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それぞれのジーザス(私には私のイエス様)その9

 ある年には牧師が報告し、
「やっぱり門前払いを食うのは辛いですねぇ」
 と言ったのだ。
 やっぱり・
 それが普通の反応だろう。
 このご時世、突然玄関のチャイムを鳴らしたら、拒絶するのがまともな反応だと思う。

 さらに数年すぎて、もっとすごい事実が判明する。
 長男の翼のママ友が洗礼を受けたことでわかったのだけれど。時期としては、息子たちが卒業して3年ほど経った頃のことだ。私はまだ次男の湊が在学していたので、相変わらず毎週礼拝に出席していた。
 彼女は家も小学校の近所だったし、翼の同級生の娘さんは系列の中学に進学したので、たまに礼拝には来ていた。
 ある日何か思うところがあったのだろう、突然洗礼を受けた。


 それで。
 最初の年度に福祉週間の献金グループに配属された。
 私はずっと通っていたので、その状況はよくわかっていたけれど、彼女は中に入ってから実情を知ったようだ。ミーティングで、彼女とその他の数人が、
「知らない人の家にいきなり言って献金してもらうのは、ちょっと・・・」
 と控え目なクレームを言ったらしい。
 その時。
 リーダーの男性が、
「誰だって嫌なんだよ! 僕だって嫌だ! でも、やらなくちゃぁしょうがないじゃないか!!」
 と怒鳴ったと言う。

 だったら。
 止めたら?
 誰も幸せにならない。ここで、人の嫌がることをしてでも困った人を助けるのが、イエス様から望まれていること、というような講釈をたれられても鼻白んでしまうけれど、それでも自分の不満をこんなふうに爆発させるよりは、なんぼかましだと思う。
 リーダーも初心者のようで、訪問する度に心が折れているのかもしれない。

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