生産者物価指数とパウエル議長の発言が与える、米国株と米国債の影響!新規失業保険申請件数の減少
アメリカ経済
--生産者物価指数(PPI)--
米10月生産者物価指数(以後PPI)は、PPI(前月比)は予想通りの結果となりましたが、コアPPI(前月比)は予想より0.1超える値となりました。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたPPIをコアPPIとしている。
生産者物価指数(PPI)とは、企業間で取引される商品やサービスの価格変動を示す指標です。生産コストの上昇や下落を把握することができます。生産者同士の価格動向を示すため、インフレ圧力が企業コストにどのように反映されているかを分析する際に活用されます。
コア生産者物価指数(前年比):3.1(結果)・3.0(予想)・2.9(前回)
コア生産者物価指数(前月比):0.3(結果)・0.3(予想)・0.2(前回)
生産者物価指数(前年比):2.4(結果)・2.3(予想)・1.9(前回)
生産者物価指数(前月比):0.2(結果)・0.1(予想)・0.1(前回)
先日発表された消費者物価指数(以後CPI)は、時間はかかりそうですが、インフレを順調に抑制できているような結果となりました。ですが、PPIとコアPPIどちらとも予想を超えた値となりました。発表元の労働省労働統計局(BLS)は、炭素鋼スクラップの価格が8.4%上昇したことが「主因」だと説明した
PPIはCPIに反映する数値でもあるので今後CPIの値も上がっていく可能性があります。
また、トランプ新政権による関税引き上げや不法移民の強制送還はPPIの値をあげる可能性が高く、インフレ圧力が高まる可能性があります。
--FRB利下げは?--
11月15日に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、「経済は、金利引き下げを急ぐ必要があるというシグナルを発していない」と発言しました。
アメリカ経済は雇用統計などを見ると堅調であることが伺え、今月のCPIとPPIの発表からインフレリスクが潜んでいることが現れました。これにより、パウエル議長が利下げペースを下げることを発言しました。
パウエル議長の発言を受けて12月の利下げの可能性がさがり、米国債利回りを上昇、昨日までFRBが利下げを行う確率が約80%でしたが、60%未満まで下落することになりました。
パウエル議長はトランプ新政権の政策に向けて、「政策変更が経済にどのような影響を与えるかを評価する時間は、我々が反応する前に十分にあると思う」と述べました。
--米国債--
米国債利回りは、昨夜のPPIとパウエル議長の発言がきっかけで上昇いたしました。PPIの結果からパウエル議長は、経済が安定していることから、利下げを急ぐ必要はないと発言しました。これを受けて米国債利回りは全体的に上昇。
・米2年国債利回り:1.23%(前日比)・4.347(11/15:13時現在)
・米5年国債利回り:1.00%(前日比)・4.335(11/15:13時現在)
・米10年国債利回り:0.90%(前日比)・4.462(11/15:13時現在)
一時的に利回りが減少しておりましたが、上昇することになりました。
--新規失業保険申請件数--
米国の新規失業保険申請件数は先週に比べて減少し、21万7000人となりました。ハリケーンからの回復や、ボーイング社のストライキが終結したこで、失業保険申請件数は減りました。
しかし、ボーイングでは新たに従業員を1万7000人削減するとの発表があったため、今後の新規失業保険申請件数は増える可能性があります。
--米国株--
米国株式市場は全体的に下落しました。
NYダウ :-0.47%(前日比)・43,750(終値)
NASDAQ:-0.64%(前日比)・19,107(終値)
S&P500 :-0.60%(前日比)・5,949(終値)
トランプ氏の大統領選挙勝利時は、トランプ氏の政策が企業利益の伸びを支えるとの楽観視から力強く米国株は上昇しましたが、現在ではその勢いはなくなりました。
理由としては、急激に上がった米国株の利益確定と米国債利回りの上昇が考えられます。PPIの数値の発表やパウエル議長の発言で利下げペースが遅くなるとの予想から、米国債利回りの上昇。
また、米国の議会選挙で共和党が上下両院も支配する「トリプルレッド」の確定で、インフレ圧力が増すとの予測から、米国債利回りが上昇いたしました。
テスラはトランプ氏勝利後、株価が急上昇しておりました。
ですが、トランプ次期大統領が電気自動車の普及促進を目的とした主要な消費者税控除を廃止する計画を発表したことにより、株価は下落しました。
--為替(ドル円)--
PPIの発表とパウエル議長の発言もあり、米国債が上昇しドル買いになりました。156円台を突破しております。
--金(ゴールド)・原油--
・金(ゴールド):パウエル議長の利下げ抑制発言でドル高が続く中、金価格は2ヶ月ぶりに安値付近を推移しております。
・原油:原油の供給過剰懸念とドル高で原油価格は下落しております。