ポツ、ポツ、ポツ 今宵は雨だ。 触れると無情にもひんやりとしている雨。 でも、 「ポツ、ポツ、ポツ」 「シャー、シャー、シャー」 「ザー、ザー、ザー」 「ダン、ダン、ダン」 色んな声をきかせてくれるから、 耳を済ませてみたらあたたかい。 あ、ツンデレさんだ。 .......さて、今夜の機嫌はどうだろう? バレないように、 心の中で楽しもうか。
「またね。」 そう言って手を振る。 「またね。」 そう言ってバイバイする。 次いつ会えるかはわからない。 だけれど、また会いたい。 そんな気持ちがこもっている「またね。」。 小さくて細い命の灯火。 僅かに輝く光が 暗闇に飲み込まれてしまった時、 私の心の中にある光の輝きも、 どこかに置いてきてしまった。 この真実が嘘であってほしい、と 空洞の道を彷徨う。 49日の夜に夢を見た。 どんな内容だったか全然思い出せないけれど、 「またね。」 この言葉をくれたことだけ はっき
自分の植木鉢に朝顔の種を蒔いた、 小学1年生の時の記憶。 上履きから靴に履き替えて、 クラスのみんなで教室の横の校庭に集まる。 一人一人に プラスチック製の 植木鉢が与えられて、 先生の指示に従い ゴマみたいにとても小さい種を、 土の中に埋めた。 「元気に大きく育ってね。」と 願いを込めながら。 水やりを欠かさずに、 季節は春から夏に変わる。 成長過程で付けた支柱に巻き付く、 茎と葉。 そのすぐそばには、 儚くも美しく咲いている、 朝顔の花。 カラフルではないけれ
ぐう~ そうお腹の音が聞こえて目が覚める。 時計を見ると、目覚めの時間。 カーテンの隙間から 朝日がこちらを照らしてくれている朝。 「おはよう、いただきます。」 そう言って、朝ご飯を食べる。 ぐるる~ いつものルーティーンを過ごしていたら 聞こえてきたお腹の音。 いつの間にか、 朝日が上の方に昇っていた昼。 「ちょっと休憩しよう、いただきます。」 そう言って、お昼ご飯を食べる。 ぐーぐー 今日一番のお腹の音だ。 こなしていた作業が、 ちょうど終わりを迎える頃
ヒュー、ヒュー 入ってくる隙間風。 寒い冬は大変だけど、 私はこの冷たい風がお気に入りだ。 くんくん、くん なんか香ってきた。 どこからだろう。 そう思い、隙間風の入口を探して 辿ってみる。 てくてく、てく ここからなのかな。 少しだけ覗いてみようか。 「お邪魔します。」 静かに心の中でそう言う。 辿った先には、 四角い収納ボックス1箱くらいの 小人たちの住処。 小さい足で、 小さい手で、 小さい体で、 美味しそうなスープを作っていた。 木の実とハーブの香りがす
【鏡】 それは、光の反射を利用して 顔や姿をうつしてくれるもの。 光を使って 自分ではわからない こちら側の世界を見せてくれる。 優れものだ。 突然 あなたの目の前に 大きな大きな鏡があらわれました。 自分自身ではわからない景色が 目の前に広がる。 溢れかえる。 あなたはふと、考える。 「鏡の向こう側にはどんな景色が広がっているのだろう」と。 日常的に目にしている、 手鏡のような小さな鏡なら、 部分的には見えずとも 鏡のこちら側の景色をみることができる。 感じること
私の素顔は素直なところ。 取り繕わない ありのままなところ。 よく、「表と裏の顔」 なんて言うけれど 私には表も裏もない。 ちょっと舐められる時もあるけどね。 僕の素顔は強情なところ。 取り繕わず、ありのままをさらけ出す。 よく、「表と裏の顔」 なんて言うけれど 僕には表も裏もない。 ちょっと避けられる時もあるけどね。 だけど、これでいいの。 悲しい時もあるけれど、これでいいんだ。 表と裏を作ってしまったら、 それはもう取り繕った偽物の自分。 ありのままの
てく、てく、てく 少しずつ ぽち、ぽち、ぽち 少しずつ前へ歩む。 歩んだ先に何があるのか 想像するけれど ほんとのことはわからない けれど、 少しずつでいいから 歩みたい 前を向いていたい 進んだ先にはきっと、 それまでの自分を肯定させてくれる 楽しいことが待っているから。 さあ、行こう
ここは私の居場所だ。 ここは僕の居場所だ。 ひとそれぞれ、 それぞれの居場所がある。 止まっているもの 動いているもの 命があるもの 何者にでも表すことが難しいもの たくさんの対象の中から選ばれる。 選ばれたものたちは、 その選んでくれたものから 「居場所」というあたたかさを知る。 見つけたあたたかい居場所には、 「心地よい居場所」として 自分の心に残るだろう。 そしてまた、 自分を選んでくれたものに 伝えていく。 トン、トン、トン、 居場所をもとめて、 今
まんまるお月様 まあるいお月様 黄色?黄金色? なんだかみたらし団子みたいな色をしてる 「どうしてあんなに丸いんだろう。」 「今にも食べられちゃいそうだね。」 そんななんでもない言葉を交わしながら、 今夜も蛍と戯れる君に微笑む “月が―“ 「いや、なんでもない」 そう、なんでもないんだ。 今日もまた、 まあるい月の光を頼りにここへ来る 僕にとって、 君との現在(いま)は 儚い夢の物語だから。
「食欲の秋」 「読書の秋」 「スポーツの秋」 「芸術の秋」 「睡眠の秋」 漂ってくる、秋の香り。 思い浮かべるのは人それぞれだけど、 何かを始める時によく耳にする。 始める事柄によって 秋の香りも人それぞれ。 「何も香らない」 そんな人もいるでしょう。 それもまた1つの香り。 どんなにおいなのかはその人にしかわからない。 自分だけが知っている、 自分探しの冒険の始まり。 さあ、どんな香りが待っているのだろう? 行こう! 新しい世界が待っている。
「泣くな」 別にわざとじゃない。 泣かないで良いんだったら とっくに泣いてない。 お願いだから 声を荒げないで。 お願いだから....... こわい。 頭が真っ白だ。 だから泣きたくなかった。 どんどんエスカレートしていく。 お願いだから止まって。 止まって涙、お願いだから....... 「泣いていいんだよ」 その一言に、 その一言だけで 救われる。 すうっと 全身を縛っていたモヤモヤたちが 解かれていく。 エスカレートする涙。 でも、さっきとは違う涙。 一気に
「焦り、不安、自信のなさ」 今の私を表すなら、 これが適切だろうか。 ドクドクドク、ハァハァハァ ただ布団に寝転んでいるだけなのに こんなにも苦しい まるで何かに追われているような そんな虚しさが漂う それでも、 それでも私は。 もがいて、 新しい景色をちゃんと この体で、この心で、 見たくなった 感じたくなった 「ああ、この鼓動よ止まれ.......」