今週の振り返り:12月9日〜12月13日
今週はFOMC会合の動きを予想するための、アメリカの重要指数が発表されました。FOMC会合にて0.25%利下げがほぼ確実視されるようになりました。
それでは今週を振り返っていきます。
米国株
NYダウ :-0.20%(前日比)・43,828(終値)
NASDAQ:0.12%(前日比)・19,926(終値)
S&P500 :0.76%(前日比)・6,051(終値)
今週の米国株式市場は下落から始まりました。これはFOMC会合で利下げがするのか一時停止するかの不安感があったため慎重な動きになりました。
利下げの指標となる消費者物価指数(CPI)が発表された12月12日にS&P500は上昇しました。消費者物価指数(CPI)の結果、FOMC会合にて利下げをすることが確信に近づいたためです。
それでも株価が下落した理由として、今後のインフレ・トランプ次期大統領の政策・利下げの不透明感など、不安感があるため慎重な動きになり下落しました。
Googleとテスラ(TSLA)が今週は上昇しておりました、テスラはトランプ氏が当選してから上昇を続けております。Googleは量子コンピューターチップ「ウィロー(Willow)」の開発したことを発表したことにより上昇しました。
また、ブロードコム(AVGO)も大きく上昇しており、売上が大幅に上昇したことと2027年に向けて売上が900億ドルを超える予想を立てたことから株価は大きく上昇しまた。
S&P500指数は全体的に下落しており、来年の不安感を表すような結果となりました。
米国債
・米2年国債利回り:0.09%(前日比)・4.245(12/10:11時現在)
・米5年国債利回り:0.00%(前日比)・4.248(12/10:11時現在)
・米10年国債利回り:0.42%(前日比)・4.342(12/10:11時現在)
今週の米国債は大きく売られ、米国債利回りが全体的に上昇しました。
いくつか理由はあり、1つ目は12月のFOMC会合にて利下げはほぼ確定しましたが、来年以降の利下げペースが不透明なため米国債利回りが上昇しました。インフレが根強く存在することと、トランプ次期大統領の政策でインフレ圧力が上昇する予測があり、利下げペースに不透明さがあります。
2つ目は新規失業保険申請件数が予想を超えて上昇したからです。今週発表された新規失業保険申請件数は予想を超えて、今まで米雇用市場は堅調でありましたが、冷え込んできていることが表面化されました。
これらの理由で市場の不安感が強まり、米国債利回りが上昇しています。
為替(ドル円)
今主のドル円はドル高に大きく動くことになりました。相変わらずドル円のボラティリティが強い現状です。
大きな理由としては2つあり、1つは米国経済の不安感から米国債利回りが大きく上昇していることです。
2つ目は日銀の12月に利上げをする予測が低下したからです。13日公表の全国企業短期経済観測調査(短観)では企業の業況感の底堅さが示されたこともあり、日銀が利上げを行わないと市場は予測しました。
これらの理由で、ドルが大きく買われる結果となりました。
金(ゴールド)
金価格は13日まで大きく上昇しました。12月のFOMC会合にて利下げが行われること、中東情勢が悪化していること、中国の中央銀行にて金が買われたこと、これらの理由で金価格は上昇しました。
ですが、今後のFRBで利下げスピードが不透明なことやインフレ再発の影響で金価格は下落しました。
原油
今週は原油価格が上昇を続けました。
原油価格上昇としていくつか理由があります。
1つ目は、中東情勢の不安定さ。2つ目が、アメリカが来年の原油供給過剰になると予測していましたがそれを覆し、原油不足になると予測を出しました。3つ目は、米国によるイランとロシアへの制裁強化の見通しがあるからです。
●12月9日
【国際】中国とアメリカの関係悪化
ロシアとウクライナの戦争で主流となっているドローンの重要部品を、中国は欧州とアメリカへの供給を遮断しよとしている。
モーター、バッテリー、飛行制御装置の中国メーカーは出荷量を制限したり、出荷を完全に停止しています。
また、中国ハイテク大手であるHUAWEIへの取引規制を強化する可能性が出てきました。HUAWEIへ半導体やサービスを販売する企業にアメリカ議員は国防法案に基づき、取引を禁止するように動いています。
土曜日に発表されました国防権限法案には、HUAWEIまたはその関連会社に、半導体・製造装置・半導体設計ツールなど販売することを事実上禁止する文言ありました。
【企業】🇺🇸NVIDIA独占禁止法の疑いで調査開始
中国はNVIDIAが2020年の取引をめぐって独占禁止法違反の疑いで調査を開始しました。今回の措置は、アメリカが中国に対して規制強化をした、中国の反撃だと思われます。
また、NVIDIAは中国からの利益が15%ほどあり、アメリカの中国に対しての規制が強まれば利益の低下が予想されます。
【企業】🇺🇸Googleが量子コンピュータチップを発表
Googleは、脅威の速度をもつ新しい量子コンピューターを発表しました。今までのスーパーコンピューターで約10兆年かかる問題をわずかの5分で解決することができるようです。
●12月10日
【国際】イスラエルがシリアの軍事施設を攻撃
イスラエル国防軍は12月10日(火)の夜、シリアの兵器備蓄庫をテロリストに武器が渡るのを防ぐため攻撃したと発表しました。
イスラエルはシリアの化学兵器やミサイル貯蔵施設を攻撃したの理由を、テロリストや過激派がその兵器を使ってシリア国民に危害を与えることを防ぐためと主張。
イスラエルのこの行動は周辺国の反感を買ってしまいました。エジプトやサウジアラビアを含むアラブ諸国は「シリアが安全、安定、領土保全を回復する機会を妨害する決意」と述べており、エジプトは「シリア領土のさらなる占領」を非難している。
アメリカのバイデン政権やトランプ次期大統領は、シリアの問題に関しては深く関与しないことを強調しておりました。
【企業】🇺🇸バイデン大統領、USスチールの買収を批判
バイデン大統領は日本製鉄がUSスチールを買収することには批判的でおり、買収計画を国家安全保障を理由に阻止する計画だと分かりました。10日の米株式市場でUSスチールは一時22%安を付けた後、9.7%安で通常取引を終えた。
【企業】🇺🇸Googleは発電所の建設を計画
インターセクト・パワーとTPGライズ・クライメートLPと提携し、大きな発電所を建設することを発表しました。データセンターで使う電気量がアメリカでは問題視されてきており、Googleはそのための電力供給をする発電所の建設を計画した。
【企業】🇺🇸ボーイング飛行機の組み立て再開
ボーイングは2ヶ月近くのストライキを経て、有名な飛行機の組み立てを再開したことを発表しました。株価は一時的に5.9%上昇し、この日4.4%上昇を記録した。
【企業】🇺🇸イーライリリー商品が「反快楽薬」に
イーライリリーの商品である肥満薬が薬物やアルコール、喫煙などの依存症に効果がる可能性があると発表し、調査のための研究を始めることを同社のCEOであるリックス氏の発言がありました。
この肥満薬が「反快楽薬」であり、依存を和らげることが可能であると発言がありました。
●12月11日
【経済指標】🇺🇸11月消費者物価指数
11月の食品をエネルギーを除いた米消費者物価指数(コアCPI)は、先月と同じで横ばいとなりました。そして米CPIは前月と比べて0.1増えておりました。CPIとコアCPIどちらとも市場の予想通りになりました。
消費者物価指数(前年比):2.7%(結果)・2.7%(予想)・2.6%(前回)
消費者物価指数(前月比):0.3%(結果)・0.3%(予想)・0.2%(前回)
コア消費者物価指数(前年比):3.3%(結果)・3.3%(予想)・3.3%(前回)
コア消費者物価指数(前月比):0.3%(結果)・0.3%(予想)・0.3%(前回)
詳しくは下記をご覧ください。
●12月12日
【経済指標】🇺🇸11月の生産者物価指数(PPI)
12月12日に米PPI(生産者物価指数)が発表されました。PPIは市場の予想を超える結果となりました。PPIはCPI(消費者物価指数)の先行指数にもなりますので注目があります。
PPI(前年比):3.0(結果)・2.6(予想)・2.6(前回)
PPI(前月比):0.4(結果)・0.3(予想)・0.3(前回)
コアPPI(前年比):3.4(結果)・3.2(予想)・3.4(前回)
コアPPI(前月比):0.2(結果)・0.2(予想)・0.3(前回)
11月のPPI(生産者物価指数)が前回よりも大幅に上昇しました。価格変動が激しい食品とエネルギーを除く基調的な物価指標であるコアPPIは、横ばいの結果となっております。
詳しくは下記をご覧ください。
【経済指標】🇺🇸新規失業保険申請件数
アメリカの新規失業保険申請件数が今週も発表されました。その結果は市場の予想を超えるものとなりました。
新規失業保険申請件数:24万2000人(結果)・22万(予想)・22万5000人(前回)
失業保険申請件数が24万2000人と前回と比べて、1万7000人も増加しました。堅調だったアメリカの労働市場が段々と冷え込んできていることがわかります。以前はボーイングのストライキやハリケーンの影響など明確な理由がありましたが、今回の数値はそうではなく全体的に失業者が増えているように思われます。
◆失業保険継続受給件数
失業保険を継続的に受給している人数も上昇しており、189万人となっております。前年の11月の時期では182万にで、7万人以上増えている状況です。
失業者が増えている中、再就職先が見つからない人たちが増えてきている現状です。
【決算】🇺🇸ブロードコム
ブロードコムは、アップルや大手テクノロジー企業に半導体を供給しています。人工知能(AI)チップの需要急増見通しを示し、株価が急上昇しました。
ブロードコムは決算発表後に、AI製品の売上高を第1四半期に65%増加し、データセンター事業者向けに設計するAI部品の市場規模を2027年度までに900億ドルに達すると予測しました。
ブロードコムの半導体部門は第4四半期に12%増の82億3000万ドルの売上高。ソフトウェアの売上は200%近く上昇し、58億2000万ドルとなった。
【決算】🇺🇸コストコ(COSTCO)
コストコ・ホールセールは、第1四半期の売上高と利益が予想を上回る結果を発表しました。
第1四半期の売上高は前年比7.5%増の621億5000万ドルとなりました。四半期中に会員数が増加し、既存の会員は約90%が継続するためにサービスを更新した。
【企業】🇺🇸Apple、部品を自社製品に切替
Appleは、他社に依頼していた部品などを自社で作る動きが強く、来年からBluetoothやWi-Fi接続用の部品を自社製品に切り替えることを発表しました。これによりブロードコムから供給されている部品を一部置き換えることになります。
ちなみに、BluetoothやWi-Fi接続用の部品を「Proxima」と呼ばれており、数年前から開発されていました。ProximaはTSMCにて製造されているようです。
【企業】🇺🇸Google、サムスン電子と共同進出
アルファベットの傘下であるGoogleは、サムスン電子との共同進出を発表し、新たなOSとヘッドセットを発表しました。
これはGoogleのアンドロイドソフトウェアのXRである。
そもそもXR(クロスリアリティ)とは、現実世界と仮想世界を融合させて新たな体験を生み出す技術の総称です。VR(仮想現実)、AR(拡張現実)、MR(複合現実)などの先端技術がすべてXRに含まれます。
Google幹部であるサマット氏は、「XRの時代は今だ」と発言しました。ゲーム、動画鑑賞、手術などに特化したヘッドセットになるとの発言がありました。
【企業】🇺🇸アーチャー・アビエーション
電気航空機メーカーのアーチャー・アビエーションは投資家から4億3000万ドルを調達したことを発表しました。
アンドゥリル・インダストリーズ社とアーチャー社は、新たに軍用ハイブリッド航空機を共同で開発する提携関係を発表しました。この提携は、アーチャー社が軍事および民間での航空技術を強化する目的で進められています。
アーチャー社は2021年に上場し、時価総額は約30億ドル。同社は昨年、米空軍との契約を獲得し、物資輸送を目的とした静かで効率的な電動垂直離着陸機(eVTOL)を提供する予定です。
このプロジェクトの資金調達は、「上場株式への民間投資(PIPE)」形式で実施され、投資家にはステランティスNV(自動車メーカー)、ユナイテッド航空ホールディングス、ウェリントン・マネジメントなどが名を連ねています。この資金は、国防総省向けの航空機開発や、一般用途の航空機技術の拡充に活用されます。
この動きは、地政学的緊張の高まりや、防衛技術分野での新たな需要が背景にあります。特に、静かで低コストな航空機技術は、軍事利用だけでなく、民間用途でも広く注目されています。
●12月13日
【中央銀行】🇯🇵日銀短観
12月の日銀短観によると、国内企業の景況感は全体としてわずかに悪化していることが明らかになりました。大企業・製造業の業況判断DIは、中国をはじめとした海外経済の減速や輸出の低迷が影響し、前回調査(9月)から1ポイント低下しました。
一方で、自動車生産の回復など一部の業種では改善が見られました。大企業・非製造業では、インバウンド消費の増加やデジタル化の進展がプラスに作用し、高水準を維持しましたが、家計の節約志向や人手不足が景況感を下押ししており、2ポイント低下しました。
先行きについては、製造業ではグローバル経済の循環的な回復が期待される一方、米中経済の減速が懸念材料となっています。非製造業では、所得環境の改善による個人消費の持ち直しが予測されるものの、人件費の増加が引き続きマイナス要因となる見通しです。
設備投資に関しては、2024年度の全産業ベースで前年同期比8.2%増加する見込みとなっています。情報化投資や人手不足対応への需要が引き続き高く、企業の投資意欲は堅調に推移しています。ただし、例年通りの修正幅を考慮し、若干の下方修正が予測されています。
今回の調査結果は、国内外の経済状況が企業活動に複雑に影響を及ぼしている現状を反映しています。インバウンド需要やデジタル化といったプラス要因がある一方で、人手不足や世界経済の減速といった課題も顕在化しています。
この結果は、日本経済が依然として回復基調にあるものの、慎重な見通しが必要であることを示しています。