求む、人工子宮。チョ・ナムジュ「82年生まれ、キム・ジヨン」
先日、友達が「なんでこんな女ってだけで生きづらいんだろう。」って涙を流していて。彼女の思いと併走しようとした結果、私も涙してしまった。女性の生きにくさについては思うところがたくさんあったので、以前話題になった本の感想を書いてみる。
男の生きづらさについては山内マリコさんの「選んだ孤独はよい孤独」にわりとライトに描かれていて、個人的にはセットで読むことをおすすめする。
あらすじ
主人公キム・ジヨン（韓国の一般的な女性の名前）は、生まれる前から「男の子を授かる方が良い」と言われ、幼い頃から弟を支えるよう働かされ、思春期には男性から性的な嫌がらせをされても父親に守ってもらえなかった。就きたい仕事があっても与えられる機会は男性と違い少なかった。
彼女は努力した結果社会に出て働くことができていたが、育児を激務と両立させることが困難で仕事を手放すしかなかった。
育児の合間に娘を連れ公園でコーヒーを飲んでいただけで、見知らぬ男性に「俺も旦那の稼ぎでコーヒー飲んでぶらぶらしたいよなあ・・・母虫（害虫のような母親）も良いご身分だよなあ・・・」と陰口を言われ、限界を迎え精神を壊してしまう。
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男性を目指して女性の生きにくさって解決されんの？
経済成長とともに女性の社会進出が求められ男女平等が叫ばれるようになったことで、「自分も男性と同じように勉強して大学へ行って働きたい」と思っている女性が、就職し結婚し子どもを産み育児と仕事の両立ができず八方塞がりになるというケースは少なくないと思う。
「女性の進学率を上げること」「女性の採用率を上げること」「女性の管理職を増やすこと」が女性の社会進出を促し、「女性が男性と同じ権利を持つこと」が男女平等なのだろうが、「女性が男性と同じように生きること」は身体の構造上難しい。妊娠・出産・母乳育児は女性にしかできない。
「女性が男性と同じように生きたい」と願ったとき、それを解決できるのは人工子宮くらいのぶっ飛んだイノベーションくらいしかないのでは？と感じた。つまりは現状不可能。。。
昔の「男性のための性としての女性」みたいなアンバランスさから今の社会の歪みがあるんだとしたら、そこから抜け出すときに「男性を目指す」はなんとなく癪やし、「男性と同じを目指さない」で生きやすくならんかな？
潰しあうよりも理想を考える
この話には、頼りなくて卑劣な男性がいくらでも登場するし、実際に私自身もこういった男性たちや同じ価値観の同性に傷つけられてきた。（自分自身にもこの価値観が染みついていること！）
そこで「このやろー！！！」と男性を責める気持ちもわかる。というか、めっちゃ男性と喧嘩しながら生きてきた。血の気多すぎ。今となっては、男性にも与えられていない権利がそれなりにあって、得ばっかりではないと学ばなきゃいけないなーと思う。
この本を読むと男性と女性でいがみ合って潰しあうことが解決にならないことがよくわかる。親が共働きで四六時中働かないと子どもの保育料が稼げないことや、働き方の選択肢が少なすぎることなど他の問題が山積みだから。
生きづらい人が声を上げやすい環境を作って、何が問題かを皆で考えていくことでもっと社会を良くしていきたい。「男性のための性としての女性」という価値観が完全に過去のものになるように、次世代にちゃんと性教育をしたい。馬車馬のように働かないと育児と仕事を両立できないなんていうジレンマからも脱却したい。
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まずは知ること。考えを柔軟に変えること。行動を起こすこと。女性の絶望が詰まったこの本を読んで自分に言い聞かせる。
すべての人がより良い一日を送れますように。
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