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年明け早々の【オカルト】

「あー・・・・明けましておめでとうございます」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おめでとう」
神社へ延々と続く人の波の途中、あと半分といった所で日付が変わり、至る所から新年の挨拶が聞こえてくる。
何時間ぶりに口を利いただろうか?まず間違いなくこの波に並び始めた時から、お互い咳の一つもしていないと思う。最寄り駅に着いてから?いや電車に乗る時もその前の居酒屋でも、言葉を交わした記憶がない。
しかし、一応、念の為、一縷の望み、希望的観測、万が一の可能性に賭けて、年越しの挨拶にあやかって話しかけてみた。
結果は成功と言って差し支えないないだろうが、その後更に15分程静かな喧噪を進んで参拝列の一番前まで来た。
またこのまま気まずい空気が漂い続けてしまうのか。
何か口にしなければと思うのに、上手いこと言葉が出てこない。
いやでも願い事をぼそっと聞こえるように言えば、折角の新年を取り戻せるかもしれない。

「こっ・・・・・・今年も一緒に過ごせますように」
「えっ、流石にもう無理」
「えっ」

突如、頭上にぶら下がっていた本坪鈴が落下し、賽銭箱をぶち抜いて溜まっていたお金達をそこら中にばらまいた。
驚いて彼の方を見るとひきつった顔で

「ほらぁ早速・・・・・・・だから無理って言ったじゃん」

と言って夜の闇に消えていった。



あけましておめでとうございます
久賀池知明です。どうぞ今年もよろしくお願い致します。
新年一発目にはジャンププラスに応募して、何だか良いスタートを切れた気がします。
今回の話は全然スタート切れず縁を切った話ですが。

今年も文学フリマに出店しようと思います。
1行怪談かまた短編か、それとも長編か…まだ悩んでますがとにかく新たに刊行します。
文学賞も挑戦したいですね。横溝正史とか

またぼちぼち投稿していきます。
どうぞよろしくお願いします!^^

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