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エッセイ

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記事一覧

文章の臭いが気になって、書きたいと思えなくなった

書きたいと思えない。書くことが、できない。一時期は「書かないとしんどい」くらい書きたかったのに。 どうして書けなくなったのか。ずばり、文章の臭いに気づいてしまったからである。臭いが気になって、書きたいと思えなくなってしまったのだ。 *** 最近よくYouTubeを見ている。授乳しながら、家事をしながら。特に気に入って見ているのが、ジェーン・スーさんと誰かの対談動画。 パンチのある言葉選びをしながら、人を傷つけるような極端さが抑えられている。頭にほどよい刺激と癒しをくれ

「何食べたい?」に困る私に、母とおはぎが教えてくれた“本物の食欲”

忙しいと、どうしても生活が雑になる。朝から晩まで、おむつ替えに授乳……。新生児育児に必死な私は「何食べたい?」と気遣われても答えられず、善意を面倒に思ってしまう自分にがっかりだ。 *** 先日、おはぎを買った。『となりのトトロ』で見たおはぎが美味しそうで、無性に食べたくなったからだ。でも、人が食べているものに影響されるなんて、どこか“偽り”の気がして、また少し悲しくなった。 ホルモンバランスのせいか、最近やけに悲観的だ。自分の意志で食べ物を選んでいるつもりなのに、どこか

自己犠牲が苦手な私が2児の母に——たった1つの『見返り』を期待して

「ピザ屋さんでぇ〜す!どれにしますか?」 娘が最近ハマっている、ピザ屋さんごっこ。笑顔で「マヨネーズたっぷりのアンパンマンピザ!ポテトとナゲットもつけてくださいね」と答えながら、心の中では「またこれか」とため息。 ひとり時間が好きで自己犠牲の苦手な私は、微笑ましいはずの娘とのやりとりに疲れることがある。嬉しそうな娘を前に「自分の時間がほしい」と願ってしまう、そんな自分が嫌いだ。 そして、自分に否定的な言葉を投げかける負のループへ。 こんな私を親に選んでくれたのに、子ど

【拝啓 夫へ】他の女性を褒めるの、やめませんか?

家族ぐるみで仲良くしている一家。夫とその友人夫婦は、大学時代同じ部活に入っていた。私も同じ大学出身なのと、お互いにカップル歴が長いのとで、仲がいい。 旦那さんもそうだが、奥さん(以下、A)もパワフル。世話好きなタイプで、男児ふたりの母。下の子が病気がちで仕事を休まなければいけないことがストレスで、専業主婦になった。子どもたちを自宅保育しつつFPの資格を取るような努力家。 保活について教えてくれたり、何かと助けてくれたり。とにかく私は、Aに恩がある。そして何より、人として好

「捨てたくないから買いたくない」私は、飽き性な子どもになってみる

子どもは、飽き性だ。子どもだったころを思い返してみると、玩具の箱を開ける瞬間が楽しみのピークだったような気がしてくる。玩具を使う楽しさと欲しいものを手に入れた満足感、あのとき、本当はどちらが勝っていたんだろう。 平成から令和へ。何度も何度もいらないものを捨てた。使うかわからないのに安いから買って、そして捨てた。毎年夏が暑くなって、水道から出てくる水がぬるくなっていったのも、しっかり肌で感じてたのに。学校の総合学習とやらでこのままでは地球が、社会がダメになると何度も習ったのに

その“レス”に、愛はあるんか?

産後クライシス、セックスレス、不倫……。この1年あまり、これらについてずっと考えていた。というより、考えるしかなかった。 考えがまとまっていない状況で人に話を聞いてもらうのはストレスだったので、夫と話し合いながら、ひっそりとひっそりと夫婦関係を修繕……。離婚したい気持ちが縮み、望んで第2子を妊娠した。 今でも私たち夫婦は「途上」だけれど、いったんこれらのテーマについて整理しておきたい気持ちになったので、今日は私たちのセックスレスについてたっぷり書いてみる。この手の話が苦手

「都合の良い親」でいようかな

「都合の良い女」にはなりたくない。 でも「都合の良い親」には、なってもいいかもしれない。 *** 先日、保育園の帰り。後部座席の娘(2歳)から「ママもパパも嫌い」「おうち帰らない」と言われた。毎日のように「ママ(パパ)だいしゅき」と言ってくれる娘が、突然こんなことを言ったのだ。 正直、動揺した。嫌いという言葉が耳殻をざらざらと撫でつけてきた。人に嫌われてると感じることはある。でも、嫌いと直接言われるのは珍しい。慣れない言葉を、しかも最愛の娘から受け取るべきかどうか、耳が

サレ妻だけど、今日も元気に夫を愛している

私の強みは、強いことらしい。就職活動の参考にしたくて、後に夫となる彼に私の強みを聞いたら、3つ目あたりに「強い」と濃く書かれた。 ライオンを倒す術は持っていないし、人混みで誰かにぶつかると滑稽なまでによろけてしまう私だが、どんな問題にぶつかっても立ち直りがものすごく早い。ということらしい。 そんなこんなで「あなたを守りたい」「あなたを幸せにする」などと言われることなく、彼と永遠の愛を誓った。ヘタにベタな言葉を言われるよりも、「私は私で幸せをつかんでいく」結婚生活は、予感と