無題

問題解決はオープンに、利益の源泉はクローズに。 商売としてやるなら、戦略が必要です。

皆さん、こんにちは。久保家です。

久保家のリビングにはホワイトボードがありまして、毎朝、そこに夫が考えたことを描いて、朝ごはんを食べながら夫婦でディスカッションをしているのですが、その内容をコンテンツとしてまとめてみようというのが、今回の試みです。

昨日は、大阪北部を震源地とした地震があり大変でしたね。皆さんは、大丈夫だったでしょうか。夫はいつもどおりに出社したのですけど、エレベータが止まっておりまして、9階まで歩いて登る羽目になりました。汗をかきながらひいこら登って、ドアを開けたら、誰もいない(笑)
これが、働き方改革の成果です(笑)

お昼休みに、お弁当屋のおばちゃんが550円の弁当を、500円にまけてくれました。「階段登るの大変やろ。今日は、お弁当の種類も少ないから、500円でええよ。」日本人に生まれて良かったと思いました(笑)米国では、ハリケーンの災害時に、便乗値上げをして大もうけを企んだ商人達が、社会問題になりました。経済合理性を追求すると、人間として大切な何かを失ってしまうようです。

昔は、テレビやラジオで地震情報を得るしか方法がありませんでした。電話で安否を確認しようにも、回線が混雑していて電話がつながらず、とても心配になりました。いまはインターネットが発達して、ソーシャルネットワークが広がることで、安否確認が容易になりました。普段は空気のようになっているテクノロジーを意識するのは、いざというときなのかもしれませんね。

本日は、そんなインターネットの「オープン性」について、お話をしたいと思います。

何かを考えるときに、それとは異なる何かを持ち出して、比較してみるのは科学的思考の基本です。1つでは現象ですが、2つになるとデータになります。対立や矛盾、そして差異が出てきます。数学の時間に、素数が2から始まると習ったのは、データから考えよという教えなのだと思います。

ここでは、オープンの反対であるクローズを持ち出して、対立の構造を取り、成果と戦略の観点から、考察をしてみたいと思います。

まず、インターネットの「オープン性」について考えていきたいと思います。インターネットが生まれる前に、世の中に存在していたネットワークは「電話交換網」です。電話といえば、NTT(東or西日本電信電話株式会社)ですね。

夫はNTTの関連会社に出向して、働いていたことがあるのですが、電話交換機という機械は、とても高価なのですね。笑い話ではないですが、「(電話交換機の機械に)1億円を投資して、10円玉をかき集める」のが、うちのビジネスの本質なのだと教えてもらいました。作家業も、そのスタイルで商売したいと考えております(笑)

この高価な電話交換機は、クロスバースイッチと呼ばれる精巧な仕組みで作られており、絶対に通信が止まらないシステムとして有名でした。まさに、門外不出(クローズ)のテクノロジー、匠の技術、技術立国日本の結晶。実際は、よく壊れました(笑)メンテナンス費に、多額のお金がかかったのです。

そんな中、米国で仕様をオープンにしたインターネットが生まれました。今では、すっかり巨人に成長しましたが、当時、ベンチャー企業であったシスコシステムズ社がマルチプロトコルルータという機械をもって日本にやってきました。1989年1月、ネットワンシステムズという会社が、国内独占販売を開始しました。

歴史的に見れば、黒船の再来と言えそうですが、当時は、西海岸のヤンキーが、変な機械もって来たくらいにしか見られていなかったそうです。一億円くらいする機械なのに、届いた箱を開けたら、機械と一緒にコカ・コーラの飲み終わった缶が入っていた(笑)

怒って電話したら、「西海岸は暑いんだよ。」と言い訳する始末(笑)「こんな連中と、まとな取引ができるか!」となったけど、将来性がありそうなので、品質は日本で担保することなったそうです。いまでも、大手のベンダーに品質管理センターがあって、外資系メーカーの機械を綿密にチェックするプロセスがあるのは、そのような経緯があったからなんですね。

最初は、よく壊れる機械だったけど、仕様がオープンになっているので、壊れる原因がわかる。しかも、経路上のどこの機械で故障しているかが、第三者にもわかるわけです。電話交換機のときは、技術仕様がブラックボックスだったので、NTTに聞くしかできなかったけど、ルータになったらお客さんが先にトラブルに気づくような例が出てきた。オープンにすることで、問題解決がしやすくなったのです。これが、インターネットのオープン性の効果です。

一方、世の中には、クローズが当然になっている場合もあります。例えば、企業の機密情報です。競争優位の源泉となる機密情報が、オープンになってしまうと、新規参入者が増えて、利益が減ってしまいます。参入障壁が崩れるためです。

経済的な面から見ると、利益の源泉に関わる部分は、クローズにするのが定石です。価値があるとは、希少であるということです。逆に言えば、大量にあるものは、値段が下がる。

インターネットの本質はデジタル情報ですが、デジタルになるとコピーが容易になるので、ますます値段が下がる、と考えてはいけません。デジタルになったら「無料(FREE)」になるのです。ゼロに何を掛けてもゼロ。インターネットが貧乏神と言われる所以です。

最近は、創発的に価値を生みだすプロセスが増えてきたので、なんでもオープンにしたら良い、と勘違いしないようにしましょう。オープンとクローズは、良し悪しの基準ではないのです。

心理学な面から見ても、「秘すれば花なり」といえる要素があります。人間の脳は、見えないものを良い方向に「補完」する傾向があります。例えば、知らないラジオDJの声を聞くと、イケメンを想像してしまうでしょう。実際に会ったら、ハゲのオッサンだった(笑)と、そのことを持ちネタにしているDJもいらっしゃいますね。人間は、本質的において、宗教的な生き物ですから、自らの願望や欲望を投影してしまう性質があるのです。

要するに、商売としてやるなら、何が成果になるのかを目的合理性に考え、その目的を実現するために、戦略を立てる必要があるということです。

以上が、朝の勉強会の夫の意見でした。皆さん(妻)は、どう思われますか?

○おすすめ本
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