ロンドン茶会の経験から学んだ、みんなで楽しくやり遂げるコツ
こんにちは!SmartHRでブランドマネジメントをしているkuboです。
2024年9月に入社して早々の10月下旬に1週間ほど休暇をいただき、イギリスのロンドンで文化活動をしてきました。
入って数ヶ月は試用期間なんじゃないの?と思いますよね。たしかに大事な試用期間に違いないのですが、SmartHRでは入社日に15日の年次有給休暇が付与されるんです。
入社面接で「1ヶ月後に長期で休みたい予定がある」と相談したところ、快くOKをいただき、この制度を存分に活用させていただきました。
体験記
さて、どのような活動をしたかと言いますと「お茶会」です。ティーパーティーでも茶会事件でもなく、抹茶を飲むやつです。呈茶と茶道の七事式に組み込まれている聞香のワークショップを通じて、日本文化をロンドンの皆さんに体験してもらおう!というわけです。
今回はその経験から学んだ、共創と楽しさを生むための2つのコツをご紹介します!
背景
日本チームは11名。現地へ行く8名は全員海外茶会は初めてです。3か月前に茶道を始めた人、アメリカから参加する人、20歳の大学生から80歳のベテラン先生、現地の主催者が一緒になり数カ月かけてひとつの茶会を作っていきます。
当日まで全員が顔を合わせることはありませんので、事前の意思疎通や綿密な確認が不可欠でした。
コツ①共に得た成果から見える潜在的なテーマを意識する
火が使えない問題
まず問題となったのが、屋内で火を使えないことでした。炭を熾せなければ、香を焚くことができません。会場では炭に火を点ける許可が得られなかったため、現地の確認結果としては「火は近所の公園で」とのことでした。
穏やかな街角で着物の外国人が何かを燃やそうとしていたら、異常なことこの上ありません。通報されYouTubeやニュースになった姿を想像したら急に可笑しく、盛り上がってしまいました。そのとき、誰かがひらめきました。
「これって、バーベキューの炭を想像しているのでは?」
香炉に仕込む香炭団は、水で膨らむ圧縮タオルくらいのとても小さなものです。炭の大きさを伝えたところ、すぐに解決しました。
暗黙のテーマは言葉になって表れる
「火が使えない問題」は、ご想像のとおり、交換する情報の少なさからくる認識のズレを埋めればすぐに解決できますね。ですが相手との間のギャップに気づかなければ「公園で小さい炭に」やっていたかもしれません。
最初の問題解決から共に得た成果を機に、お稽古では「楽しむ」という言葉が増えました。困難な状況の珍妙さを面白がることで新しい発想を呼び込むことを皆で経験したからこそ、予期せぬトラブルが起きても乗り越える覚悟ができたのです。
テーマを進展させる
暗黙のテーマ「楽しむ」には、3つの意味があったと思います。
ゲストに喜んでほしい
いい思い出にしたい
準備過程のワクワク感
ゲストにはインセンスの研究者、ロンドン在住の日本人の方もいらっしゃいました。いずれも好奇心旺盛で関心の高い方々です。
ゲストの五感と好奇心を満たすためにしたこと
👃✋️お香:香木は、一番長く香りが立つ「沈香」を選びました。時間の経過とともに香りの変化を楽しみながら何度も嗅覚を働かせてもらう狙いです。
香炉を手にとってもらうことで灰の暖かさも直に感じてもらえたと思います。
👂️プレゼンテーション:茶道では釜から蒸気が吹き出る音を松風と呼ぶなど、聴くことを大切にします。作法の実演では、「Kou」や「Genji-ko」など日本語特有の音韻が耳に残るよう、いくつかの名称は訳さずに説明しました。覚えて帰ってもらえていたら嬉しいです。
👁️お菓子・着物:正式なお茶会では無地の着物がお決まりですが、振り袖や小紋で華やかにしました。視覚が喜ぶ直感的な和の演出です。
秋のお菓子の定番「吹き寄せ」は箕籠(ちり取り)に盛って提供し、ダストパンをお皿にする理由など、お菓子をきっかけに会話が広がりました。
👅抹茶:茶道ではお菓子を先に食べ、後からお茶を出します。口の中が甘さでいっぱいになると、どうしてもお茶が欲しくなります。そこに絶妙なタイミングで熱いお茶が運ばれてくるのです。
素晴らしいことに、最も遠い目標である「1. ゲストに喜んでほしい」に向かうことで、他の2つも自然と達成されていきました。
コツ②直感が生まれた背景に注目する
クリスマスのにおい
ゲストの中に5歳くらいの女の子がいて、香の感想を尋ねると「クリスマスのにおい!」でした。たしかにお香って仏壇っぽい。でもクリス...マス...!?
少し考えてピン!ときました。
サンプルの香袋に桂皮が入っていたのです。桂皮は別名シナモン。シナモンといったらクリスマスの伝統菓子ジンジャーブレッド(人形ビスケット)。おそらく桂皮をクリスマスの香りと言っているのです。
新しい発想は死角からやってくる
あの子にとって桂皮はクリスマスの香り。クリスマスの温かい記憶を共有できたような、嬉しい気持ちになりました。
もし別の機会にクリスマス茶会を開くことがあれば、シナモンを使ったお菓子や香りのしつらえを取り入れると、きっと特別な雰囲気になるでしょう。
予期しない方向から新しい発想を吹き込まれるのは心地よいものですね。
香りと記憶の結びつきの強さもあらためて実感しました。
経験から得た一歩
合理性を追求していく過程で、インスピレーションが無意識に見落とされてしまうことは珍しくないように思います。
しかし、いいなと思った直感の背景には原因と結果の繋がりがあるのも事実です。
「クリスマスのにおい」は、複数の価値観や視点を融合させて新しいアプローチを生み出すことを教えてくれました。これからの取り組みにも大いに役立つと感じています。
茶道の心得を表す言葉のひとつに『和敬清寂』があります。これは、互いに心を開き、敬い合い、清らかで動じない心を持つことを意味しています。
💘
体験記は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は、共創と楽しさを生むためのコツをご紹介しました。どちらの方法でも、または両方を取り入れてみても良いかもしれません。
ぜひ、自分に合った方法を試してみてくださいね。
ではまた 👋
これは、SmartHR コミュニケーションデザイン Advent Calendar 2024の12/6(金)の記事です。ぜひこちらも読んでみてください!