売り切るということ(売るから売れるへ)
私は永い間販売の仕事に携わってきました。
当初スタッフたちによく言っていたことがあります。
「売れる商品ばかり売っていてはダメだ」、「 “売れる”というのはお客様が欲しい商品のレジをしただけだ」、「売りにくい商品を売ってこそ本当の販売力だ」と。
しかし、そこには接客販売の奥深さが隠されており、言葉が少し足りませんでした。売れにくい商品を無理に“売る”のではなく、誰も手に取らなかった商品、見向きされなかった商品を、お客様が「これこそ私が探していた商品だ」、「こんなのが欲しかったんだ」と率先して買っていくようにすること。
“売れる”ようにすることこそこそ、究極の接客販売だと気づくようになりました。
数々の商品を仕入れ、中には売れ行きのいい商品もあれば、人気のない商品もあります。そういった商品すべて売り切っていくためにどうすればいいか。無理に売って後でお客様が「買わされた」と思わないように、お客様自らが「いいものを見つけてよかった」と思ってもらえるようにするにはどうすればいいのかを考えてみましょう
<売ると売れるの違い>
“売ること”と“売れること”、英語では同じ“sell”ですが、この違いを見てみると、“売る”ということは、販売スタッフがお客様にアプローチし、商品説明をしてお客様の購入を促す行為です。セールストークや販促キャンペーン、広告などを通じて販売する側がお客様側にアピールします。
一方“売れる”ということは、お客様にとって魅力的な商品が、自然と購入されていくことです。口コミも広がり、お客様が新たなお客様を連れて来て下さいます。リピート買いも増えるでしょう。販売する側からのアプローチは最小限で、効果は最大となります。
つまり”売れるようにする”ということは、この商品を売って終わりという短期的な商売ではなく、信頼を築いて次につながる長期的戦略となるのです。
<売れるようにして売り切る>
では、単に“売る”ことから、“売れる”ことを目指し、楽に“売り切る”ことが出来るようにするためには、何をすべきでしょうか。
以前の記事「接客の心得」で基本ポイントを3点(➀信頼を得る・②情熱を持つ・③自分を磨く)、「接客のコツ」で実践的ポイントを7点(➀入店前・②入店時・③アプローチ・④商品説明・⑤クロージング・⑥お会計・⑦お見送り)指摘しました。
良ければこちらもご覧ください。
今回の“売り切る”ために、“売れるようにする”ためには、3つのポイントを挙げてみます。
(➀ニーズの把握)
まず一つ目はお客様のニーズを把握することです。
お客様が何を求めておられるのか、購入の決め手となるポイントは何なのかがわかっていなければ、的外れな事ばかり言ってしまい、「もういいわかった」、「この店はいらない商品を無理に押し付けてくる」となってしまうのです。
おススメした商品が求めているものと違っていたら、どこがずれているのか、どこに不満があって何を解消したいと思っているのかを探れば、どんな商品をおススメしたらいいかが見えてきます。
(②商品の魅力)
お客様のニーズが分かり、おススメする商品が決まれば、その商品がいかにお客様のニーズにピッタリの商品であるかを伝え、わかっていただかなければいけません。
どうして他の商品よりもこの商品がいいのか、比較したり、他にない特徴を説明したり、売れ行きやレビューをお見せしたりしてアピールします。
購入後の使い方やアレンジ方法、メンテナンス方法なども効果的です。
そのためには全商品について豊富に商品知識を頭に入れておかなければいけません。
お客様のニーズに対し同じ商品でもアピールの仕方を変えていく必要があるからです。
通り一遍等の商品知識ではダメです。一つの商品でもいろんな側面があることを知っておかなければいけません。
(③不安の除去)
商品を気に入ってもらえても、お客様は「今買うべきか」、「もう少し考えてみるべきか」、「ここで買うべきか」、「他の店はもっと安いのかもしれない」、「もっといいのがあるかもしれない」と、いろいろと不安や迷いが出て、なかなか最後の決断に至らない時があります。
購入いただくためには、その不安や迷いを一つ一つ見つけて解消していく必要があります。
「人気商品なので売り切れるかもしれません」、「他の店では取り扱っていないかもしれません」、「今はキャンペーン実施中で、特別プレゼントを差し上げます」、「当店だけの特別セール中で、今ならお得にお求めいただけます」、「配達サービスもございます」など、お客様に合わせたトークや提案をすることで、「じゃあ今ここでもらうわ」と言ってもらえるのです。
<まとめ>
このように、商品を売り切るためには、まず商品のことをよく知り、お客様の話をよく聞いてお客様に合わせた商品を選び、その商品がどうしてピッタリなのかをアピールし、「今買えば間違いない」と納得して買っていただけることです。
うまくいかない時は、どれか一つが出来ていないからです。
お客様の思っている商品と違っていたり、商品の魅力が伝わらなかったり、お客様を不安にさせたりすると成功の確率は低くなります。
お客様が「買ってよかった」「ありがとう」と最後に言ってもらえるようにしなければいけません。
このようにすることが出来れば、きっと楽に“売れる”ようになり、商品を“売り切る”ことが出来るようになるでしょう。
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