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子育てで大切なこと、それは至ってシンプル~静かな環境がもたらすもの

先日

『忘れられない思い出
 ~不安だった私を励め支えてくれたもの』

と言う記事を投稿しました。

この記事の中で、
新しい先生が見つかるまで
園のお手伝いを
することになった
というお話をしましたが、
結局、その後
新しい先生は見つからず、
私は、卒園まで 
その子たちのクラスを
サポートすることに
なりました。

そのクラスは
とにかく元気で明るくて、
毎日がまるで
お祭り騒ぎのようでした。

楽しいは楽しいのですが…
動と静の
メリハリがないのは
やはり気になりました。

昼食時間もずーっと動。

大声でワッハッハッ

ガヤガヤガヤガヤ

その声量は明らかに
食事の時のものでは
ありませんでした。

例えるならば
かなりアルコールの入った
忘年会や新年会
と言ったところでしょうか。

一人の声が大きいと
その声にかき消されまいと
みんな声も大きくなり
自然とクラス全体が
賑やかになってしまうのです。

もはや私の声は
誰にも届きません。

さて、
どうしたものか…

しばらくの間
考えあぐねていた私は
ある方法を思いつきました。

それは…


静の環境を整えること。

まず、
各テーブルに
お花を飾りました。

それから、
ロウソクを灯しました。
(本当は本物にしたかったのですが、
安全上、フェイクにしました)

そして、
癒しの音楽をかけました。

その効果は
すぐに現れました。

まずは、お花。
お花を飾った途端に
子どもたちがしたこと。
それは…

『お花の香りを嗅ぐ』

でした。

正直、私は驚きました。
そして、嬉しかったですね。
あぁ、この子たちも
こんな風に
お花の香りを
嗅ぐんだなぁって。 

小さな声で
「いい匂いするよ」
なんて囁きながら、
代わり番こに
匂いを嗅いでいる姿は
何とも微笑ましいものでした。

ロウソクは、
ガラスの瓶に入れて
置きました。
中に
オレンジスウィートのアロマを
垂らしました。
こちらも
静かに香りと光を
楽しむ姿が見られました。

最後に音楽をかけ
私は尋ねました。

「レストランに
行ったことある人いるかな?」

「レストランって何?」

レストランってね…
こんな風に
音楽が流れていたりして
とても静かな場所なの。
こういう静かな場所で
みんなでお話しながら
お食事を楽しむんだよ。
少しおしゃれもして行くの。


そんな風に説明をしました。

ほとんどの子が
「知らなーい」
「行ったことない」

中には
「いつも行くところは
ガヤガヤうるさいところだよ」
なんて話してくれた子も
いました。

そこで、
「それじゃあ
今からみんなで
レストランに行こう!」

ん?


「それは、無理なので…
レストランに
行った気分になってみよう!」
そう提案しました。

「さあ、目を閉じて。
今日は
飛びっ切りの
おしゃれをしよう。

女の子は、
好きなドレスや
アクセサリーをつけてみて。
何色でもいいよ。
フリフリでもいいし、
長いドレスでもいいよ。

男の子は、
ネクタイとか
蝶ネクタイをして、
お父さんみたいに
格好良くきめてみて!

カツカツって音がする
ステキな靴を
履いてみてもいいよ!

さぁ準備は出来たかな。

それでは目を開けて。
さあレストランに行くよ」

「お客様、
ようこそいらっしゃいました。
どうぞ、お座りください」

子どもたちの背筋が
ピンと伸び、
すました表情になりました。

まるで、
本当にドレスを
着ているかのよう。

いつもの怒鳴り声は
聞こえません。

綺麗な音楽だけが流れ
シーンと
静まりかえっています。

「それでは、
お当番さん、
牛乳を配ってもらえますか?」

お当番さんも
静かに牛乳を配り始めました。

あらあら
いいんじゃない!

いつものみんなからは
想像出来なきほど
しっとりとした雰囲気に
私は嬉しくなりました。

と突然



うわーん

静寂を打ち破る
Kちゃんの鳴き声。


ありゃりゃ何のトラブル?
せっかく良い雰囲気だったのに、
私はがっかりしてしまいました。

でも、
まあ仕方がないか。
今日はここまでかな。
そう思いながら
Kちゃんの所へ駆け寄り
「どうしたの?」
と尋ねました。

そ、

し、

た、

ら、

Kちゃんは言いました。


「感動してぇ…
うわーん」


そうだったのね。
嬉しかったのね。

行ったことのない
ステキなレストラン。
着たことのないような 
ステキなドレス。
お姫様のように
着飾った自分を想像して
Kちゃんはあまりの幸せに
泣き出してしまったのでした。

それを聞いて
みんなは小さな声で
フフフッと
笑いました。

でも、
馬鹿にする人は
いませんでした。

もしかしたら
みんなも、
Kちゃんの気持ちが
ちょっぴり
分かったのかもしれません。

牛乳が配られ、
Kちゃんも泣き止み 
「いただきます」の
ご挨拶をして
みんなで昼食を
食べました。

いつもと違う雰囲気
いつもと違う気分
子どもたちは
初めてのレストランを
楽しんでいるかのようでした。

それから、
毎日、食事の時間は
テーブルに
お花とロウソクを飾り
音楽をかけました。

もちろん
賑やかになることも
ありましたが
以前よりは
ずっと穏やかに
食事が出来るように
なりました。

子どもたちは
想像力の固まり。
遊びの天才です。

大人である私たちは
言葉で導く必要は
ほとんどなくて、
子どもが想像の世界
楽しんだり
創造力を発揮していけるように
環境を整えてあげるだけで
十分なのだと思います。

困ったなと思ったら
まずは環境の見直しを。


さて、
現代の子どもたちは
テレビやユーチューブ
ゲームなど
常に機械音にさらされ
静かな時間を過ごすことが
少なくなってきています。

それは、
うるさいことが気にならない
とも言えると思います。

人の話も雑音の一部。
だから、
大事な話も
耳に入りません。

先生の話も授業も
機械音と同じように
ただ流れていくだけ。

自分にとって
何が大事な音なのか
聞き分けることが
難しくなっているのですね。

それは
もしかしたら
集中力のなさや
落ち着きのなさにも
つながっているのかも
しれません。

でも
子どもたちは
柔軟です。

すぐに
その力を
取り戻すことが出来ます。

時には
テレビを消して
静かな環境を
整えてみてはいかがでしょう。

耳を澄ませば、
ほら、
鳥のさえずりや
虫の声
雨だれの音
が聞こえてくることでしょう。

静かな環境の中にいれば
きっと心も落ち着き
穏やかに過ごせるように
なるのではないでしょうか。

それに
そういう静かな場所では
わざわざ
大声を張り上げる必要も
ありませんしね。


子育てをする上で
大切なことは
至ってシンプル。

必要な環境を整え
(親も環境ですね)
あとは、
目の前の子どもと
まっさらな心で向き合う。
ただそれだけ。

それさえ出来れば
子どもは内に秘めた
素晴らしい才能を開花させていく
そんな風に思います。

どうか
どうか
その大切な芽を
摘んでしまわぬように。

そのかけがえのない
たった1つの美しい花の芽を。

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