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現代麻雀はイカれてる! - 国際比較を通して日本麻雀の特徴を考えてみる -
世界の麻雀
麻雀、それは中国より渡来してきたボードゲームである。このゲームは、日本では北海道から沖縄まで、世界ではアメリカから東南アジアからヨーロッパから南アフリカまで遊ばれている。
前述の通り世界各地で遊ばれているということは、その数だけ現地のルールが存在する。中国は、地域1つ跨げば別のルールが遊ばれていたような土地だ。そんな中、国家体育総局(中国版スポーツ庁)は、各地のルールを集めて無理やりガッチャンコして国際公式ルールを制定した。これはのちに麻将競賽規則(麻雀競技規則)へ発展している。
実際のところ、このルールは全く持って遊びやすいものではない。中国麻雀のルールは、中国国内の麻雀オタク向けのルールであり、非常に複雑な役が存在する。80を超える役を覚えることは至難であり、それゆえに中国国内でも中国麻雀人口は伸び悩んでいる。
中国麻雀はヨーロッパでこそプレイヤー人口が増加している。ヨーロッパ麻雀シーンはデンマークとフランスが先導しているが、その双方の麻雀管轄団体が、中国麻雀を採用している。
それに対して面白いことに、ヨーロッパの民衆の麻雀には、古い時代に輸入されたクラシックルールが根付いている。サイド計算が採用されて、上がらなかった者同士で点数計算を行うのだ。日本麻雀も、戦前はサイド計算がなされていたらしいが、現在ではご存知のように消滅している。
アフリカの南端まで行ってみると、南アフリカは古い香港の麻雀形式を残している。これは当時大英帝国領だった香港からの移民が持ち込み、定着させたと考えられる。
大西洋を挟んでみよう。アメリカは麻雀先進国のひとつだ。アメリカでは、通常麻雀を遊ぶ際に、麻雀牌以外にいくつか用意するものがある。4つのルールブックと麻雀牌を置く手元のラックだ。このラックは、Nintendo Switchで発売されたゲームでもある「世界のアソビ大全51」に採用された「ドミノ」というゲームで使われるものを流用したものだ。これは日本でも手に入る。また、ルールブックは毎年更新されるため、逐一追いかける必要がある。
アジアに戻って、東南アジアに目を向けると、大量の花牌やジョーカー牌が残っている。東南アジアではしばしばあることだが、華僑が持ち込んだものがそのまま古い形のまま定着することがよくあり、ベトナムやマレーシアの麻雀もこの例に漏れない。特殊な牌が整理されずに現在まで残っているのだ。
台湾麻雀は手牌が17枚であることは有名だが、それ以外はあまり知られていない。立直がローカル役として存在していたり、振聴に相当する「過水」というルールが存在する。総じて非常に複雑だ。
それに対してハルピンの麻雀はそうではない。立直の前に1度鳴いていなければならず、また手牌には幺中牌を必ず含まなければならない。筆者の母方の祖父母は中国でも北朝鮮国境の街出身だが、全く同じ麻雀をしている。そういえば幼少期に近い麻雀をした覚えがあるが、なにぶんかなり幼かった頃なので、あまり覚えていることはない。しかし1回あたりのゲームペースがかなり早かった気はする。
筆者が今世界中にある麻雀で最も好んでいるものは、四川血戦麻雀である。この麻雀の最大の特徴は4人中3人上がれることだ。点数が右から左へ、前からこちらへと飛び交うゲームであり、非常に派手である。このルールは1990年代に入ってから中国で誕生した。雀魂の特殊ルールである赤血の戦ルールの原型でもある。このルールはその名の通り、四川省生まれだが、圧倒的なわかりやすさとゲーム性により中国全土へ広がった。今では、都市部の雀荘ではこのルール専用の自動卓が導入されることもあるくらいだ。中国以外では、ロシアでよく遊ばれ、次点でフランスで加熱しつつある。
ここまでさまざまな麻雀を紹介してきた。では、結局のところ、世界的に人口が多い麻雀はなんだろうか。そう問われれば、自ずと次の2択になる。
麻雀競技規則(中国麻雀)と立直麻雀(日本麻雀)だ。
日本麻雀
運ゲー印のステーキに全能感ブランドのスパイスを
ここまで紹介したルールのほとんどは、攻撃が重視されることが多い。特に中国麻雀はその向きが強く、スピードよりも出上がりを見逃し、ツモ上がりする方が偉いゲームデザインになっている。
対して日本麻雀は守りのゲーム性が最大の特徴だ。他プレイヤーに上がらせないために、手牌が悟られない打ち方をする。それにもかかわらず、中国人に言わせれば、日本麻雀は運ゲーだというのだ。それは、勝てる勝てないといった話ではなく、数多くの偶然役と、なによりもドラによって結論づけられている。これらの要素と組み合わさった立直は、日本麻雀が守備偏重になった責任を取らなければならない。
本記事の上部でハルピン麻雀の立直を紹介した。しかしここで紹介しなかった要素がある。それは役である。
ハルピン麻雀には、点やら役やらの概念がなく、誰かが上がったらみんな一定の金額を上がり者に払うのだ。しかし、日本麻雀はそうではない。立直と他の役は当然複合する。しかも後年生まれた概念にはなるが、ドラおよび裏ドラも存在する。1局における点数移動が、ハルピン麻雀の比ではないのである。
ハルピン麻雀の感覚では、全員上がり者に1000円払うだけで良かったのかもしれないが、このルールではそうもいかない。跳満が連続で出てしまえば、1ヶ月分の食費を失うことにだってなりかねないのだ。そんな点数払いたがる人間はこの世にはいない。そのため、高い点数を上られるぐらいならば、自分がさっさと上がることを目指しつつ、他人に上られないよう気をつけるほかない。
冒頭に、中国人は立直麻雀を運ゲーだと感じていると述べた。しかし運ゲーだけで良いならば、誰もが麻雀ではなくチンチロを遊んでいる。麻雀にあってチンチロにないもの、それは「自分はこの局面をコントロールできる」と全ての雀士にもたらされる全能感である。
麻雀で遊んでいる際に、少なくない雀士は頭を使ったゲームをやっているのだという自負を負っている。つまり自分ならばこの局面で振り込まないだろうという「コントロール可能なスリル」を楽しんでいる。自分ならばこの問題がないという全能感が、この局面でも自分ならば勝てるという万能感が、立直麻雀には存在する。
日本人が立直麻雀に惹かれる理由はおそらくここだろう。この全能感が麻雀を面白いゲームと感じさせている。しかし当然、勝てなくなれば嫌になるプレイヤーも
日本人が日本麻雀に惹かれる理由は正しい。実際、日本麻雀は決してつまらないゲームではない。つまらないゲームならば、筆者も大学生時代にハマってから半年以上遊ばないのだ。
ここまで麻雀を扱ってきたが、本記事のタイトルを思い出していただきたい。本記事では、ここから麻雀のルールをこき下ろす。日本麻雀があれこれ言われていることが気に食わない「日本麻雀ナショナリスト」に対して、私はこのページを閉じることを推奨する。
日本麻雀の問題点
大前提として、筆者は麻雀の脱ギャンブル化を目指している。
現代の日本麻雀は、3つの視点から語られる。ギャンブル、ゲーム、スポーツだ。
日本麻雀はボードゲームとして重たい欠陥がいくつかある。
・現代ボードゲームとしてインストが非常に難しい
・多様な戦略が許されるゲームに見えて、その実強い戦略は固定されている(デジタル麻雀)
・麻雀はゲームとギャンブルの両方の性質を持たされた
・下位は自分が上がることよりも、手を組んで上位を引き摺り下ろすことのほうが面白い
・ウマとオカにより、トップとラスを交互に取るような戦略はなおさらよくない
・初心者がやりたくなることと上がることが全く結びついていない
・慣れた人がガイドしすぎる(ここはRPGのなんでも支援おじさん)
・役がマジでわかりそうもない
・専門用語が多すぎる
・「リーチ」はもはや一般的に使われる「勝利まであと一歩」を表す言葉にもかかわらず、麻雀はその意味で使っていない
・麻雀の魅力の一つは役にもかかわらず、強く慣ればなるほどスピードと守備偏重になる→魅力と強い戦略が一致していない
・守備の面白さは玄人プレイヤーのみの面白さであり、観戦者にも初級者プレイヤーにもわからない
・サッカーやバスケは点が入ったところが盛り上がりどころ、というわかりやすさがあるにもかかわらず、「麻雀は守備の芸が」とか言い出しても、スノッブの知識自慢と本質的に同じ
・早く上がった人だけが勝ちというルール性は、「途中まで手作りができたのに中途半端に終わった」という感想を生む→フラストレーションを溜め込む原因になる。「何回引いたら終わり」などのラウンド制のボードゲームにゲーム性で劣っている
ゲームとスポーツとギャンブルの3者の要素を無理やり持たされているもの、それが麻雀
改正案: 手配を配牌の次点で14枚、引いて15枚捨てて14枚。「不要なものを捨てて完成」の方が直感的だ。
配牌運とツモ運も、全ての山を引き切る方が標準化できる
不確定かつ不完全情報なゲーム
立直
守りを強くしている麻雀の要素はは3つ、立直・ドラ・捨て牌だ。その中でも、日本麻雀を特徴づけているのは「立直」にある。これは別名である「立直麻雀」からも察せられる。
ご存知の通り、立直はプレイヤーがあと一歩で和了り形になっている状態を宣言する行為で、そのメリットはいくつかある。
・立直事態が1翻役であるため役がつく
・裏ドラによる点数の期待値が上昇する
・他プレイヤーのオリを狙える
これだけのメリットがあり、しばしば立直は日本麻雀最強の役とされる。しかしこれでは強すぎる。どこでバランスをとっている(ように見せかけている)のかといえば、以下のようなデメリットだ。
・牌を交換せずに和了を目指さなければならない
・上がり牌を見逃した場合振聴扱いになる
・もし自分以上に強い手が勝負に乗っかってきてもオリることができない
完全にノーデメリットではない。引いてきた牌が他のプレイヤーの和了り牌だとしても、捨てる牌を変えることができないために、高いリスクと高い報酬をもたらす…とされるものが、立直という役だ。
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日本麻雀は、役がなければ上がれないルールが一般的(1翻縛り)。どのような手牌でも立直を宣言すれば上がれるようになる。しかしこの役は宣言できない状況もある。立直を宣言するには、聴牌の時点で面前清である必要だ。
つまり、ポン・チー・明カンといった、他プレイヤーから牌を奪う、いわゆる「鳴き」を行うと、立直ができなくなる。
ここからが問いである。では、この立直は、本当に高リスクなのだろうか。よく日本麻雀を遊ばれている、賢い読者でしたらお気づきだろうが、この立直宣言はいうほど高リスクではない。
現代日本麻雀において、立直が行われた際はオりて放銃するリスクを下げことが最も賢いとされる。ここで勝負に乗るには、十分高打点を目指せる手牌にできそうな一向聴以上の手である必要がある、としばしば言われる。
つまり、立直をした時点で他のほとんどのプレイヤーは降りるのだ。あとはひたすら回避をするだけのゲームになりがちなのだ。
そしてもうひとつ冷静に考えてみてほしい。放銃するロスと、高打点の手で上がるプロフィットは本当に比較可能なリスクだろうか?
放銃リスクと上がりによって得られるプロフィットは、予想不可能性やリスクの性質が全く異なる。立直のリスクは「自分が上がれない可能性」ですが、それは直接自分が放銃する可能性とイコールで結びつけられません。同時に、放銃リスクは打牌によって決まる。
立直は、全く別の要素を無理やりくっつけることで成り立っている。筆者は、これを非常に歪なシステムだと認識する。
その上で、このゲームは根本的に押し引きの判断が歪であると考えている。
この歪さは押し引きの判断に現れると考えている。
この状況を生み出すのは立直だけではない。その先にある「ドラ」及び「裏ドラ」にも責任がある。
ドラ・裏ドラ
ドラとは、一言で言えば、持っていると点数があがるボーナス牌のことである。かつては懸賞牌などと呼ばれたが、アメリカ麻雀における三元牌の呼称 "Dragons" が輸入され、ドラと呼ばれるようになった。なぜこの混同が行われたのかは非常に理解に苦しむ。このドラは、近いものが哈爾濱麻雀(旧満州で遊ばれる麻雀)にも存在し、宝牌と呼称されている。
日本麻雀において、このボーナス牌はどのように定まるのだろうか。
まず、日本麻雀136枚の牌を使用する。積まれた牌を時計回りに取って行った時に、その最後に残る7列2段の14枚、ここを王牌とよび、原則として手牌には持ってくることができない。
ドラと呼ばれるものは、このうちの1枚を表向きにすることで定まる。表向きにした牌の、同種の次番号の牌がドラである。この表向きにした牌をドラ表示牌と呼ぶ。
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このドラは、誰かが「カン」を宣言することで増加する。4枚同じ牌を集めることで、ドラ表示牌が増えるのだ。
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かつてはめくれた牌と同じ牌が、ボーナスを得られる牌だったが、インフレに伴い同じ牌から次の牌となった経緯があるらしい。そして、さらなるインフレとして増えたもの、それが裏ドラだ。
このドラの増加は、原則7枚2段のうち、上の段にしか関係しない。これを覆したものが裏ドラだ。立直を行ったプレイヤーは、下の段もドラ表示牌として扱える。つまり、立直を行ったプレイヤーだけドラの期待値が2倍になるのだ。これが、立直が最強の役と言われる所以の小さくない部分を構成している。
役とドラ
このイカれたドラシステムは、手役の価値を押し下げ、守りを優先するゲーム性に繋がった。同種の牌を1から9まで揃えることよりも、ドラを持つことの方が優先度が高くなるのだ。はっきり言って理解ができないし、これが中国人から「日本麻雀は運ゲーである」と言われる所以であるし、フランス大使館で大会が1度開かれるも2回目は音沙汰がない理由だ。
その上で、筆者は立直とドラでは、立直に大いなる問題があると考えている。現実に、ドラはゲームの興奮を高めているし、これは大きなドラマを生む。しかし立直はそういう意味ではネガティブだ。プレイヤーの態度を硬化させ、逃げと守りを進めてしまっている。
初心者に厳しすぎるルール
こういったプレイング上の問題以上に大きな問題がある。それは、あまりにもルールが多く、暗記する必要があるものが多すぎる上に、初心者はそもそも上がれないことも多いということだ。
「鳴き」は強そうなのにものすごく弱い
「鳴き」、つまり他のプレイヤーが捨てた牌を使って手を作る行為は、初心者にとって、最もわかりやすく興奮できるポイントである。しかしこれは大抵上がりに繋がらない。
多くの麻雀プレイヤーならばご存知の通り、鳴きは戦略的な一手だ。鳴いた結果手が公開されるとか、それによって他のプレイヤーに手を読まれやすくなるとか以上に、役に関する縛りが非常に広範だ。
一飜縛りと相性が悪すぎるこの調整が、初心者プレイヤーが和了を目指す上で大きな障壁となっている。
多すぎる暗記事項
振聴が、自分が捨てた牌では上がれないルールならどれほど良かったか。捨てた牌が含まれる待ちでは上がれない、というのは、あまりにも非直感的だ。それを理解するためにどれだけのプレイが必要なのか。
その上で、和了形を完成させるための役を揃える必要があり、それぞれの役の条件を理解し、暗記する必要があることが、とても面倒である。
また、日本麻雀には多くの暗黙のルールや習慣が存在する。これらを全て覚えることは初心者にとって一層の負担だ。例えば、ある特定の状況での牌の扱い方や、特定の役を狙う際の一般的な戦略など、経験を積むことでしか学べない知識が多すぎるのだ。
なぜ初心者に厳しいルールで、それでも広まっているのか
日本麻雀はもともと賭博としての側面が強く、複雑なルールを持って戦略的深みと興奮を提供することが求められてきた。雀荘に入るクレームによって複雑に制限が膨れ上がり、雀荘同士の差別化のために独自ルールが入り込んだ。
それでも現在日本麻雀が広まっているのは、主に雀魂とMリーグの功績である。また、各種媒体を通してマインドスポーツとして広まりつつある。これが多くの人々を引き付けている。これは喜ばしいことに見えるかもしれないが、ゲームの間口を広げているだけであって、日本麻雀そのものが持っている解決にはなっていない。
何度でも書くが、最も深刻な問題は、初心者が「ルールを覚えられない」「複雑なルールが理解できない」という理由でゲームを断念するケースが少なくないことだ。雀魂があってなお、こういったことが起こっている。これは、麻雀がボードゲームとしてのアクセシビリティを欠いていることを示している。楽しむ前にゲームを放棄する人が多いというのは、麻雀の普及にとって大きな損失である。
仮に今まで日本麻雀が存在しなかったとする。現代に麻雀が誰かに発明され、ゲームマーケット(ボードゲーム版コミックマーケット)に出品されたとして、これが全国的に広まるビジョンが描けるだろうか。描けなさそうと思った読者は、きっと筆者と同様の問題感を抱えていると思う。
総じて、日本麻雀はその独特のルールと戦略により、深い思考と計画を必要とするゲームである。しかし、その複雑さが新規プレイヤーの参入障壁となっている。この障壁を取り除いた、アクセスしやすいルールの導入が考慮されねばならないのだ。
ここまでが、筆者の問題意識である。
仮称: 鳴き立直麻雀
初心者に優しいルールへの提案
初心者が入りやすくし、日本麻雀らしさは残しつつ、賭け事由来の煩雑さを排除するための新しいルールを考えてみたい。以下にその提案を示す。
基本的な設計思想
「麻雀らしい」偶然性と頭脳戦を楽しむゲームとして、初心者が入りやすく、しかし戦略的な深さは保持することを目指す。複雑な計算や覚えるべきルールを簡素化し、すべてのプレイヤーが楽しめるようにする。
主たる特徴
槓の強化: 槓を行った際の利益を増やし、攻撃的なプレイを奨励する。
カンドラの選択性: プレイヤーが自分の捨て牌からカンドラを選べるようにし、戦略的な選択肢を増やす。
聴牌宣言の必須化: 鳴きがあっても立直ができるようにし、よりダイナミックなゲーム展開を可能にする。
点数計算の簡素化: より理解しやすい点数計算方法を採用し、初心者でも迅速にゲームに参加できるようにする。
以下に、より詳細なルールを記す。
点数計算
対局中に参照する場合は、このページをご参照あれ。点数フローチャートを採用しているため、初心者でも簡単にできる採点フローチャートが存在する。使用実績も5回ほど。
本ルールは、基本点×役点という計算方式を採用する。基本点は以下のように算出する。
底点 +400点
全プレイヤーで最初に上がる +200点
自分のカン1つにつき +200点
自分のドラ1つにつき +200点
自分のポンおよびチー1つにつき -200点
他家の聴牌1人につき +200点
ここに役点(翻)を乗算して、1人が払う点数が導き出される。なお、0役点の場合は×0.5とする。
ツモ上がりの場合は、すべてのプレイヤーが上がり者に計算の点数を支払うが、ロン上がりの場合は、放銃者がそれを1人で負うものとする。この計算は、算数ができない高卒の声優志望の妹でも理解できた。間違いなく、初心者でも容易に計算できるだろう。
試合進行
前提として、場風という概念は存在しないことをご承知願いたい。4ラウンド(局)1ゲーム(荘)を基本とする。ゲームの準備は以下のように進む。
スタートプレイヤーを決定する
風牌(東西南北の牌)を4種類1枚ずつ混ぜる。
混ぜた人以外が1枚取り、混ぜた人は残り1枚を受け取る。
全員がこれを公開し、手元に置く。
東を持っているプレイヤーがこのゲーム最初のスタートプレイヤーである。東を手に入れたプレイヤーから南西北を渡し直す。
壁を構築する
先ほど受け取った風牌を脇に置く。
萬子・筒子・索子・残りの風牌・花牌を全て裏向きにして混ぜる。
十分に混ぜたら、17列2段の棒を4本作る。
各プレイヤーが、自分の目の前にこれを1本置く。これを壁と呼ぶ。
ここまでで、おおよそ以下のような図が作れれば成功である。
![](https://assets.st-note.com/img/1715511591541-OGAp21pUtq.png?width=1200)
初期牌を作る
自分の目の前にある壁の右から12枚を、自分の手元に持ってくる。
脇に置いた自分の風牌(東西南北のいずれか)を加えて、13枚にする。
自分が不要だと思う牌を3枚選び、左のプレイヤーへ同時に回す。
ラウンド開始からラウンド終了まで
スタートプレイヤーは、自分の目の前にある壁の一番右の1枚を、手牌に加える。
スタートプレイヤーは、手牌から1枚、ドラ表示エリアに置く。
右隣のプレイヤーは、スタートプレイヤーの前にある壁の一番右の1枚を、手牌に加える。
手牌に牌が加わったプレイヤーは、不要な牌を捨て牌エリアに置く。
以下3と4を繰り返す。
2あるいは4の段階で、残り1枚で上がれる状態になった場合、捨て牌エリアに置く牌を横向きにしてもよい(横向きにしなければ上がることはできない)。横向きにした場合、「立直(リーチ)」と宣言する。
自分の上がり牌を誰かが捨てたか、自分で引いた場合、「あがり」と宣言し、手牌を伏せる。
山がなくなるか、誰かがあがりを宣言してから4巡するまで対局を続ける(上がった人間は、ひたすらツモ牌を捨てる。)
出来上がった手牌の点数を比較し、最も点数が高い人が勝者とする。
勝者に、その点数分得点を支払う。
![](https://assets.st-note.com/img/1715405384065-6ph8KhahK0.png?width=1200)
ゲーム終了
スタートプレイヤーの右隣のプレイヤーが、次のラウンドのスタートプレイヤーになる。
壁の構築からラウンド終了までを4回行い、最後に最も得点が高いプレイヤーがこのゲームの勝者となる。
「鳴き」について
ポン・チーを行うと点数が下がるため、推奨されない。その上で、自らの手牌の完成を早くする行為であるため、バランスを見て行わねばならない。同時に、早ければいいわけでもないため、じっくりと手作りを行うことを推奨する。
いわゆる明カン・暗カン・加カンを行うと、自らの捨て牌エリアから1枚、ドラ表示エリアへ移動することができる。また、カンを宣言すると手牌が1枚不足する。不足分は、中央の赤ドラまたは次に引く牌を手牌に加える形で補充する。
「あがり」に関する制限
聴牌時は必ず牌を横向きにして宣言する。これを行なっていなければ上がることはできない。同時に、聴牌を宣言したにも関わらず、終局時に聴牌していない場合は、4000点のペナルティを設ける。これは、そのラウンドの勝者に渡される。そのため、確実にあと一枚で上がれるという状況で聴牌宣言をすることが好ましい。
同時に、自分が一度捨てた牌で上がることはできない。これは、捨て牌エリアとドラ表示エリアの両方を参照する。どちらかに存在する牌では上がることができない。
花牌の使い方
通常の日本麻雀では、花牌を使用しないが、このルールでは使用する。花牌は、「花」と宣言しながら脇に置くことで、ドラを1枚持っていると見なすことができる。こうすると手牌が1枚不足するので、その分は通常の引きを兼ねて補充する。
また、各字牌の5枚目として使うことができる。例えば、白2枚と花1枚で、白3枚と見なしても良い。ただし、白1枚と花2枚で白3枚とはみなさない。
その他わかる人向けの調整
・食い替えを制限しない。
・上がる際の発声は、上がりであることがわかれば良い。
推奨はポン・ロンが誤認されないよう「上がり」または「フー」とする。 「ロン」は任意で用いても良いが、正式とはしない。
・場風の概念を削除
・食い下がりなし
・河底に対するポン・チーは認められる。その場合、交換された捨て牌が河底である。
・途中流局なし
採用している役
以下に、役を種類別にまとめている。種類の中では、最も高い1つが自動的に採用される。
絶門系統
絶一門: 1点
萬子・筒子・索子のうち、2種しか使わずに手を作る。(字牌可)絶二門: 3点
萬子・筒子・索子のうち、1種しか使わずに手を作る。(字牌可)純絶二門: 6点
萬子・筒子・索子のうち、1種しか使わずに手を作る。(字牌不可)絶三門: 12点(役満)
字牌だけで手を作る。
一気通貫
一気通貫: 3点
全て同じ色の1から9までを手に揃える。九連宝塔: 24点
全て同じ色の1と9を3枚ずつ、2から8を1枚ずつ揃えて上がる。
14枚目は同じ色ならばなんでも良い。
么九関連
断么九: 1点
1・9・字牌を使わずに手を作る。全帯幺九: 3点
全ての面子に1・9・字牌が含まれた手を作る。混老頭: 6点
1・9・字牌だけで手を完成させる。国士無双: 12点
1・9・字牌・花牌を全種類手に収める。面子がない特殊な形になる。清老頭: 24点
1・9だけで手を完成させる。
刻子関連
二暗刻: 1点
ポンせずに刻子を2つ作る。三暗刻: 6点
ポンせずに刻子を3つ作る。四暗刻: 12点
ポンせずに刻子を4つ作る。
順子関連
通二順: 1点
色も数も同じである順子のペアを作る。双通二順: 24点
色も数も同じである順子のペアを2つ作る。
槓子関連
槓子: 1点
槓子を作る。二槓子: 3点
槓子を2つ作る。三槓子: 6点
槓子を3つ作る。十八羅漢: 24点
槓子を4つ作る。
三元牌関連
一元: 1点
白・発・中のいずれかで刻子を作る。二元: 2点
白・発・中のいずれか2つで刻子を2つ作る。小三元: 6点
白・発・中のいずれか2つで刻子を作る。雀頭を残り1種類で作る。大三元: 12点
白・発・中全てで刻子を作る。
風牌関連
風刻: 1点
ラウンド開始時に配られた自分の風牌で刻子を作る。三風刻: 3点
風牌の刻子を3つ作る。小四喜: 12点
風牌の刻子を3つ作る。雀頭を残り1種類で作る。大四喜: 24点
風牌全てで刻子る作る。
七対子関連
七対子: 3点
2枚組を7種類集める(4枚ある同じ牌を2枚ずつと見なしても良い)。大七星: 12点
字牌を7種類、各2枚ずつ集める(花牌は2枚持ちで1組とする)。
花牌関連
四華開嶺: 12点
花牌を4つ、テーブルの端に置く。
連続刻子関連
四連刻: 24点
同じ色の刻子を、連続した4つの数で作る。
三色関連
三色: 3点
全く同じ数の組み合わせを3種類の色で1つづつ作る。
順子か刻子かは問わない。