長続きしないからです。
それが消える度、一瞬の快楽を求めてその行為を繰り返し、「より強い刺激を、より強い快楽を……!」とさ迷う亡者が、かつての私でした。
それに「幸福感」が「幸せ」だとするなら、世界で一番幸せなのは「麻薬常用者」ということになってしまいます。
あなたは「幸せ」になるため、麻薬や覚せい剤に手を出しますか?
幸い、かつての私は「絶対にいやだ」と拒否してくれました。
2. 「不幸」を遠ざけようとして、もっと不幸になる
さらにまずいのが、「不幸」——より厳密に言えば「不快感」——と戦ってしまうことです。
「幸福感」を「幸せ」だと認識している人は、「いい気分」を求め、その対極である「悪い気分」を排除しようとします。
勉強のやる気が出ない(悪い気分)→ ゲームしよう!(いい気分)
運動不足でイライラする(悪い気分)→ ケーキを食べよう!(いい気分)
仕事のストレスがひどい(悪い気分)→ お酒を飲もう!(いい気分)
好きな人にフラれた(悪い気分)→ たくさん買い物しよう!(いい気分)
こういった「コントロール戦略」は、短期的には上手く行っても、長期的に見ればより状況を悪くしてしまいます。
しかも、人間は刺激に慣れる生き物ですから、こうした場当たり的な対策も徐々に効かなくなっていくでしょう。
そもそも、ストレス発散に何かをしていても、そのストレス源である「問題」は決して解決しないのです。後になってその「問題」が大きくなり、さらなる自己嫌悪に陥ってしまうかもしれません。
時間、お金、労力、精神力、健康。
自分の財産を投げうって、より不幸になるなど、笑い話にもなりません。
3. 「不幸」と家族になる
では、どうすればいいのか、というのが今回の本題です。
それがタイトルにもなっている「不幸」と家族になる、すなわち「不快感と共存する」生き方です。
「幸福感」も「不快感」も気まぐれにやって来て、気まぐれに去って行きます。これらを意図的に呼び止めたり、呼び出したり、追い出そうとしたりする行為は、大変骨が折れます。
ですから、こういったものは自由にさせておいて、自分にとって本当に価値があること=「人生の意義」に集中するのです。
これは、「思春期の息子の部屋に勝手に入ってくるお母さん」に似ています。
せっかく勉強しようと思っていたのに、ゲームしようと思っていたのに、えっちぃ動画を見ようとしていたのに、こちらの都合などお構いなしに「掃除するわよー!」とズカズカ踏み込んでくるお母さん。
このお母さんを排除するのは、とても骨が折れます。
思春期男子のプライベート空間がいかに重要かと説いても、全く理解してくれません。追い出そうと喧嘩をすればお小遣いを減らされるし、かと言って自分がこの部屋から逃げ出してしまえば、そもそも自分のしたかったことができなくなってしまいます。(少なくとも、移動している間はできません)
この問題を解決する方法は、ただ一つ。
そう。お母さんは来るがまま、去るがままにさせておいて、自由に掃除させ、自分はやるべきこと(勉強、ゲーム、えっちぃ動画)に集中することです。……母親の前でえっちぃ動画を視聴できる猛者はいないかもしれませんが。
人生にも同じことが言えます。
過去のトラウマ、未来への不安、現状への不満……それら「不快な感情」と戦ってはいけません。逃げ出してもいけません。
今の自分が「いい気分」なのか「悪い気分」なのか。
「幸せ」なのか、「不幸」なのか。
そんなことは、どうだっていいのです。
現状が「不幸」なら、その「不快感」を抱えたまま、「人生単位で意味のある方向」へ歩いて行きましょう。
受験に受かるか不安だけど、可能な限り勉強する。
好きな人にフラれた過去がつらいけど、さらに自分を磨く。
仕事のストレスがひどいけど、飲み会には行かず、運動して早く寝る。
友達になりたい人ができたら、相手の反応に怯えず、声を掛ける。
私たちにコントロールできるのは、「今」の自分の行動と、考え方だけ。
今この瞬間、この場所で最善を尽くすことが、最良の過去となり、最良の未来を作ります。それは決して、理想通りの「最高」ではないかもしれませんが……自分が「今、この場所」を精一杯生きたなら、深い満足感と納得感が得られるはずです。
それはきっと、「幸せな人生」と呼ぶにふさわしいものではないでしょうか。
4. 参考文献 (敬称略)
今回、①の書籍を読ませて頂きました。
書中では「不快感と共存」する具体的な方法、自分が拠り所にすべき「価値(人生の意義)」の見つけ方などに大半のページが割かれています。興味を持たれた方はどうぞ。
また、その他に参考になりそうな書籍も掲載しておきます。
① 幸福になりたいなら 幸福になろうとしてはいけない
ラスハリス 岩下慶一・訳
② 反応しない練習 草薙龍瞬
③ 嫌われる勇気 岸見 一郎 古賀 史健
5. 余談 ヘッダー(写真)について
今回の記事のヘッダー(写真)は他のnoteクリエイター様からお借りしました。
場所は愛媛県の下灘(しもなだ)駅だそうです。
私も一度行ったことがあるのですが、青春18切符のポスターになるくらい素敵な駅です。機会があれば、ぜひ訪れてみてください。