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祈りのシンクロは、海を越えて。(導かれた旅の道) その7

 旅行で日本から来ていること、洗礼は受けていないけれど、子供がキリスト教の小学校に通っているので、礼拝にはほぼ毎週出ていることなど、私についての基本的なことを伝えた。
 クラスを仕切っているのは、60歳くらいの女性。名前はロレッタと言った。
 次々にメンバーが到着する。全員女性。70~80代だった。
 東洋人の私を見ても、別段驚くふうでもなく、
「ああ、今日参加するのね」
 と軽い感じで挨拶を交わす。
 ロレッタは、新しく人が来る度に、
「この女性は稀沙と言って日本から旅行で来てるの・・・」
 と紹介してくれた。


 それを聞くと嬉しそうに、
「よく来たわね」
 と言うように、改めて笑いかけてくれる人がほとんどだった。
 結果、8人位集まっただろうか。ロレッタがいつも来る人たちを把握しているようで、もうこれ以上は来ないだろうと判断した時点でクラスが始まった。
 イギリスだな~としみじみ感じたのは、まずお茶の用意。一つ一つのマグカップにぽん、とティーバッグ(紐なし)を入れ、ミルクを注ぐ。
 カジュアルな雰囲気の時は、茶葉を使ってティーポットでいれたりはしないことを知っていたので、その件に関しては驚かなかった。びっくりしたのは、お茶ではなくて、お菓子の方。日本のお茶請けと同じ役割をするちょっとしたスィーツは、ビスケットだった。
 私は、ロレッタの動きをずっと観察していた。大きな缶に開封済みのお徳用ビスケットが入っている。見るからにそのパッケージは、大好きな「マークス&スペンサー」の商品だった。
 

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