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祈りのシンクロは、海を越えて。(導かれた旅の道) その9
「そうそう」
突如一人の女性が、
「こんな記事を見つけたの」
と新聞をバサバサと広げた。
見るからにタブロイド版。ゴシップ系が得意そうな紙面だった。
「ユダの手紙発見!」
というようなセンセーショナルな見出し。それも一面トップで。イエス・キリストを裏切ったユダの手紙。
そしてそれが一面トップに出てしまう新聞。
他の女性たちは大して驚いた様子もなく、
「そんなの眉唾ものでしょ」
というように、あまり反応しなかった。
やはりタブロイド版ゆえなのか、と思ったけれど、そこで少し脱線したお陰で、私も思考の小休止が取れて良かった。
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さて。
それは、後世に残る有名なチャーチルのあの演説だったかどうか、そのあたりの記憶は曖昧。参考資料も配られなかったので。まったく自信がない。
けれどもロレッタが祈りについて強調していたので、他のスピーチの可能性もある。
「あの時私たちは、色々な国と戦ったわよね。そう、日本とも・・・」
というようなことを言ってきた。
まずい・・・。
私は、どうしたら良いのか。私一人日本人。謝るべきか否かほんの一瞬迷ったけれど、ここで心もこめずに頭を下げてもまったく意味がないと思い、黙っていた。
そのうちに、
「でも、平和が一番大事。私たちは皆兄弟姉妹なのだから・・・」
こんなことを言われて、かえって面食らう私だった。
クリスチャンとなった今であれば、日常的にこのような表現を使う人が周囲に何人もいるのであまり違和感も抱かないけれど、この時は何の疑いもなく「兄弟姉妹」と言われ、内心どぎまぎもしていた。
さらに。
「だから今日ここに稀沙がいるの。そういうこと」
ロレッタは、言った。涙目になっていた。
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