食事と排泄から他者への想像力へ「食べること出すこと」:頭木弘樹
はじめに
ちょっとお腹が調子悪いな…と思って数日後、調子が良くなりお腹が痛かったことさえきれいさっぱり忘れるなんてよくありますよね。健康なうちは臓器の存在さえ忘れていますが、そうでなくなったとき、今までの生活が普通に営めなくなったとき、見える世界はどう変わるのか、「食べることと出すこと」は教えてくれます。他者への想像力を鍛えたい方へ、おすすめの一冊です。
本の概要とあらすじ
人間は、食べて出すだけの、一本の管。
(だが、悩める管だ。)
個性的なカフカ研究者として知られる著者は、大学生のときに潰瘍性大腸炎という難病に襲われた。
食事と排泄という「当たり前」が当たり前でなくなったとき、世界はどう変わったのか?
絶望的な日常と、絶望だけしているわけにはいかない日常。その狭間に漂う不思議なユーモア(Amazon商品説明より引用)
感想
想像しにくいことは多々あります。自分が陥ったことがない状況であればもちろん想像しにくいです。
「想像が及ばないことがあるだろう」という理解。ソクラテスの「無知の知」ではないが、「いくら想像しても、経験していない自分には分からないことがある」というふうに、みんなが思ってくれれば、たいへんなちがいだ。(食べることと出すこと、p.314より引用)
筆者の思いが凝縮された文だと思いました。それほどまでに、筆者がくぐり抜けてきたあれこれは壮絶でした。でもうっすらとユーモアを交えて語ってくれるので読み通すことができました。
難病って、病気ってかかるとこんなにも大変なのか…と思うと同時に、私の体の現状がいかに感謝しなければならないぐらい健康であるか思い知らされました。四六時中排泄のことを考えなくてはならないとは…
見えていないだけで、知らないだけでみんな何かしら抱えているのかもしれない、と思うだけで、想像力を働かせるだけでもっと隣人にやさしく(というか反射的に言葉や行動を起こさないように)することはできるのではないでしょうか。と言ってもなかなか難しい。
最近だと親しい人が風邪をひいてしまって4-5日寝込んでいた時も、作ったご飯を満足に食べてくれないことにちらっと不満を覚えたりしていますが、自分の身に置き換えると有難迷惑というか、頑張ってこれ、みたいなことですよね。日々反省。気をつけよう。
あと参考になったのはお見舞いの品。お見舞いされる側が本当に欲しいものをあらかじめ聞いておいてからお見舞いに行こうと思います。かえって嫌な思いだったり、悲しくさせてしまうのはお見舞いの本意ではないですもんね。
他者への想像力を鍛えたい方へ、おすすめの一冊です。
My thoughts in English
There are many things that we could be hard to imagine. Especially the experience that you have never met.
This is the way of understanding, “There are things that we could not imagine fully.” It is not that exactly like Socrates’s Ignorance of knowledge, but this is going to be big difference that everyone thinks of there is something we couldn’t imagine fully unless you experienced. (From this book, p.314)
I believe one of important messages from author is this. It is since that author experienced many different types of struggles. Even those hard experience, author wrote this book with humor.
I’ve never thought malignant disease or just disease can be so awful. And same time, I have such a healthy body I can’t thank enough. Thinking about excretion 24/7…
You can be nice to your neighbor if you think or imagine everyone has something to hold on.
Or just not judging by its cover. This is easier said than done.
Recently someone very close caught cold and he was sick in bed for 4-5 days. Even at that time, I was bit of dissatisfied just because he could not eat much of my meal. If I was in his situation, it is totally unwanted favor. I should be careful and think over that.
Very useful information from this book is you should ask what they want before you bring something to their sick bed. If they can not be welcomed that present, both of us are going to have very awkward moment. This is not what we want.
If you want to learn imagination for your neighbor, I recommend this book.