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【行列を使って連立方程式が解ける!】

今回は行列を使って中学校で習った連立方程式を解いてみましょう!

逆行列を使うので,まだ逆行列を知らない方はこちらも参考にしてください.

連立1次方程式

$${x,y}$$についての連立1次方程式

$$
\left\{
\begin{array}{ll}
ax+by & =p\\
cx+dy & =q
\end{array}
\right.
$$

は行列を用いると以下のように1つの等式で表されます.

$$
\begin{pmatrix}a & b \\ c& d \\ \end{pmatrix}\begin{pmatrix}x \\y \\ \end{pmatrix}=\begin{pmatrix}p \\q \\ \end{pmatrix}・・・①
$$

ここで$${A=\begin{pmatrix}a & b \\ c& d \\ \end{pmatrix}, X=\begin{pmatrix}x \\y  \\ \end{pmatrix}, P=\begin{pmatrix}p \\q  \\ \end{pmatrix}}$$とすると①は

$$
AX=P・・・②
$$

と書くことができます.行列$${A}$$を上記の連立1次方程式の係数行列といいます.
一般に,連立1次方程式において変数の数と方程式の数が同じとき,係数行列は正方行列となります.
$${A}$$が逆行列をもつとき,②に左から$${A^{-1}}$$を掛けると②の解$${X}$$を導くことができます.
$${A^{-1}AX=A^{-1}P}$$
$${EX=A^{-1}P}$$
$${X=A^{-1}P}$$

実際に例題を解いてみましょう.

例題)

$$
\left\{
\begin{array}{ll}
5x+3y & =7\\
2x+y & =3
\end{array}
\right.
$$

この連立1次方程式を行列を用いて表すと

$$
\begin{pmatrix}5 & 3 \\ 2& 1 \\ \end{pmatrix}\begin{pmatrix}x \\y \\ \end{pmatrix}=\begin{pmatrix}7 \\3 \\ \end{pmatrix}
$$

係数行列$${\begin{pmatrix}5 & 3 \\ 2& 1 \\ \end{pmatrix}}$$について$${\Delta =5\cdot1-3\cdot2=-1\neq0}$$
よって,係数行列は逆行列をもち

$$
\begin{pmatrix}5 & 3 \\ 2& 1 \\ \end{pmatrix}^{-1}=\frac{1}{-1}\begin{pmatrix}1 & -3 \\ -2& 5 \\ \end{pmatrix}=\begin{pmatrix}-1 & 3 \\ 2& -5 \\ \end{pmatrix}
$$

したがって

$$
\begin{pmatrix}x \\y \\ \end{pmatrix}=\begin{pmatrix}5 & 3 \\ 2& 1 \\ \end{pmatrix}^{-1}\begin{pmatrix}7 \\3 \\ \end{pmatrix}=\begin{pmatrix}-1 & 3 \\ 2& -5 \\ \end{pmatrix}\begin{pmatrix}7 \\3 \\ \end{pmatrix}=\begin{pmatrix}2 \\-1 \\ \end{pmatrix}
$$

ゆえに$${x=2,  y=-1}$$

係数行列が逆行列を持たない場合

先ほどの例題のように係数行列が逆行列を持てば解を求めることができますが、そうでない場合どうなるでしょうか。以下の連立方程式を考えてみましょう。

$$
\left\{
\begin{array}{ll}
2x-y & =-5\\
-6x+3y & =15
\end{array}
\right.
$$

この連立方程式の係数行列$${\begin{pmatrix}2 & -1 \\ -6& 3 \\ \end{pmatrix}}$$は,$${\Delta=2\cdot3-(-1)\cdot(-6)=0}$$となるので,逆行列はもちません.
実際この連立方程式で2行目の両辺を$${(-3)}$$で割ると$${2x-y=-5}$$となり1行目と一致します.
よって,この連立方程式の解は,$${2x-y=-5}$$を満たすすべての実数$${x,y}$$の組になります.

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