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久賀池知明
2024年5月19日 18:47
T県U市近郊〜喫茶店マスターの話〜「個人経営でそこまで広い店ではありませんし、付近にお店自体が少ないのでお客さんとよく話をするんですよ。まあ聞き耳立てるだけの時もあるんですが、その時は常連の方1人だけだったのもあって他愛の無い世間話をしてたんです。町内の誰それさんが、みたいな。平日はいつも6時に店を閉めるんですが……夕方5時ちょっと過ぎてましたかね。 髭面の男性が1人いらっしゃったんです。ひ
2023年1月28日 20:46
「・・・・・・・・・・・・ここどこだ」これもさっき通った岩に見える。その木も草も、石の割れ目さえも同じに見える。崖を登っては降り、森を抜けてもまた似たような景色に戻ってくる。それ程高い山ではないはずなのに、民家一つ、鉄塔一つ見当たらない。太陽はすっかり尾根に隠れてしまい、影や物の輪郭は溶けて混じり、自分の足元を照らす懐中電灯のみが確かだった。六合を越えて山道に突き出た針葉樹を潜り抜けた拍子に
2022年5月17日 22:36
これは私が中学校にあがり、新しく出来た友人達と近くの海浜公園まで遊びに出掛けた時の話です。家から公園までは2駅と程近く、海開きに合わせて出来たレジャー施設の事もあってそこに行くと決まりました。何処まででも続きそうな海岸線と小さい子供も遊べる遠浅が目玉で、毎年と言っていいくらいテレビで報道されていました。私達は海に着くなり必要無さそうな浮き輪とカラフルな水鉄砲を取り出して、宿題も学校のあれこれも